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2018.12.06

MDD Diary 2018 #Advanced Program

本日は10月16日、30日、11月27日に開催されましたMDD2018アドバンストプログラムの様子についてご紹介させていただきます。 アドバンストプログラムは、MDDコースのレギュラープログラムを受講されました方を対象に行っている阪大病院での病院実習になります。   9~17時の8時間、ほぼ休む間も無く病院中を見学してまわりました。 見学コースは毎回異なりましたが、どの回も非常に充実したプログラムでした。 各セクションではそれぞれの専門医によるレクチャーと受講生とのディスカッションが行われました。       ・CCU・ICU見学 ・臨床工学技士より補助人工心臓についての講義 ・病棟での患者さんインタビュー ・外科手術見学(心臓外科、呼吸器外科、消化器外科領域等の手術) ・放射線治療見学 ・内視鏡治療見学 ・カテーテル治療見学 ・ドクターヘリ見学 ・高度救命救急センター見学       受講された方のご感想 『ICUや救急も含め幅広い分野、手技を見学させていただき非常に勉強になりました』 『実際の現場を見たり、患者さんの声を聞いたりする機会はなかなか無いので大変貴重な学びの場になりました』 『高度な医療機器だけでなく、中小企業が取り組める、現場が使いやすくより快適な場にするネタがたくさんあるのを感じ、現場を見て、携わる人々の声を聞くことの重要性を実感しました』 『患者さんと直接お話ができる点、いつでも気軽に先生方に質問ができる点において、非常に有意義なものでした』 『患者さんと直接お話する機会はまずないので、大変印象深い経験でした』 『手術、院内の施設、救急ヘリ&救急救命室の見学も、医師や臨床工学技士の解説付きというのが理解を深める上で有用でした』 『TAVIの現場をみて、1人の患者さんの治療に非常に多くの医療者が関わってくれているのだと知りました。手術の動画をみただけではわからない現場の空気感も体験させていただき大変感動しました』     来年度も開催予定です。(診療科、体験部署はその都度異なりますのでご了承ください) MDDコースのレギュラープログラムで得た知識を現場で一緒に深めていきましょう。     MDD2018実況中継! は今回で最後になります。 半年間、どうもありがとうございました。     2018.11.30 MDDコース2期生 チコ(ChiCo)

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2018.10.20

MDD Diary 2018 #16 (2018/10/20)

