社会人教育コース

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2018.07.07

MDD Diary 2018 #6 (2018/07/07)

【メディカルデバイスデザインコース2018】 今週は真夏のような暑さとともにはじまりましたが、週の後半には記録的な大雨となりました。少しでも早く雨の勢いがおさまり、皆様に穏やかな日々が戻りますようお祈り申し上げます。   各地で警報が発令され、高速道路の閉鎖や交通機関の運休などがある中、多くの受講生の方々にご参加いただき、皆様の熱意を感じました。     『医療機器開発のマネージメント』第2日目は、医療機器安全研究所より萩原敏彦先生、JQA 一般財団法人 日本品質保証機構より芝田侯生先生、株式会社 UL Japanより吉田賢先生にご講義いただきました。     萩原先生には2コマにわたり、「リスクマネジメントとISO 14971」「医用電気機器とIEC 60601-1」と題してご講義いただきました。1限目はリスクマネジメントにおける重要な用語である「ハザード・危険状態・危害・リスク」について、電気ポットの熱傷事故の例を用いて解説いただきました。ハザードをとり除くことができない場合は多いが、ハザードを特定することで対策を立てることができるということ、事故情報を早期にフィードバックすることで新たな事故の発生を防止することができるということ等を学びました。2限目は、ME機器の詳細な要求事項についてご説明いただきました。日頃、何気なく目にしていた機器の表示や標識にも細かい規定があることを知り、驚くとともに、このような徹底した管理によって、私たちの命が守られていることを痛感しました。講義冒頭で過去の医療機器に関する事故をご紹介いただきながら、 『患者は一般の機械のようにとりかえることができない。だから医療機器は丁寧に作らなければならない』と話された先生のお言葉を忘れてはいけないと思いました。   芝田先生には、「EMC(電磁両立性)の実際」と題して、さまざまな制度とEMCの関連からEMC試験の実際まで非常に幅広い内容についてご講義いただきました。電磁波の存在を日々の生活において認識することはほとんどありません。しかし、目に見えない細菌が人間の健康を脅かすことがあるように、目に見えない電磁波も多くの医療機器で成り立っている現代の医療にとり大きな脅威になり得ると思いました。今後在宅医療が進むと、一般社会に医療機器がどんどん普及していくと考えられます。病院という管理された環境でなくても、医療機器が周囲に悪影響を及ぼすことなく、本来の性能を発揮していくために、医療機器におけるEMCの管理を徹底していくことが重要であると思いました。   吉田先生には、「ユーザビリティエンジニアリングとIEC 62366-1」と題して、ユーザビリティエンジニアリングの概念が普及している米国FDAの法規制を中心にご講義いただきました。誤使用(use error)を防ぐために、機能と形状をリンクさせるシェイプコーディングの例や、誤使用の原因を『まずは一回全ての誤使用をデザインのせいにしてみよう』という考え方など、大変勉強になりました。臨床現場では投薬ミスや患者誤認を防止するためにバーコードリーダーなどによる確認システムの導入が進んでいます。しかしヒューマンエラーをゼロにすることはできません。機器を開発する側も機器を使用する側も、『人は間違える』という思考を常に持っておくことが重要であると改めて認識できました。   今日の4つの講義を通して、機器開発におけるリスクマネジメントの実施と文書化の重要性を学びました。 来週7月14日はお休みで次回は7月21日になります。生物学的安全性試験、医療機器開発のプロジェクトマネージメント、医療機器をとりまく行政の役割と施策、QMSとISO13485について学びます。   今晩は七夕! ですが、今年も雨模様ですね。。。 大阪会場の前の川はこれまでに見たことがないくらい濁っていました。 皆様、お気をつけてお帰りください。   2018.7.7 MDDコース2期生 チコ(ChiCo)

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2018.06.30

MDD Diary 2018 #5 (2018/06/30)

【メディカルデバイスデザインコース2018】 今週は東京会場に参加させていただきました。 東京は梅雨が早々に明けたようで、きれいな夏空が広がっていました。 土曜日の早朝、日本橋三越前です。   『医療機器開発のマネージメント』第1日目は、サムエルプランニング株式会社 宮坂強先生、エバマーケティング合同会社 津嶋誠先生、医療機器センター附属医療機器産業研究所 石黒克典先生にご講義いただきました。   宮坂強先生には2コマにわたり「医療機器開発におけるマーケティングと出口戦略」「医療機器開発における組織マネージメント」と題してご講義いただきました。医療機器開発に成功した企業から学べるポイントとして、自社の研究開発力だけに頼らずオープンソーシング、オープンイノベーションを取り入れネットワーク構築をはかることや、客観的情報に基づいて市場性や需要を判断すること等をあげていただきました。また、大手機器メーカーの中にはX線透視設備を有するトレーニング施設や血管モデルなどが常備され、医療機器の安全使用のための研修が行なわれていることを教えていただきました。研修やトレーニングは大学や病院が中心となって行っていると思っていたので、医療機器開発企業も行っていることを知り少し驚きました。しかし、医療が高度化する中で、患者さんに安全な医療を提供するためにはとてもよい取組みだと思いました。トレーニング機器の例として、本メディカルデバイスデザインコースの運営をされている岡山先生が中心となって開発された、HEARTROID(心臓カテーテルに携わる医師向けのトレーニングシステム)もご紹介いただきました。   津嶋誠先生には、「医療機器開発におけるビジネス分析」と題して、前半はビジネス分析手法について幅広くご講義いただき、後半は実際に行われているさまざまなビジネスの例をあげて、それぞれの手法の具体的な活用事例をご紹介いただきました。SWOT分析はよく知られますが、顧客の購買までのメンタルなプロセスを分析するAIDMA分析や顧客の生涯価値を分析するLTV分析など、分析の視点が特徴的なものが多くあり、マーケティングのおもしろさや奥深さに触れることができました。   石黒克典先生には、「医療機器における承認・認証制度」と題して、医療機器を『法的に仕上げる』ためのプロセスについてご講義いただきました。医療機器開発企業の立場で考えると、多くの準備が必要とされ負担の大きなプロセスだと思われましたが、患者さんや医療者の立場で考えると、有効性や安全性をきちんと評価して医療機器が作られていることに大きな安心感を抱くことができるシステムだと思いました。メーカーで実務をされていたご経験から、部材調達時の調達元との情報のやりとりなど、実務的な質問についてもご説明いただきました。   東京会場ではランチョンネットワーキングが開催され、当日講師を務められた宮坂先生、津嶋先生、石黒先生、さらにモジュール最終講義をご担当いただく谷岡先生をはじめ、多くの受講生の方々、コース同窓生の方々にご参加いただきました。どうもありがとうございました。皆様方のネットワーク構築のきっかけになれば幸いです。   7月7日は、リスクマネジメントとISO 14971、医用電気機器とIEC 60601-1、EMC(電磁両立性)の実際、ユーザビリティエンジニアリングとIEC 62366-1について学びます。   来週もどうぞよろしくお願いいたします。   2018.6.30 MDDコース2期生 チコ(ChiCo)

