【MDD】MDD Diary 2017 #9 (2017/08/05)

【メディカルデバイスデザインコース】
 いよいよ機器実習が始まりました。第9日目は『医療機器開発のための機器実習』です。午前は愛媛大学の石原謙先生によるこれまで手がけられた開発プロジェクトの紹介と日本の医療機器開発の現状についてのご講義で始まりました。続いて当院臨床工学部より丸山雄一先生、楠本繁崇先生にご登壇いただき、臨床工学技師の役割と医療機器にまつわる事例、漏れ電流・EPRの予備知識について学びました。午後からは、楠本先生、丸山先生より漏れ電流・EPR実習、そして、日本光電工業株式会社にご協力いただき、除細動器とAED、パルスオキシメーター・血圧計の各実習を行いました。

 石原先生からは100件以上に上る特許を出願された機器開発のご経験の中で、ORCAプロジェクト(日医標準レセプトソフト)の初代責任者として開発を率いられたお話、さらに、血液を採取することなくヘモグロビン濃度の測定ができる装置の開発(シスメックス株式会社よりASTRIM として販売)などをご紹介いただきました。また、3-4限目の漏れ電流・EPRの講義・実習にもつながるマクロショックとミクロショックについてもご解説いただきました。ご自身が研究開発された中で、製品化にいたらなかった歯がゆいご経験も含めて、これからの日本がどのように医療機器産業を捉えていくべきかの示唆に富むご講義でした。

 2限目の丸山先生からは、臨床工学技師としての病院内での仕事、そして、そのご経験を元に病院内で起こるさまざまな事例についてご紹介いただきました。機器の使い方を誤ったために起こった事例、使い方を十分に知らなかったために起こった事例、勘違いや見間違いにより起こった事例など、いわゆるヒューマンエラー、ヒューマンファクターによる事例についてご提示いただく一方で、機器のユーザビリティ向上により防げた事例、あるいは、今後防ぎ得る事例などについても考察いただきました。事例をメーカーや開発者と共有することでより良い機器の開発、運用につながり、アクシデントやインシデントをさらに軽減できるというメッセージをいただきました。

 楠本先生からは、電撃と人体反応、病院電気設備・医用電気機器の漏れ電流対策、そして、午後の実習につながる漏れ電流測定の概要についてご講義いただきました。何気なく病院で使用されている医療機器や設備ですが、ひとたび管理を怠ると、重大なリスクがあるということがよくわかりました。また、ご講義の中で医用電気機器のJIS規格についてもご紹介いただきましたが、ともすれば規格の数値を守ることに執心しがちな機器開発において、なぜこのような規格があるのか、もし規格外だとどうなるのかということがよくわかる授業だったと思います。規格内におさめるのは大変な作業ですが、その理由まで熟知し、患者さんの安全のためにと思いながら開発すれば、さらに前向きに取り組むことができそうです。

 午後からは、グループローテーション方式で、漏れ電流・EPR実習、除細動器とAED、パルスオキシメーター・血圧計について実習を行いました。電気安全については、モジュール2で萩原先生よりご講義がありましたが、漏れ電流の測定は機器の開発シーンにおいても繰り返し行われます。そして、機器が病院に導入された後も、このようにメンテナンスが継続され、患者さんの安全が守られていることがよくわかりました。単一故障条件などさまざまな設定で、マニュアルの測定方法と自動測定の両方を経験できたことで、さらに理解が深まったと思います。


 パルスオキシメーターは酸素飽和度を非侵襲的に測定する機器ですが、かの青柳先生が原理を開発された機器としても知られています。今や国際的なガイドラインでも手術中の装着が謳われる機器の原理を日本人が開発したということをあらためて誇りに思います。
 血圧計は主に、収縮期血圧(いわゆる上の血圧)よりも上回る圧力で腕を締め、圧を下げていくときに発生する音(コロトコフ音)を測定する方法が一般的でしたが、日本光電工業株式会社からは加圧しながら血圧を測定するタイプの血圧測定機器をご紹介いただきました。従来よりも短時間で測定できることが利点とのことですが、登場からかなりの年月が経つ機器であっても、少しでも使いやすくなるようさまざまな工夫が続けられていることがよくわかりました。健康診断のときの結果と違ってびっくりした方も、あらためて病院に行く気になった方もおられるかもしれません。

 除細動器とAEDとの違いが意外とわかりにくいのですが、今回ならべて体験したことで、違いがよくわかったと思います。医療従事者でない方の場合、実際にはAEDを使用いただくことになりますが、今回は除細動器の使用も体験いただきました。米ドラマERなどでもよく出てくる「クリア」という掛け声の元「ドーン」とショックがかかるシーンです。今回は「ドーン」というショックは伝わらなかったかもしれませんが、ちょっとした緊張感は味わっていただけたかと思います。AEDの普及により、これまでは助からなかった方が通りがかった方の救命処置で助かる事例が増えてきています。機器の進歩と人々の関心が高まることでこういった傾向が進むといいですね。

 この日、講義終了後の大阪会場の近くからは2万発を誇る『なにわ淀川花火大会』がきれいに見えました。

 来週は夏休みです。MDDコースも後半のプログラムに入っておりますが、夏の疲れが出ないようお気をつけください。
夏休み明けはリスクマネージメントと知財の実習です。

 モジュール3医療機器開発のための機器実習スケジュール

Leave a Reply

このページの先頭へ