Module 4第4日目は、株式会社ハート·オーガナイゼーション 菅原俊子先生、株式会社アルム 坂野哲平先生、株式会社イメージワン 岡庭貴志先生、パラマウントベッド株式会社 木暮貴政先生、アルカディア・システムズ株式会社 相坂渉先生、株式会社ウェルビー 比木武先生にご講義いただきました。       菅原先生には「医師が経験を共有するためのクラウドサービス事業例」と題してご講義いただきました。急速な進歩を続ける医療の世界では、医療者はその知識や技術の習得のために日常的に研鑽を積むことが求められています。しかし、日々の臨床業務に追われる中で、特に若い医師が遠方まで学会にいくことや同時に多くの指導者の教えを請うことは難しい現状があると思います。”e-casebook”が普及することで、グローバルにかつ迅速に症例検討ができ、患者さんが受ける恩恵も大変大きなもとなると思いました。どうしてこれまでなかったのか、と思ってしまうほど現代医療にとっては有益なものであると感じました。また、講義の後半ではビジネスモデルやマーケティング戦略、今後の展開等についてもご講義いただきました。専門医認定制度との連携、医療機器メーカーへの情報の提供などの手法については大変勉強になりました。       坂野先生にはMobile×Cloudが変える医療現場のコミュニケーションという立ち位置で、「医療素人による医療ICT市場への参入、医療従事者用コミュニケーションアプリ「Join」の開発、臨床試験、薬事認証、日本初の保険適応から11カ国の国際展開」と題してご講義いただきました。専門医診断を可能にする『Join』、自身の医療・健康情報を蓄積できる『MySOS』など、医療ICT市場に参入後に次々とリリースされたアプリや、蓄積された情報を活用した今後の事業展開についてご説明いただきました。Joinを活用して早期に専門医による画像診断を受けることができ、救急搬送後数分で手術開始できた事例などをお聞きしていると、早く、全国的に普及してほしいと思いました。また、地域包括ケアシステムの構築がすすめられていく中で、医療情報をコメディカルで共有することは大きなニーズとなっていますが、個人情報保護の観点や、システム連携にかかる費用の面などからなかなか実現していません。MySOSは『患者自身が自分で情報をもつ』ものであり、それらの問題を一気にクリアした画期的な仕組みだと思いました。       岡庭先生には「Let’s enjoy medical device development! 〜在宅医療の時代を見据えたモバイル心電計の開発を通じて〜」と題してご講義いただきました。『中小企業の新規参入』『はじめて医療機器を作る』という点に特化して、ご自身の経験も交えて大変わかりやすくご説明いただきました。製品がどのくらい売れるかマーケットサイズやマーケットシェアを開発前に十分調査してきちんと把握しておくこと、開発後も品質管理を徹底すること、そして製品を売るために、支援者を増やしたり説明資料を充実させたりすること、といった具体的な行動を教えていただきました。また、特長(差別化ポイント)を3つ書く、対象者10人に『これ欲しいですか』と聞く、といったすぐに実行可能な開発のはじめの一歩の踏み出し方についてもアドバイスをいただきとても勉強になりました。       木暮先生には「シート型体振動計「眠りSCAN®」の開発と普及」と題して、ご講義いただきました。臥床者の体動、呼吸、心拍などのデータを経時的に非接触でとることができる『眠りSCAN』は、その情報をコメディカルで共有することで、薬剤や日中の活動量の調整、排泄援助のタイミング設定などに活用できると思います。そのため高齢者介護の現場における睡眠確保や健康管理の課題を解決しうる大変有用なものであると思いました。開発してから『全く売れない3年間』があり、その時期にモニター募集をしたり雑誌の企画に協力したりと様々な策を講じられたお話や、医療機器の認証を受けているということを差別化ポイントとして、研究での使用実績を積み重ねてこられたことなど、紆余曲折ある研究開発・事業化を成功させる上での具体的な事例をお聞きでき大変勉強になりました。『とにかく続ける、絶え間なく挑戦、粘り強く取り組む』先生が講義の最後に話された言葉がとても印象的でした。       