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2018.06.23

MDD Diary 2018 #4(2018/06/23)

【メディカルデバイスデザインコース2018】  今週の月曜日、大阪では地震がありました。  少しでも早く、皆様の生活が元に戻りますよう、心よりお祈り申し上げます。    『医療機器開発のための臨床医学』第4日目は、泌尿器科学の野々村祝夫先生、循環器内科学の坂田泰史先生、脳神経外科学の押野悟先生にご講義いただきました。    野々村先生には、泌尿器科分野の内視鏡の歴史や泌尿器疾患の診断治療についてご講義いただきました。前立腺癌と腎癌の治療の一つとして、ロボット支援下手術について動画を用いて大変詳しく解説いただきました。術野のみを映した動画をみていると、術者が離れたところで操作していることも、3Dの画像であるということも忘れて、目の前で手術が繰り広げられていると錯覚してしまいました。今後はロボットにAIを搭載したものも開発されてくるのでは、とロボットのさらなる進歩の可能性についてもお話いただきました。    坂田先生には、2コマにわたり循環器医療の最前線について、随所に医療機器開発の視点を交えながらご講義いただきました。1コマ目の疾患・病理編では心不全の病態生理について、2コマ目の疾患・治療編では、「低侵襲」と「可視化」というキーワードをあげて循環器内科領域の診断・治療について大変わかりやすく教えていただきました。「低侵襲」の例の一つとしてTAVI(経皮的大動脈弁置換術)をご紹介いただきました。弁膜症を「カテーテルで治す」というCribier先生の発想や、それを成し遂げるまで一緒に開発された方々の情熱に触れ、少し心が熱くなりました。また、「可視化」の例としてあげられていた3Dエコーや血管内視鏡の画像は大変わかりやすく、コメディカルとの情報共有や患者様への病状説明の際などに大変有用だと感じました。    押野先生には、脳神経外科領域の医療機器についてご講義いただきました。水頭症の治療に用いられるシャント・システムや重度痙縮(手足のつっぱり)の治療に用いられるバクロフェン髄腔内持続療法(ITB)のデバイスなど、体内に長期的に留置される医療機器についてご紹介いただきました。これらを用いることで症状が改善し、患者様のQOLが飛躍的に向上していることを知りました。医療機器開発に携わる方々が患者様の元気になった姿や思いに触れる機会が増えれば、さらに有用な機器が数多く開発されていくだろうと思いました。    今日は大阪会場でランチョンネットワーキングが開催されました。大変多くの方々にご参加いただきどうもありがとうございました。MDDコースでのつながりが、多くの医療機器が生み出されるきっかけになれば幸いです。    今日でモジュール1『医療機器開発のための臨床医学』が終了となりました。臨床医学について、現場で日々診療に携わっておられる先生方から直接教わることができ、大変有意義な時間でした。      来週からはモジュール2『医療機器開発のマネージメント』がはじまります。第1日目は、医療機器開発におけるマーケティング、組織マネージメント、ビジネス分析、承認・認証制度に関する講義になります。 東京会場ではお昼のお時間をいただきましてMDDランチョンネットワーキングを予定しております。    来週もどうぞよろしくお願いいたします。   2018.6.23 MDDコース2期生 チコ(ChiCo)

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2018.06.16

MDD Diary 2018 #3(2018/06/16)

