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RME diary 2019 day 4 (2019/12/14)

2019-12-14

12月14日に細胞製造設計エキスパート育成講座ファンダメンタルコースの4日目が開催されました。
 

本日の1・2限目は、「再生医療統制品の製造施設における設計の考え方と適格性評価」と題して、大阪大学大学院工学研究科生命先端工学専攻の水谷学先生よりご講義いただきました。
1限目では、細胞の採取から投与までを3つのサイクルに分け、それぞれのプロセスにおける現状や課題を解説して頂きました。この3つのサイクルとは、①細胞源の選択(自己由来細胞/同種由来細胞, ES細胞/iPS細胞)、②細胞加工(培地・基材・手順)、③投与方法(注射/移植など)です。
特に印象に残ったのが、この3つのサイクル全てにおける課題を、豊富な実戦経験に基づいて解説して頂いた点です。例えば、細胞源・細胞加工の課題としては、生着率が低いこと、組織・器官化が難しいこと(血管形成ができないことによる)、医療機関ですぐに使えるような状態で提供しなければならないこと(医療機関での培地の除去には設備・技術者(臨床培養士など)が必要)、細胞・組織は凍結保存ができないこと、等をご紹介いただきました。
2限目は、無菌保証、安定性保証の具体的な手法についてご紹介いただきました。いずれも全工程における保証方法の検討が必要で、特に無菌保証は、医薬品等における無菌保証と異なること、安定性保証は、化合物のような同定が不可能であることから、保証方法が複雑になります。今回は、どのように保証を行うかについて、具体的な手法を1つ1つ教えて頂き、詳細に学ぶことができました。(Written by KO

 

3・4限目は、「再生医療・細胞治療に使用される細胞加工製品の品質・安全性評価」と題して、国立医薬品食品衛生研究所 再生・細胞医療製品部の佐藤陽治先生にご講義いただきました。
前半は、品質・安全性の評価手法を研究するレギュラトリーサイエンスと、代表的な細胞加工製品であるCAR-T細胞・ES細胞・iPS細胞の原理と課題についてご説明頂きました。後半では、細胞加工製品を具体的にどのように評価するかについて、特にiPS細胞/ES細胞の造腫瘍能、目的細胞へのなりやすさに絞って評価・試験手法の開発事例をご紹介いただきました。新たな細胞加工製品については、①目的に合わせて評価法を探す・作ること、②各評価法の能力と限界を認識すること、③各評価法の再現性・汎用性を知る、が重要であるということでした。
品質保証方法を検討する考え方だけではなく、具体的な事例を通じて幹細胞の生物学的な特徴・反応にまで踏み込んだ講義をして頂き、大変知的好奇心が刺激される内容でした。ありがとうございました。(Written by KO

 

2019.12.14
RME Diary 2019
Writers : なつ-工学と医学の融合分野で日々研究、国語が苦手な理系女子, ai -分析化学、代謝物の解析に従事する背が高めの大学院生, KO -現在は医学を、以前は工学を専攻していました
編集:KEI2