相坂先生には「IoMTがもたらすこれからのヘルスサポート」と題してご講義いただきました。維持期の心疾患患者に対して行われる心臓リハビリテーションの継続率が一桁であり、その内容にも改善の余地があるという点に着目して、ヘルサポ事業をはじめられたとのことでした。これらの事業は現在では、高齢者介護の現場でも活用されているとのことで、山登りしている感覚でリハビリを楽しむものや平泳ぎでゴールを目指すものなどいろいろな種類のものがあるようで、見せていただいた動画ではみなさんとても楽しそうに、そして熱心に取り組んでおられました。『興味関心をひく、危険なく実施できる、成果を視覚化できる』といった高齢者のリハビリのポイントがとらえられていることで広く普及してきたのだと感じました。講義の後半ではデータヘルスの方向性として、国の施策についてもご説明いただき、国民皆保険制度をとる日本だからこそできる取り組みも多いのだと思いました。また、今後展開予定のIoTヘルスケアイベント事業をについてのお話をお聞きしながら、医療機器として認証または承認のプロセスを経て効果を謳うことで販売促進につなげる場合と、ヘルスソフトウェアとして社会の認知度を高めていくことでビジネスを成り立たせる場合があるのだろうと気付きました。       比木先生には「慢性疾患でのPHRの臨床利用と有用性」と題してご講義いただきました。従来の電子カルテがEHR(Electronic Health Record)と呼ばれるのに対し、PHRはPersonal Health Record、すなわち患者さんが自分のカルテをもつことを指します。患者さんが自分のデータを持つことで、複数の医療機関で重なった検査を受けなくて済むようになったり、手術などで大きな病院に行く際にも楽に移行できる時代が来ることが想像できました。また、慢性疾患を有する場合、長期的な自己管理が求められるため、健康への意識や健康行動のモチベーションを維持できるような仕組みが非常に重要だと思います。スタンプを活用したメッセージのやりとりや、SNSでいいねを押すのと同じように、日常の感覚のまま専門家からのサポートが受けられたら、ドロップアウトする人は減ると考えられます。また一方で、医師や保健師、栄養士が対面でサポートを行うことで効果があがる場合もあるので、医療者は対象者にあった方法を選択して、効果検証を続けていくことが重要であると思いました。質疑応答では、プログラム医療機器として認証を受けるかどうかの戦略的な部分についても言及いただき大変勉強になりました。     18時からは、筑波大学教授で、CYBERDYNE株式会社 代表取締役社長/CEO でもあられる山海嘉之先生から「革新的サイバニックシステムによる最先端医療イノベーションの夜明け」と題して特別講義がありました。講義は東京会場、福岡会場へもライブ配信されました。     山海先生のご講義は、小さい頃SF小説を読んだときに抱いた感情を彷彿とさせる大変エキサイティングなものでした。内容はヒミツですが、私の頭の中の宝物にしたいと思います。     講義の終了後には、イブニングネットワーキングと修了式が行われました。         6月からはじまった本コースも本日で終了になります。   今年も100名以上の受講生の皆様にご参加いただき、2016年から3年間で300名を超える同窓生が生まれました。本コースでの学びや出会いが皆様方にとって少しでも有益なものとなれば幸いです。遠方から航空機や新幹線にて、またせっかくの土曜日にもかかわらず、半年間にわたりほぼ毎週会場へお越しくださり、ありがとうございました。また、全96時間75講義の開催にご協力いただきました講師の先生方にもあらためて感謝を申し上げます。人材育成は短期的な成果を求めるものではありませんが、5年10年を経て、日本発の医療機器が世界の医療現場で今よりももっと活躍の場を広げるようになり、その先頭にこのコースを受講された皆様がおられることを願っております。最後になりましたが、皆様のご健康とますますのご活躍をお祈り申し上げます。   東京会場1階ロビーにて     2018.10.20 MDDコース2期生 チコ(ChiCo)