【メディカルデバイスデザインコース2018】  3週目になりました。今週は寒暖差の大きな1週間でしたが、みなさま体調はいかがでしょうか?    『医療機器開発のための臨床医学』第3日目は、消化器内科学の林義人先生、産科学婦人科学の木村正先生、救急医学の竹川良介先生、消化器外科学の高橋剛先生にご講義いただきました。    林先生には、胃癌、食道癌、大腸癌に対する内視鏡治療についての基礎から、先生ご自身の研究データをもとにした非常にアカデミックな内容まで幅広くご講義いただきました。講義の後半には、新しい機器についてご紹介いただきました。癌細胞が低酸素状態であることに着目して細胞の酸素飽和度を測定できるデバイスや、細胞の核まで観察できる超拡大内視鏡など大変興味深いものでした。 講義後の質疑応答では、内視鏡医には外科医の左手に相当するものがなく、切除の際に粘膜にテンションをかけることが難しいといった具体的な手技上の課題も交えてお答えいただきました。  先生が日頃使用されているスメア(EMRで用いる、先端から輪が出るデバイス)、局注針(EMR・ESDで用いる、先端が針になっているデバイス)、フラッシュナイフ(ESDで用いる、先端がボールチップになっているデバイス)について現物を用いてご説明をいただきました。思っていたよりずっと軽くて驚きました。(東京、福岡会場には、来週ご用意させていただきます。) ※ EMR=内視鏡的粘膜切除術  ESD=内視鏡的粘膜下層剥離術    木村正先生には「わかったようでわかっていない胎児の生理学的指標」と題して、胎児心拍モニタリングの変遷と近年の新しい方法についてご講義いただきました。また、講義の後半には、「超音波診断をたった一度受けることができれば救えたかもしれない命が、海外にはまだまだ存在する」という例をあげて、海外における医療資源の偏在についても教えていただきました。さまざま国の医療環境をみてこられた木村先生のお言葉は大変重く、「より便利に、より高度に」と医療の進歩を追求するだけではなく、幅広い視野を持って物事を考える重要性を再認識することができました。    竹川先生には、救急医の立場から救命救急の現場について、まるでドラマのワンシーンのような動画を交えてご講義いただきました。多くのメディアで取り上げられ、現在では認知度が上がってきているトリアージやクラッシュ症候群が、阪神淡路大震災を契機に普及したことなど、災害医療の歴史についても事例をもとに大変わかりやすくご説明いただきました。また、ドクターヘリやドクターカーの内部は非常に高温(もしくは低温)多湿、かつ狭小であるため、救急現場の医療機器は、過酷な環境に耐えられ、かつ持ち運びしやすいものが求められているということでした。    高橋先生には、消化器外科領域における内視鏡外科手術の現状と今後の方向性についてご講義いただきました。内視鏡を用いた外科的手術を行う際、術者には触覚があるが非常に弱く、臓器を把持するときには大変慎重な操作が求められているということをはじめて知りました。ダ・ヴィンチによるロボット手術は多関節であるため体の奥深い部分で非常に有用であるが、一方で触覚が感じられないとのことでした。いろいろな技術革新を経て、4K・8Kによる高精細な映像や3Dによる立体視が可能となった現在、次はどのようなアプローチで触覚に関する課題が解決されていくのかとても楽しみです。  講義冒頭、『日本一卓球の上手な医師』と自己紹介された高橋先生。卓球をされているお姿、いつか見せてください!    来週は泌尿器科学、循環器内科学、脳神経外科学の講義になります。  また、大阪会場ではお昼のお時間をいただきましてMDDランチョンネットワーキングを予定しております。  いろいろな方々とお会いできるのを楽しみにしております。(東京会場では6月30日に開催予定です)   梅雨時期のはずですが、今日も大阪は快晴。   今日の帰り道、   田蓑橋からの夜景。   強風でしたが、堂島川沿いにフェスティバルタワーの方へ続くブルーの光がとてもきれいでした。   来週もどうぞよろしくお願いいたします。   2018.6.16 MDDコース2期生 チコ(ChiCo)

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2018.06.09

MDD Diary 2018 #2 (2018/06/09)

【メディカルデバイスデザインコース2018】  今日の大阪は梅雨の晴れ間でした。福岡、東京はいかがでしたでしょうか?      『医療機器開発のための臨床医学』第2日目は、放射線治療学の水野裕一先生、放射線医学(医学部附属病院IVRセンター長)の大須賀慶悟先生、麻酔集中治療学の坂口了太先生、整形外科学の坂井孝司先生にご講義いただきました。    水野先生には放射線治療の種類や方法、治療成績、また臨床現場での治療の流れについても詳しく教えていただきました。治療計画の立案から検証、そして治療の開始に至るには、医師、診療放射線技師、看護師に加えて医学物理士が大変重要な役割を担っていることを知りました。講義の後半にはMRIリニアックという最新の照射装置をご紹介いただきました。現時点でいくつか課題はあるものの、被曝を気にせず実施できることや、腫瘍の囲みの不確かさが減少することなど利点も多く、数年後には日本でも使用されるようになるのではないかとのことでした。    大須賀先生には「広げる(拡張術)」「詰める(塞栓術)」など多岐にわたるIVRの治療領域について多くの画像を用いてご講義いただきました。使用されるカテーテルには、先端のバルーンの手前に側溝が空いているものや、親、子、孫の3層のカテーテル構造をもったものなど、用途に合わせていろいろなものがあることを教えていただきました。質疑応答の際には、2018年4月に施行された臨床研究法についての話題となり、適応外のものを使用した臨床研究が難しくなるのでは、という話も登場しました。この辺りはモジュール2で登壇される厚労省の先生、PMDAの先生にも伺いたいところです。    坂口先生にはBISモニターやINVOSなどの脳神経系の医療機器から、人工呼吸器、ネーザルハイフローなどの気道呼吸器系、ベッドサイドモニター、人工心肺などの循環系など実際の麻酔集中治療の現場で用いられているさまざまな医療機器について詳細に説明していただきました。麻酔集中治療の現場には本当に多くの医療機器があり、どれも生命を維持するにはなくてはならない重要なものばかりだと改めて学ぶことができました。    坂井先生には「人工関節の現状と展望」と題して、膝・股関節の解剖生理から人工関節の構造・材質などに関して詳細に解説いただきました。企業や医療者が人工関節をいかに長持ちさせるか、と材質や形状に試行錯誤を重ねてこられた歴史を聞かせていただいたように感じました。講義後には実際の人工股関節を触らせていただきました。大腿骨側に埋め込むstemと呼ばれる部分は想像以上に重く、骨頭の表面はとてもなめらか、かつブルーやベージュなど色がきれいで驚きました。(来週、東京と福岡会場にもご用意していただけるそうです。)    本日はwebによる質問もたくさんありました。本年度より福岡、東京、大阪それぞれの会場で受講されている方がおられますので、おいしいランチや帰り道のお立ち寄りポイントなど、みなさまからのお写真をお送りいただければ楽しいと思います。私もさっそく本日のランチの写真をあげさせていただきました。『ナイフで食べるエビフライ』と呼んでいる大きなエビフライです。大阪大学中之島センター(大阪会場)内にあるレストランで食べることができます。束の間のお昼休みですが、もしよろしければどうぞ。東京会場、福岡会場からの写真もお待ちしております~    来週は消化器内科、産科学婦人科、救急医学、消化器外科の講義になります。  来週ともどうぞよろしくお願いいたします。    2018.6.9    MDDコース2期生 チコ(ChiCo)