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2018.10.13

MDD Diary 2018 #15 (2018/10/13)

東京会場のある日本橋周辺です。     コースが開始された2016年からの3年間でも随分様変わりしました。まさに新と旧が同居する街並みになっています。       モジュール4『医療機器開発の実践』3日目は、株式会社プロアシスト 宮田愛子先生、株式会社カワニシホールディングス 前島洋平先生、厚生労働省 古元重和先生、国立病院機構 楠岡英雄先生、大阪大学歯学研究科・株式会社アイキャット 十河基文先生、三洋化成工業株式会社 前田広景先生にご講義いただきました。     宮田先生には「眠りを見える化する脳波センサーの開発と実用化」と題してご講義いただきました。すでに販売実績があった脳波センサを医療機器としての販売するというプロセスについて、当時の課題やそれを現在振り返って気づいたこと等を交えてお話いただきました。医療機器業界参入は決して平坦な道ではなく、時には否定的な意見も言われたとのことでした。そのような状況の中でも医療機器の販売までたどり着いたのは、決して諦めることなく、周りの意見に耳を傾けながら、仲間を増やし走り続けてきたからこそなのだと教えていただきました。また、経営者の理解を得ることや補助金などの予算がつくことも、開発を継続していくために非常に重要な要素であると知りました。       前島先生には「医療機器販売ビジネスの実際」と題してご講義いただきました。医療機器流通機能を果たすことだけにとどまらず、MEDICAL TAKUMI JAPAN という国産医療機器の海外展開促進事業や、海外先端医療機器に関する情報提供事業など非常に多くの活動をされていることを知り驚きました。また、医工連携の専任担当者の設置や現場ニーズを社内で共有して医療機器開発につなげるシステムの構築等、商社でありながら医工連携にも積極的に取り組まれておられるとのことでした。 医療機器販売商社の視点でのお話は、これまでの講義にはなかったものだったので大変興味深く聞かせていただきました。質疑応答の際に出ていた、『医療機関とメーカーの間にあって、いかに利益をあげていくのか』についてのお話はまたいつか詳しくきいてみたいと思いました。       古元先生には1.医療技術を医療保険でどう評価するのが妥当か、2.これからの日本-選ばれる医療機器とは-、3.イノベーションの評価について-エビデンスの重要性-という切り口で解説いただきました。医療保険での評価について、ロボット手術 VS 既存の鏡視下手術、粒子線治療(重粒子線/陽子線)VS 既存の放射線治療を例に、費用対効果評価、すなわち医療保険から拠出される費用と臨床上の効果(患者さんが受けるメリット)とのバランスに着目した評価方法についてご説明いただきました。開発側としては、開発に費やした費用を何とか回収したいところですが、評価が高すぎると医療保険財政を圧迫し、場合によっては新しい機器が患者さんの元に届くのが遅れることにもつながるかもしれません。一方で、評価が低くなり過ぎると、新しい機器開発のモチベーションを下げてしまうリスクもあります。家電製品のような一般の製品であれば、その価格は市場評価で決まりますが、保険償還対象の医療機器は公定価格であるため、このバランスをどうとるかが非常に難しいところです。講義の中では具体的な事例について、これからこの費用を負担していかなければならない若い世代の受講生の意見を聞くシーンもありました。医療技術をどう評価するのが妥当かについては、社会保険方式を採用する日本、そして税方式を採用するイギリスとの比較、さらにそれ以外の国々の制度も例に出して解説いただきました。これまでは自分たちが開発する製品の価値がどう評価されるかにのみ目が行きがちでしたが、ひとりの国民としてあらためてこれからの日本の医療がどうあるべきかを考えさせられました。       楠岡先生には「医療機器開発と臨床研究法」と題して、2018年4月に施行された臨床研究法についてご講義いただきました。 臨床研究法が、これまであった疫学研究と臨床研究の2つの指針をまとめる形で作られたことを踏まえて、従来からの変更点(法律でいう臨床研究の範囲、臨床研究実施における研究責任者の位置付け、倫理審査委員会の認定制等)を中心にご説明いただきました。また講義の後半には、医療機器にかかわる事項について、『臨床研究法の施行等に関するQ&A』をもとに要点を端的にご講義いただきとても勉強になりました。法律の文章の解釈は非常に難しく敬遠しがちでしたが、今回のご講義をお聞きしたことで、機器開発において避けては通れない制度を理解するきっかけをつかめたように感じました。       十河先生には「匠ではない歯科臨床医の大学発ベンチャー起業と事業化、その苦節15年~特許、そしてソフトの薬機申請、CT、ポータブルX線、CAD/CAM歯冠への展開~」と題してご講義いただきました。歯科医として臨床で感じたニーズを具現化するために、自らベンチャーを立ち上げ製品化まで進んでこられた先生のお話は、楽しくまた非常に多くのことを学ばせていただきました。分析の甘さや特許取得への認識の薄さなど『大学人あるある』とご紹介いただいた点は、多くの臨床家や研究者が当てはまることであり大変勉強になりました。また、その『あるある』を根気強く支えたコーディネーターの存在がいたことをお聞きして、何年間にも渡って多くの課題を乗り越えていくためには、理解し補完しあえる仲間が必要なのだと思いました。       前田先生には「日本発、新しいタイプの外科用止血材の開発と実用化」と題してご講義いただきました。大動脈手術という非常にハイリスクで難易度の高い領域に用い、かつ体内に留置するタイプの医療機器の承認を取得する、それも異業種から参入!というのは本当に大変な道のりだったのだろうと思いました。薬事関連業務でご苦労された点など、先生が歩んでこられた25年の開発と実用化の歴史から学ばせていただくことは非常に多く、講義後の質疑応答でも開発から薬事承認、保険償還に至るまでのプロセスについての質問が止まりませんでした。       MDD2018レギュラープログラムもいよいよ来週が最終回になります。 医療機器の世界も徐々にハードからソフトへの時代に入りつつある現状を受け、クラウドを利用した医療情報共有、IoTを駆使したモニタリング、PHR(Personal Health Record 生涯型電子カルテ)などをテーマとした事例について集中的に学びます。 今年も講義終了後にはファイアサイドセミナー【特別講義】が開催されます。 今回は、筑波大学システム情報系 教授 サイバニクス研究センター 研究統括でCYBERDYNE株式会社 代表取締役社長/CEO の山海嘉之先生から「革新的サイバニックシステムによる最先端医療イノベーションの夜明け」と題してご講演いただく予定になっております。ぜひたくさんのご参加をお待ちしております! MDD2018 ファイアサイドセミナー【特別講義】     MDDコースは6月にはじまり、あつ〜い夏をこえ、もう10月。雲が高く空もめっきり秋になりました。     2018.10.13   MDDコース2期生 チコ(ChiCo)