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2018.06.02

MDDコース2018がはじまりました

【メディカルデバイスデザインコース2018】  本日よりMDDコース2018がスタートしました。  今年はMDDコース2期生の私ことチコが実況中継を担当します。    第1日目は『医療機器開発のための臨床医学1』でした。精神医学より田中先生、呼吸器外科学より新谷先生、心臓血管外科学より吉川先生、内分泌・代謝内科学より宮下先生にご講義いただきました。  田中先生にはアルツハイマー病やうつ病の病態生理から診断、治療について、生化学的な側面からの解説やMRI画像などを用いて大変わかりやすく教えていただきました。特発性正常圧水頭症(iNPH)の患者様がVPシャント術を受けられた後、別人のように軽快な足取りで歩いておられる動画は大変印象的でした。  新谷先生には日本人に多い肺がんの診断と治療、そして肺移植について教えていただきました。臓器摘出に向かうドナーチームは開胸セットや術衣、手袋にいたるまで必要な道具を全て持参する必要があるという話は驚きでした。海外では、その準備を病院にかわって行うシステムがあるということも教えていただき、移植医療を取り巻く環境の違いを改めて感じました。講義後には、呼吸器外科の手術で用いられているエナジーデバイス(超音波凝固切開装置・バイポーラティシューシーリングシステム)の使い方を実物を用いて実演していただきました。  吉川先生には心臓血管外科領域で行われるさまざまな手術について、臨場感あふれる動画をみながら詳しく解説していただきました。胸骨にワイヤーをかけて締めながら固定している場面や、僧帽弁の人工腱索による修復で糸をかけている場面など、普通ではみることができない大変貴重なものをたくさん見せていただきました。    宮下先生には糖尿病の歴史から疫学、病態生理、診断、治療、また膵移植について大変わかりやすく教えていただきました。講義の中では血糖測定器やインスリンポンプなどのデバイスについてご紹介していただき、質疑応答の際には、2型糖尿病の予防という観点からデバイスを用いた活動量の測定などの方向性について教えていただきました。    本年度は東京、福岡、大阪の3会場で開催になり、本日は90名近い方々にご参加いただきました。質疑応答の時間には各会場からたくさんのご質問をいただき、講義内容への理解をさらに深めることができました。どうもありがとうございました。  来週は放射線治療、IVR(インターベンショナルラジオロジー)、麻酔集中治療、整形外科の講義になります。    帰り道、紫陽花が満開でした。  木々が色づく10月まで、これから約5ヶ月間どうぞよろしくお願いいたします。 2018.6.3   MDDコース2期生 チコ

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2017.10.21

【MDD】MDD Diary 2017 #16 (2017/10/21)