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2018.10.06

MDD Diary2018 #14 (2018/10/06)

秋休みを経て、3週間ぶりのMDDコース開催でした。 福岡会場周辺では台風により交通機関の乱れる中、皆様お越しいただきましてどうもありがとうございました。   シスメックス株式会社 浅野薫先生、株式会社アドメック 中住慎一先生、山科精器株式会社 保坂誠先生、医療機器センター 医療機器産業研究所 高山修一先生、株式会社IFG 森和美先生、大阪大学べンチャーキャピタル株式会社 水原善史先生にご講義いただきました。     浅野先生には「体外診断用機器、試薬の開発」と題してご講義いただきました。はじめにシスメックス社が大学と共同で開発された、がんリンパ節迅速診断技術についてご説明いただきました。ふとした出会いで始まった産学共同研究開発プロジェクトですが、術中の迅速診断加速と病理医の負担軽減というニーズをテクノロジーが叶えた好例です。航空機のエンジンがよく例に出されますが、昨今、医療機器業界でもメンテナンスで収益を確保するビジネスモデルが増えております。体外診断用機器においても、試薬の販売やサービス&サポートにより安定的な収益を確保する収益モデルが構築されていることを教えていただきました。先日、京都大学の本庶佑先生が免疫チェックポイント阻害薬の開発でノーベル医学・生理学賞を受賞されましたが、講義の後半では、新規抗がん剤の登場に伴う体外診断薬の普及と「Precision Medicine(個別化による精度の高い医療)」についてもご説明いただき、今後の医療のあり方が変化していく可能性について学びました。治療の効果と副作用の減少が期待できる個別化医療が進むことで、患者さんのQOL向上や医療費削減が実現される日がくればとてもすばらしいと思いました。       中住先生には「ベンチャー企業にあるものとないもの〜ハイパーサーミア機器の開発を通じて〜」と題してご講義いただきました。愛媛大学発医工連携ベンチャーとして腫瘍を熱で治療する医療機器の研究開発と動物用途での製造販売を行ってこられたご経験や、ベンチャー企業ならではの資本戦略について大変興味深いお話を聞かせていただきました。企業として継続するために、日銭を稼ぐビジネスを並行して行う必要があるというのは、ベンチャー企業を運営されてきた経営者ならではの言葉だと思います。探索的試験を行ったあとに、まずは獣医療において臨床例を積み重ねて利益をあげるようにしたことや、国内の臨床応用に踏み込む前に海外での認証を取得したことなどを教えていただき、医療機器開発および販売においては戦略が非常に重要であることを改めて認識できました。高額な設備投資を必要とせず、患者さんにも低侵襲なハイパーサーミアによる治療が、日本でも受けられる日が早く来るといいなと思いました。       保坂先生には「医療機器開発から販売までの取り組み~医工連携と参入課題への対応~」と題してご講義いただきました。参入までの取り組みについては、『公的支援』『産学官連携』『ブランディング』をキーワードに大変わかりやすくご説明いただきました。また、参入後の難所をどのように乗り越えてきたかや、製品開発はできたにもかかわらず、上市に至らなかった開発品の存在など、普段はきくことができない開発の裏側までご紹介いただき、機器開発の実際について深く学ぶことができました。       高山先生には「カメラから胃カメラ、そして内視鏡の時代へ」と題して、現在の内視鏡にいたる開発の歴史について教えていただきました。1950年代に3名の社内ベンチャーからスタートしたプロジェクトが、世界中の患者さんを救う製品を生み出すまでに成長した背景には、改良したいニーズを常に持ち、その実現のために挑戦し続けた多くの人の努力があるのだと知りました。Module1の臨床医学の講義において内視鏡治療の実際について学び、Module3の機器実習において実際に機器に触れ、内視鏡のもつ有益性やそれを実現するテクノロジーに感動していたので、開発の歴史をお聞きすることができとても有意義な時間でした。       森先生には「ダーウィンの海にもまれながら」と題して、脳梗塞後のリハビリ支援を目的とした末梢神経磁気刺激装置の製品開発についてご紹介いただきました。医療機器開発をする一方で、産業機器を製造販売して安定収入を確保していくという企業経営における方策や、開発に注力するばかりでなく販売についても検討しておく必要があることなどを教えていただき、大変勉強になりました。また、金融業界の経験がある経営者でも苦労する資金調達、震災後の難局を乗り切った場面など、今だから語れるお話が満載でした。ダーウィンの海にもまれながらも、現場の声(ニーズ)をきいて次なる製品を開発していくと、『結局、陸地はないんだと感じる』とおっしゃっていた先生のお言葉が大変印象的でした。       水原先生には「医療機器ベンチャーにおける資本戦略」と題してご講義いただきました。MDDコースにおいて資本戦略に関する講義は今回がはじめてでした。新株を発行することで資金調達を行う『Equity Finance』、銀行融資や社債の発行で資金調達を行う『Debt Finance』も聞きなれない言葉でしたが、基礎的な部分から大変わかりやすく教えていただきました。また講義の後半では、実際のベンチャー企業の例を通して株価や調達額の計算する演習があり、これまでの多くの先生方のご講義でお聞きしていた資金調達の苦労について少し理解できたように思いました。 ベンチャーキャピタル(VC)が投資検討する際に、経営体制の評価に加えて、『人』や『情熱』も重視しているということをお聞きして、『VCとして担保なしで多額の投資を決断する』、その舞台裏のような話もいつか聞いてみたいと思いました。           来週も引き続き医療機器開発の実践について学びます。2018年からの新しい講師の先生方も多数お迎えしてご講義いただく予定になっています。   本年度のMDDコースも13日、20日と残り2回となりました。皆様と最後まで駆け抜けたいと思います。 朝夕が少し寒くなってきましたが、体調崩されませんように。        2018.10.06  MDDコース2期生 チコ(ChiCo)