【メディカルデバイスデザインコース】  いよいよレギュラープログラム最終日となりました。第16日目は『医療機器開発の実践4』です。朝日インテック(株) 西内誠 先生から血管内治療用医療機器開発現場の挑戦について、本学医学系研究科感覚機能形成学教室 神田寛行 先生からは人工網膜の研究開発について、そして(株) ハート・オーガナイゼーション菅原俊子 先生から「医師の経験を共有する」ソフトウェアe-casebookの開発事例について、(株)IFG 森和美 先生からは磁気刺激装置Pathleaderの開発経緯とその後について、(株)イメージワン 岡庭貴志 先生からはモバイル心電計durantaの開発を通じて得た教訓についてご講義いただきました。  プログラム終了後は、カルビー(株) 松本晃先生をお招きして、特別企画 『MDD2017ファイアサイドセミナー』を開催いたしました。      ニーズの探索と明確化が重要、臨床現場のニーズを集めろとよく言われるが、そもそもNeedsとは何か、Wantsと同じか?顕在ニーズだけではなく、潜在ニーズはないか、そして、それをもとに、開発コンセプトをいかに固めるか、についてお話いただきました。製品の具現化を行うには、臨床現場の要求、ともすれば曖昧な情報を、具体的に判定できるDesign Inputにどう落とし込むか、すなわち、感性を工学的言葉に置き換える作業が必要になります。このためには、医療現場の言語を理解することが必要になります。実はこのコースの中核テーマのひとつでもあります。また、開発を進める上で、臨床側と開発側が共有できる評価系が必要ですが、一方で実験室での評価には限界があり、最終的には臨床現場での評価が必要であるということもご講義いただきました。    STS方式を用いた人工網膜開発についてお話いただきました。講義の中で何度も出てきた臨床現場の言語をいかに理解するかが重要というのは、1限目の西内先生のお話とも通ずる部分がありました。プロジェクトスタート当時、人工内耳や、心臓ペースメーカーなど体内埋植型の医用電子機器を製造する会社はあったが、日本国内には皆無だったため、部品から自分たちで開発・製造する必要があったというお話は、埋込型機器の国内での開発がいかに大変であるかが伺われます。また、埋込型機器となると、通常の医療機器以上にさまざまな試験を行って安全性を確かめる必要がありますが、これらの試験機器の開発も並行して行う必要があったというお話がありました。開発期間が非常に長く、なかなか開発投資を回収することが難しいカテゴリーに敢えて挑戦するのは創業者の思いでもあるとのことですが、日本における埋込型医療機器の領域で最初の灯をつけたいという執念が感じられる講義でした。特に最後のフレーズがすべてを物語っていたと思います。『諦めずに一歩ずつ前に進むことが大切。なぜなら、患者さんが待っているから。』    医師の経験を共有するソフトウェアe-casebookの事例についてご紹介いただきました。学会事務局の運営業務を行う中、多くの医師が医療情報を安全に共有できるサービスが必要という潜在ニーズに気付き、開発を始められたということをご説明いただきました。マーケティング出身ということで、顧客ニーズ探索について、Go or Not Goの判断をどのように決めているかについてもご紹介いただきました。また、このソフトウェアを医療機器とするプランもあったとのことですが、診断を目的としているわけではないため、プログラム医療機器とするよりも、非医療機器の方が柔軟性のあるサービスを行うことができるという判断に至った経緯についてもお話いただきました。ネットワークビジネスは収益化モデルが話題になりますが、今回はどのようにマネタイズしていくかの戦略についても一部お話いただきました。    脳卒中後の後遺症で障害を負った患者さんに対する新たなリハビリテーションとして、末梢神経の刺激による手法の研究が進められています。この研究結果を元に、痛みや不快感が少ない形で末梢神経の刺激を行う磁気刺激装置Pathleader(パスリーダー)を開発した経緯についてご紹介いただきました。コンサルティングの方々から製造販売の業許可を取得するのは不可能と言われながら、自力で業許可の取得を行い、今回の機器の認証を達成されるまでのプロセスについてお話いただきました。製品化フェーズでは公的資金がなかなかでない現状がありますが、金融業界出身を生かし、ご自身で金融機関と交渉を行い、開発を継続されてこられたまさしくビジネスの現場がよくわかりました。    モバイル心電計durantaの開発事例と、開発を通じて得た教訓についてご講義いただきました。医療機器開発は全て患者さんのためであり、製品を安定的に供給できない企業は無責任である、アイデア自体に市場価値はゼロで、作って、広めて、稼いでこそ、安定供給が可能になるというお話しをいただきました。そのためには、最初の前提をじっくり考えることが重要です。患者数、使用頻度、保険、費用対効果からマーケットサイズを割り出し、機能、デザイン、ユーザビリティから競合品との差別化ができているか、そして、宣伝力などを加味しマーケットシェアを分析しなければなりません。今回の製品開発を通じて、次の開発の際には何をどのように進めるかというビジョンの立て方についてもご教示いただきました。    プログラム終了後は、カルビー(株) 松本晃先生をお招きして、特別企画 『MDD2017ファイアサイドセミナー』を開催いたしました。テーマは『The Future is Bright!〜日本から世界に通用する医療機器を出すために必要なビジネス戦略〜』です。      松本先生はご存じの通り、商社からスタートし、傘下の医療機器メーカーの建て直しを経て、医療機器業界世界No.1のジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社社長に就かれ、ご活躍されました。今回のセミナーでは、ご自身の歩み、経営とは、世界の医療機器産業、日本の医療機器産業、そして、医療機器ビジネス成功のための10のヒントについて、ご講義いただきました。『夢なき者に成功なし』というお言葉は、多くの受講生の皆様、そして講師の先生に深く刻み込まれたと思います。      昨年度の受講生もお招きして、MDDイブニングネットワーキングが開催されました。松本先生をはじめ多くの講師の先生にもご出席いただきました。坂田泰史 国際医工情報センター長より、大阪会場、東京会場それぞれの代表の方に、MDDコース2017の修了証が手渡されました。      皆様、延べ5ヶ月間お疲れ様でした。今年度は東北や九州から航空機や新幹線を利用して通学される方も多く、毎週の受講は大変な労力であったと思います。それぞれの所属組織、あるいは新しい形でご活躍されることを期待しております。今回のコースの内容のみならず、今後もMDDコース卒業生として、このネットワークを大いにご活用いただければと思います。MEIプロフェッショナルコース事務局では、いつでも皆様からのご連絡をお待ちしております。今後もさらにコースの内容を充実すべく努めてまいりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。(運営事務局より)

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2017.10.14

【MDD】MDD Diary 2017 #15 (2017/10/14)