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2018.09.15

MDD Diary 2018 #13 (2018/09/15)

Module 4がはじまりました! 本日から東京、福岡、大阪、それぞれの会場に戻って、『医療機器開発の実践』について学びます。     当センター 妙中義之先生、市立豊中病院 大久保和実先生、新久喜総合病院 澤海綾子先生、大阪大学大学院医学系研究科 神田寛行先生、大阪工業大学 本田幸夫先生にご講義いただきました。       妙中先生には、『我が国の医療機器開発環境の現況と近未来-医工・産学官連携による医療機器のイノベーション戦略-』と題して、AMEDのスーパーバイザーのお立場から国の政策や活用できるリソースについてご紹介いただきつつ、医療機器開発をいかにビジネスとして成り立たせるかについてご講義いただきました。 現場でのニーズ発掘、コンセプトやビジネスモデルの検討等のプロセスに重点を置くことや、開発早期から事業化を見据えてさまざまなアドバイザーを活用していくことの重要性を学びました。 講義の後半では、先生が実際に開発に携われた人工肺を例に、「製品として世に出し利益をあげる」仕組みをどのように作っていったのか、その緻密な戦略についてご紹介いただきとても勉強になりました。医療機器の分野では「よいものを作ったら高く売れる」という単純な原理だけでは説明できない部分も多く、それぞれのプロセスで専門家に相談しながら戦略を立てながら開発を進めていく必要があると再認識できました。       大久保先生には『看護の立場から見る医療現場と医療機器~高齢化時代の病院と認知症ケアの現場から~』と題して、認知症看護認定看護師、そして病棟看護師長というお立場から、高齢者を多く抱える実際の病棟の様子を患者さんのエピソードや写真を交えながら、とてもわかりやすくご紹介いただきました。 「プチ認知症体験」ということで、先生が朗読される物語の主人公となることで、認知症の患者さんがどのようにして混乱の渦に巻き込まれていくのか、その状況を追体験することがきました。混乱の中にある患者さんの安全を守り、最良の医療を提供するために、点滴時間の調整や排泄ケアの見直しなど日々のケアの中で看護師が行っている工夫や、転倒転落防止用のセンサー等の活用についてご紹介いただきました。診断・治療に関する医療機器が数多くみられる一方で、看護に関する機器は多くはありません。しかし知恵や工夫にあふれた看護の場面は、実はニーズの宝庫なのではないかと先生のお話を聞きながら思いました。 人のもつあたたかさや気遣いという看護の良さを残しながら、看護師の工夫を具現化するような機器を開発して導入すれば、深刻な看護師不足が少しは緩和されるのではないかと感じました。       澤海先生には、『橈骨動脈穿刺に適した手台開発をして辿り着いた場所〜商品化・販売までの道のり〜』と題して、看護師として課題解決型アプローチによって現場のニーズをもとに製品を作り事業化されたご経験をご紹介いただきました。 現場発信ということでtrial and errorを可能にするフィールドや医療者が十分であったこと、学会等への参加が容易であったことなど、医療者自身が開発するメリットが最大限に発揮されており大変勉強になりました。また一方で、特許や医療機器の申請はアドバイザーや共同開発者と議論を重ねて着実に実施してこられた経過は、1限目の妙中先生のご講義の中で出てきたポイントやこれまでのmoduleで学んできたことがすべて網羅されているように思いました。先生の行動力や熱意に加えて、開発のステップを一つ一つ着実に進めてこられたことが、ラディ丸(先生の開発された手台の商品名)の事業化につながっているのだと思いました。       神田先生には、『人工網膜の研究開発』と題してご講義いただきました。先生方が2001年から取り組んでおられる人工網膜の開発は、新規医療機器開発となるため、部品ひとつから作る必要があるなど、すべてにおいて試行錯誤の連続とのことでした。また人工網膜は植え込み型の医療機器であるため、高い信頼性と安全性が要求され、厳しい基準を満たすための人工網膜の材料の手配や、評価のための試験装置の製作などに多くのご苦労をなさったそうです。先生のお話をお聞きして、研究としての段階と製品を作り事業化を目指す段階の違いについて改めて理解することができました。 理学・工学・医学のバックグランドをお持ちの先生の研究のお話は、とてもハイレベルでありながら大変わかりやすく、研究開発の楽しさを感じることができました。「人工の眼を作りたい」というニデック社の創業者の夢からはじまったこのプロジェクトが結実して、多くの患者様のもとに「見える喜び」が届けられたら素晴らしいと思いました。       本田先生には、『福祉ロボットの安全設計と商品化の課題』と題してご講義いただきました。国の方針としてロボット介護機器の導入がすすめられてきた経緯やこれまでのロボット介護機器の開発について多くの実例をあげて教えていただきました。多くの研究により、人にとって安全なロボット介護機器を開発するための技術がほぼ確立され実証も行われている状況でありながら、現場での普及が進んでいないということも教えていただきました。新しい技術を前にすると、享受できる利益とともに不利益にも目がいってしまいその導入に不安を覚えることはあると思います。しかし、これから超高齢社会を生きていく私たち一人ひとりが、講義の中で先生が話された「ロボットに助けてもらうのではなく、ロボットを道具として活用し、自分で何でもできる幸せを手に入れる」という考え方を持ち、積極的に福祉ロボットを活用していくことが、労働人口の減少や社会保障費の増大という社会問題を克服する方法の一つなのだろうと思いました。先日の実習で登場したRTワークス社の自動制御機能付き歩行器やサイバーダイン社のHALなども紹介されました。サイバーダイン社の山海先生は講義最終日のファイアサイドセミナーで特別講義にご登壇されるとのことで、今から楽しみです。     本日の講義は、これまでのModule1~3で学んだことが随所に登場し、各論として学んできた知識が少しずつ統合されていきました。来週も多くの先生方のご講義を通して医療機器開発の実践について学びます。        2018.9.15  MDDコース2期生 チコ(ChiCo)

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2018.09.08

MDD Diary 2018 #12 (2018/09/08)

大きな台風に北海道の地震と、心が休まることがない1週間でした。 そのような中、本講義にご参加いただきましてどうもありがとうございました。   本日はModule3『医療機器開発のための機器実習』の第4日目が大阪会場にて開催されました。   内視鏡機器と鏡視下手術機器、(オリンパスメディカルサイエンス販売株式会社)、血液透析機器(ニプロ株式会社)、自動制御機能付き歩行器(RTワークス株式会社)、3次元画像解析システム(富士フィルムメディカル株式会社)、義肢装具(川村義肢株式会社)についてメーカーの方からのレクチャーを受けた後、実習を行いました。   実際に手にした内視鏡のスコープは重量感があり、片手で把持しながらダイアルを回すのが難しかったです。でもダイアル自体の操作はとても簡単で、右に左に素早く動く先端部に驚きました。内視鏡は、日本から世界へ羽ばたく医療機器の代表例ですが、これについてはモジュール4でも高山先生から開発の経緯などをご紹介いただく予定です。     3Dメガネを装着して体内の奥行きを体感しました。3Dときくと映画のような迫力を求めてしまいそうですが、本装置では医師の疲労を抑えるために飛び出る3Dではなく奥行き感を出しているときいてとても勉強になりました。ラパロトレーナーで鉗子をもちいた縫合操作を体験しましたが、慣れないとかなり難しいですね。     透析中の患者さんの快適性を考慮して、操作音のかわりにタッチパネルでの振動を用いた構造にするというきめ細やかな製品作りに驚きました。また、このコースの途中も地震や台風が日本を襲いましたが、災害で停電になった際のことも考えられた設計であることがよく理解できました。     家電業界で培った技術をもとにヘルスケアの分野で新規事業をはじめてこられたこれまでの経緯を、国の制度なども交えて教えていただき、大変勉強になりました。散歩途中で疲れたら座ることができるというのもすてきだなと思いました。高齢化先進国でもある日本から、こういった機器が世界に拡がると素敵だと思います。     CT画像だけで見事な3D画像ができあがっていくのに大変驚きました。あらゆる角度からみることができたり、いろいろな条件を設定して余分な情報を削ぎ落とすことができたり、診断・治療にとても有用なシステムだと思いました。肺の腫瘍の位置がボタンひとつでわかるなど、かつては未来の医療と思っていたことが着実に実現されつつあることがわかり、これまで私たちが常識と思っていたことが変わりつつあるのを感じます。     義肢や義手をつけて実際に動かせるようになるにはリハビリが必要なことや、一度作って終わりではなくサイズがかわって作り直しが必要なことなどを知りました。義肢をつけて歩くのも、筋電義手でモノを掴むのもとても難しそうでしたが、こういったものが本当に必要な方にとっては体の一部になっているということがわかりました。     講義後は、東京会場、福岡会場の皆様、そしてMDD2016、MDD2017、MDD2018の受講生、講師の先生にもご出席いただき「MDD2018 イブニングネットワーキング」が開催されました。     先日行ったリスクマネージメント実習と、知財実習の表彰が行われ、知財実習で講師を務められた弁理士の長谷川先生から、大賞、優秀賞、入賞の賞状が送られました。リスクマネージメント実習の「弁護士要らずでコストカットで賞」は同じく講師を務められた弁護士の吉田先生から、「審査員になれるで賞」は突如現れた岩元先生(?)から、そして大賞は谷岡先生から、各受賞グループに賞状が授与されました。     お忙しい中、ご参加いただきました皆様、どうもありがとうございました。 本日で、Module 3 『医療機器開発のための機器実習』が終了になります。 大阪までお越しいただきました東京会場、福岡会場の受講生の皆様、本当にお疲れ様でした。一緒に学ぶことができとても楽しかったです。 来週からは各会場に戻り、医療機器開発での実体験、課題、それをいかに克服するかについて、実際に医療機器開発をManageされてきた講師の先生から教えていただきます。 残すModuleもあと一つになりました。 どうぞよろしくお願いいたします。   2018.9.8 MDDコース2期生 チコ(ChiCo)

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