【メディカルデバイスデザインコース】  第15日目は『医療機器開発の実践3』です。今回のテーマは『医療機器ビジネスの現実』です。山科精器(株) 保坂誠 先生から医療機器開発ビジネス立ち上げで見えた課題、(株)ケイエスピー 栗田秀臣 先生から医療機器開発ベンチャーの資金調達と出口戦略とその実態、そして、ジーニアルライト(株) 和田英孝 先生からはTACE(肝動脈化学塞栓術)におけるデバイスの開発、本学未来医療開発部 真田昌爾 先生からは診療と研究の境界線・先進医療と治験・評価療養の概略とその利用戦略についてご講義いただきました。      公的資金によるプロジェクトについて、計画を公開することで、社内の事情で開発計画の遅れが出るリスクを減らし、さらに、ステージゲートがあることで、言い訳がしにくくなり、社内的にも目標を一にできるという利点をご紹介いただきました。医療機器開発においては、ニーズの確認、世の中的な技術の進歩も確認しながら進めなければなりません。できた頃にはニーズがなくなっていた、上市する頃には新しい技術が開発されてやり方自体が変わっていたなどさまざまなことが起こりえます。また、産学連携においては、学術的評価と臨床的評価を分けて考える必要があり、学問的には面白いが臨床的には使われないという製品ができてしまうのを防ぐことも必要です。さまざまな方のアドバイスも得る一方で、それを鵜呑みにするのではなく、必ず自社の状況と照らし合わせて咀嚼した上で取り入れるということが重要であることがわかりました。また、メディアや会社見学などを通して会社としてのブランディングを行い、社内の他部門の理解を得つつ、開発チームメンバーのモチベーションをいかに保つかがプロジェクトマネージャーの仕事であるというのは、まさしく新規参入で医療機器開発部門を率いてこられた方だからこそ発せられる教えでした。    VCとしての立場、そして、長年多くのベンチャー企業のインキュベーターをやってこられたご経験から、実例を交えてポイントをご講義いただきました。事業計画を作るのは対話であり、事業ドメインの設定を行うことでその事業をやる必然性がわかるというお話から、ただ流行りだから医療関連ビジネスをやるというのではなく、なぜ医療領域をやるのかということをよく考えなければならないということがよくわかりました。資金調達については、お金にも種類があり、どの資金を何に使うかが重要である、そして、どれぐらいの資金が実際に必要か、誰からいつのタイミングでいくら調達するか、いいときも悪いときもあるので、出資メンバーはよく検討する必要があるということを解説いただきました。医療機器、創薬ベンチャーがうまくいかない理由の多くが資金調達の不調によるものであるため、創業当初からR&Dと同じ重要度で人材面の準備が必要です。さらに、出口戦略として事業売却を考える場合は、開発までか、治験までか、承認取得までかなど、自社の規模や能力に応じてどこまでやるかをよく考える必要があります。ステルス方式でやる戦略もあるが、ベンチャーでリソースが少ない場合は、さまざまな場所で考えをアピールし、共感してくれる人を集めるのも必要であるということをご講義いただきました。    TACE(Transcatheter Chemoembolization)の治療手技の発展と、マイクロカテーテル、塞栓材の開発の歴史について、心臓の冠動脈のインターベンション治療:PCI(PTCA)と比較しながら解説いただきました。TACEの前身であるTAEは、1970年代に大阪市立大学の山田先生らのチームによって生まれた日本発の治療法です。因みにPCI(PTCA)は同時期にスイスのチューリッヒ大学で生まれています。これらに必要なマイクロカテーテルを製造するベンチャー企業を興し、研究開発と経営を率いてこられた中での課題についてお話いただきました。新規治療法における医療機器の開発は、工場ラインや製造販売の体制などすべてを整えた状態で治験という流れになるため、ベンチャーで最終段階までやるとするとかなりの資金が必要となるというのは、栗田先生のビジネススキームの構築、出口戦略のお話とも通ずる点がありました。    新しい医療機器の開発は、患者さんが少しでもよくなるためにという思いでなされると思いますが、やり方を間違えると、熱い思いで始まった研究開発も非難に晒されることがあるということを、事例を交えてご紹介いただきました。「研究」と「診療」を意図モデルと承認モデルの判断軸から分ける基本的な考え方、革新的医療におけるヘルシンキ宣言をもとにした考え方、これらをまとめた研究倫理についてご紹介いただきました。臨床研究と治験の違い、そして、治験は薬事承認に向けて薬機法の下に行われる臨床試験、先進医療は保険収載に向け、医学系研究に関する倫理指針の下に行われる臨床研究であるという大きなくくりでの違いについて解説いただきました。未承認医療機器の保険収載へのロードマップを、1.治験コース、2.先進医療コース、3.先進医療→治験コースにわけ、コストやかかる期間、目的など、どのような場合にどのコースを検討すべきかについてご教示いただきました。    次回10月21日はいよいよレギュラープログラム最終日となります。血管内治療用医療機器開発現場の挑戦、人工網膜の研究開発、医師のためのクラウドサービスソフトの開発、磁気刺激医療機器の開発、ウエアラブル心電計の開発についての講義を予定しています。  尚、当日はカルビー(株) 松本晃先生をお招きして、特別企画 『MDD2017ファイアサイドセミナー』を開催いたします。    モジュール4医療機器開発の実践スケジュール

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2017.09.30

【MDD】MDD Diary 2017 #14 (2017/09/30)

【メディカルデバイスデザインコース】  第14日目は『医療機器開発の実践2』です。今回のテーマは『新たな価値の創造』です。マイクロソニック株式会社 松崎正史 先生からエコーのパラダイムシフトについて、医療機器センター附属医療機器産業研究所 高山修一 先生から内視鏡機器開発の歴史から将来の展望、そして、大阪工業大学 本田幸夫 先生からはNormalizationを支援するロボット介護機器の開発、大阪ガス株式会社 松波晴人 先生からは新たな価値を創る方法論としてのForesight Creationについてご講義いただきました。    骨の中は超音波では見えないという常識を覆す研究に始まり、レントゲンやMRIのように、エコーでの乳がん検診も検査者の手技によらず一定の診断ができる形を目指して、半自動的に超音波画像データを取得するシステムを開発するなど、既存の超音波診断機器の発想と違った視点での開発事例についてご紹介いただきました。国が地域包括ケアシステムの確立を目指す中で、これまで病院が支えてきた医療の軸足が地域に移るという考え方のもと、『たくさんの高齢者に安価な医療を提供する』をコンセプトに機器開発を行うという考え方についてもお話いただきました。この実践例として、往診現場での体液管理を目的とし、あえて機能を絞り込むことで、普通のタブレットにプローブを装着すると超音波診断装置に変わるというシンプルさを実現したmiruco(ミルコ)のご紹介をしていただきました。まさしく、『その場でちょっと見たい』という現場のニーズを形にした機器です。講義ではシミュレーターを用いて、実際に機器操作を体験していただきました。    胃がんを撲滅したいという共通の目標のために、医工連携で開発された内視鏡(胃カメラ)についてご講義いただきました。今では想像もつきませんが、なんと社内ベンチャーで開発が進められたということです。医師の目と手を体の中に運ぶ手段であるというコンセプトのもと、医師と技術者が手を組んで、少しでも患者さんに優しく、少しでも現場の医師が使いやすい機器を目指して一緒に開発してきた歴史がよくわかりました。技術開発を率いられる中で、試作にとどまったたくさんの事例についてもお話いただきました。しかしながら、こういった製品化には至らなかった開発過程から、製品化に至るものの基礎となる技術が発達したということが伺われました。医師とコミュニケーションできる医学知識、医師と共有できる目標、医師の要望を具現化できる技術力、そして10年以上利益がなくても続けるという努力が、世界に誇れる内視鏡を実現したということがよくわかりました。    コンピューターやロボットにおける技術革新の可能性、これらの技術で高齢化をはじめとする、日本が抱える社会問題をどのように解決するかについてお話いただきました。安全なロボットとは何か、ここでもリスクマネージメントの話が登場しました。ISO13482 生活支援ロボットの安全規格、ISO12100機械類の安全性を確保するための国際標準規格についてもご紹介いただきましたが、基礎的な部分は医療機器の場合と同じであることがわかりました。現在国の事業などを中心に、ロボット介護機器における設計品質の確立についての基礎ができた状態ですが、今後はロボットを現場で使用することで、現場の負担が減り、普及するフェーズへの移行が必要であるというお話がありました。介護ロボットをビジネスとして考えるとRehabilitation (リハビリ)からNormalization(在宅)へのシフトを進め、「技術はあっても商売で負ける」という残念なパターンにならないよう、どのような戦略を立てていくのかが重要です。安心安全のキーワードは外せませんが、ハードルを上げすぎて開発やビジネス化が進まないという事態にならないよう、バランスが必要だということですね。    日本のモノづくりの特徴のひとつとして、改善改良が得意という点があると思います。一方、医療機器の分野において、今後は世界にないものを日本で創ることが求められています。この講義では『ないところから新しい価値を創る』ことをキーワードに、Foresight Creation(=新たな価値を生むこと)についてご講義いただきました。効率的に最短距離で解を求めるリニア思考から、観察を通して得た気づきにより意外な真相=Insightをつきとめるリフレーム思考への転換、そして収束思考からさまざまなアイデアを生み出す発散思考への転換についてお話いただきました。Creativityとは異質なものを結びつけて新たな価値をつくる統合とリフレームであるという考え方、そして、顧客ニーズを理解し、潜在機会は何かを考えつつ、こういう世の中にしたいという強い意思が、イノベーションを目利きし評価する能力、すなわち「先見力」を生むということを、本田宗一郎やスティーブ・ジョブズの例を挙げてご説明いただきました。どのように新しい価値を発想し、それをどのように意思決定するかが、新しい医療機器を開発する肝になる訳ですね。   大阪会場のある中之島周辺は絶好の秋晴れでした。 コース開始から5ヶ月目に入り、朝晩は少し肌寒さを感じる季節となりました。 受講生の皆様におかれましては体調をくずされないようご自愛ください。        次回10月14日は医工連携の事例、医療機器開発企業の資金調達と出口戦略、肝動脈化学塞栓療法、診療と研究の境界線・先進医療と治験の講義を予定しています。    モジュール4医療機器開発の実践スケジュール

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2017.09.16

【MDD】MDD Diary 2017 #13 (2017/09/16)

【メディカルデバイスデザインコース】  第13日目は『医療機器開発の実践1』です。このモジュールでは、実際に医療機器開発に携わる先生方から機器開発の現場と現実を学びます。午前は妙中義之先生より我が国の医療機器開発環境の現況と近未来、シスメックス(株)浅野 薫先生より体外診断用機器と試薬の開発についてお話いただきました。午後からは(株)アドメテック中住慎一先生よりハイパーサーミア機器の開発事例、新久喜総合病院の澤海綾子先生、(株)丸井商事 井木英之先生より橈骨動脈穿刺用手台(らでぃ丸)の開発事例、最後に東京大学 田倉智之教授より医療機器の価値評価の方法と実践についてご講義いただきました。    国の医療機器開発に対する取り組みに始まり、医工連携のあり方、さまざまな得意分野を有する組織が手を組んで、コンソーシアム形式で開発を行うシステムについてお話いただきました。先生が長年取り組んでこられた、臨床現場のニーズから開発をスタートさせるコンセプトについてもご紹介いただきました。さらに、実例として、国立循環器病研究センターにて開発を主導された高性能人工肺、それを発展させたポータブル人工肺の開発プロセスについてもお話いただきました。    3人の技術者から社内プロジェクトとしてスタートし、血球測定機器の開発を機に独立、ハードウェアの開発のみならず、検査用試薬の開発への展開を行い、医療機器メーカーとしての成長についてご紹介いただきました。開発事例として、臨床医との偶然の出会いから始まったOSNAの開発についてお話いただきました。プロジェクト開始から約10年を経て、さまざまな場所で活用されるようになっているとのことでした。また、2015年の米オバマ大統領の演説にも登場した、遺伝子情報、生活環境やライフスタイルにおける個々人の違いを考慮して疾病予防や治療を行うPrecision Medicine への取り組みについてもご紹介いただきました。現在でも一部の分野では応用されていますが、さらに患者さんごとの遺伝子変異を調べることで、最適な抗がん剤の選択ができる日も近いかもしれません。最後にオープンイノベーションについて日本発のロボット支援手術機器プロジェクトについてもご紹介いただきました。まさしく『ひとつの製品は世の中を変えうる』というメッセージにふさわしいご講義でした。    ベンチャー企業にあるものとないものというタイトルにふさわしく、実際にベンチャーを興してトップとして機器開発を主導されている方でなければ語れない、まさしく現実のお話をご提供いただきました。未熟でも構わない、バカや勘違い大いに結構、諦めるのは一瞬でできるなど、学生や若い受講生の方に訴えかけるメッセージが多々織り込まれていたと思います。1限目のご講義でもありましたが、シーズオリエンティッドではなくニーズオリエンティッドであるべきという言葉は、今回のコースを通じて何度も登場する共通の原則です。実際に事業として持続していくために、動物をターゲットとした治療への参入も行うなど、幅広く展開しつつ、治験も行うという粘り強さが開発を継続できる源だと感じるプレゼンテーションでした。    カテ看(カテーテル室の専門看護師)として、医師のカテーテル手術に立会う中で感じたニーズを形にすべく、ものづくり側(メーカー)のパートナーを見つけ、医療機器として製品化まで漕ぎ着けた経緯についてお話いただきました。メーカー側でも姿勢制御用のクッションの開発を進めていたこともあり、まさにニーズとシーズがマッチした看工連携のスキームです。心臓カテーテルからその他の領域にも視野を拡げ、見据えるのは海外市場というビジョンは、本コースのテーマでもある、日本からめざす医療機器開発そのものですね。短期間で製造業から製販業の業許可取得も行い、さらに、阻害要因は後まで残さない、継続は力なりというメッセージは、現場のニーズを形にしたいという熱意を表していると思います。    財政均衡を保つため、価格水準の適正化のみならず、資源配分の円滑化にかかわる議論が増えているということをお話いただきました。ある診療分野のみが利益が出やすい、逆に利益が出にくい診療分野があるとなると、新しい機器の開発が進まなくなったりします。こういった観点から、偏りの少ない資源の配分を進めるとともに、革新性を評価する必要がありますが、その一方で、使用数や技術の陳腐化などいわゆる経済原理の面も考慮しなければならないのが現実です。新しい医療機器の開発促進のためには、開発側にも魅力のある公定価格がつくのが望ましいですが、他方、医療費の増大抑制はまったなしという議論もあります。費用効用分析の考え方、諸外国における費用対効果評価方法、QALYの概念についてもご紹介いただき、イノベーションと公的資源投入のバランスを勘案した公定価の決定を目指して、当局では議論が行われているということがよくわかりました。大変難しい内容ではありますが、医療機器開発を進める上で避けては通れない価格決定のプロセスについて、大変わかりやすく解説いただきました。      次回9月30日はポケットエコー、内視鏡開発、ロボット介護機器、そしてForesight Creationの講義を予定しています。  モジュール4医療機器開発の実践スケジュール

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2017.09.09

【MDD】MDD Diary 2017 #12 (2017/09/09)

【メディカルデバイスデザインコース】  第12日目は『医療機器開発のための機器実習4』です。午前はニプロ株式会社、オリンパスメディカルサイエンス販売株式会社のご協力を得て、血液透析機器、内視鏡機器、鏡視下手術機器について実習を行いました。午後からは、RTワークス株式会社、富士フィルムメディカル株式会社、川村義肢株式会社のご協力のもと、自動制御機能付き歩行器、3次元画像解析システム(画像診断ワークステーション)、義肢装具について実習を行いました。  先週の腹膜透析機器に続き、血液透析機器についてご紹介いただきました。かつては透析回路を機器にセットし、患者さんの血管内に空気が入らないよう、回路内に液を満たしてエアー抜きを行っていくという作業(プライミング)を毎日早朝から行っていましたが、現在では前日の夜にセットしておくことで、夜中のうちに機械がオートプライミングを行っています。実習では、実際の機器を見ながら血液透析医療の背景、そして機器がどのように進化してきたか、災害時など万一の場合の対策などについて説明いただきました。    内視鏡の実習では、気管支鏡、上部消化管内視鏡(胃カメラ)、下部消化管内視鏡(大腸ファイバー)に至るまでをご用意いただき、実際に胃カメラの挿入を体験しました。軽鼻内視鏡などの細径化を始め、手技中にファイバー部分の硬さを調節する技術やNBI(Narrow Band Imaging狭帯域光観察)など、少しでも検査が効率的で患者さんにとっても楽になるよう日々進歩していることがわかりました。また、2002年ごろより実用化が始まったIT Knife、そしてそれを用いた治療、すなわちESD(Endoscopic submucosal dissection内視鏡的粘膜下層剥離術)の発展についてもご紹介いただきました。モジュール4ではこの開発を率いられたひとりである高山先生をお招きし、さらに日本が世界に誇る内視鏡の開発の発展について学習したいと思います。    鏡視下手術機器の実習では、スコピスト(カメラの持ち役)と術者のふたり一組になり、ラパロトレーナーを用いて腹腔鏡手術シミュレーションを体験しました。3Dメガネをかけて立体視での操作を行った後、2Dと3Dでの操作感の比較を体験しました。立体視の方式の違いや、軟性鏡、硬性鏡、先端フレキシブル硬性鏡の違いについても解説いただきました。体内の環境で実際に針をかけ、糸を結ぶ操作は想像以上に難しいことが体験できました。    高齢化の課題を抱える日本においてますます重要となる介護福祉機器として、自動制御機能付き歩行器の実習を行いました。もともとエレクトロニクスメーカーからスピンアウトしたメーカーが開発しているとあり、データ通信機能、センサー制御技術が搭載されている一歩進んだ歩行器を体験しました。データ通信が行えることで、機器の稼働状況がわかり、使用している高齢者に何か起こっていないかを間接的にモニターすることも可能であることがわかりました。    DICOM、PACSなどの用語説明から、CTやMRIといった画像診断機器とこれらのデータを統合する画像データサーバーの役割と立ち位置に始まり、3次元画像解析システムがどのような局面で臨床に貢献しているか、そして自動抽出機能を用いたいわゆるCAD(Computer-aided Diagnosisコンピュータ支援画像診断)についてもご紹介いただきました。実習では肺腫瘍の抽出から、気管支と血管、腫瘍の位置関係がどのように把握できるのかなどについて、実際にワークステーションのデータを操作しながら体験しました。AIを利用した自動診断がいつ実現するのかはわかりませんが、そう遠くないようにも思われます。これまで、人海戦術で行っていた術前画像の作成も、自動化が相当進んでいることがわかりました。    義肢装具はいわゆる病院で使用する医療機器のような保険償還システムとは異なり、『療養費払い』という制度により、患者さんに還付される形で費用の支給がなされています。この制度についての説明、義肢装具士の役割、さらに、どのような患者さんに義肢装具が使用されるか、リハビリロボットと義肢装具の立ち位置の違い、日本と諸外国の違いについても解説いただきました。実習では、筋電義手や下肢の義肢などを実際に体験しました。タブレットの制御で動作モードの変更ができるものもあり、技術の進歩がここにも反映されていることがわかりました。    講義終了後は講師を務めていただきました谷岡先生、長澤先生、長谷川先生にもご出席いただき、MDDイブニングネットワーキングが開催されました。  長澤先生からはリスクマネージメント大賞、優秀賞の表彰、長谷川先生からは知財実習大賞、優秀賞の表彰がありました。この日は東京会場の受講生もほとんど大阪会場で受講いただきました。東京会場と大阪会場の受講生の交流が深まっていれば幸いです。    来週からはモジュール4『医療機器開発の実践』が始まります。  モジュール4医療機器開発の実践スケジュール

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