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MDD2016 講義詳細

日本の知財戦略の現実と今後(山本 秀策)

講義概要 1.日本の現状
   1.稼げなくなった
   2.なぜ?

2.知財への無関心と戦略の失敗
   1.日本民族は「穏やか」「戦いを好まない」「暗黙の了解」でまとまっている。
   2.知財権法は、武器を仕込み行使するための手続法でもある。
   3.ゆえに、知財、知財戦略は、元来、日本の民族性からほど遠い存在。

3.知財とは、知財戦略とは

4.日本の今後
   1.成長のためには
     果実(成果・成長)は勝ち取るもの→戦うための態勢・体制が必要
   2.その上で、事業戦略に必須の知財・知財戦略を考える
    ・トップの強いリーダーシップと先見性
    ・意思伝達に優れた組織
    ・専門性
    ・アカデミアとの連携
    ・知財代理人の的確な選定と的確な投入時期
    ・論理的思考

5.結論

講師略歴    1966年3月  大阪大学 工学部 発酵工学科卒業
   同年4月  キッコーマン醤油(株)入社。中央研究所等勤務。
   1974年3月  同社退職。特許事務所勤務を経て、
   1978年3月  米国ワシントンD.C.へ留学。Armstrong法律事務所に所属。
       その間、The Catholic University of America Law School
       にて米国特許法・商標法を学ぶ。
   翌年9月  帰国・事務所開設。
2003年12月  東京事務所開設。 2007年3月 福岡事務所開設。
   2014年3月  山本特許法律事務所(弁理士)
   2015年9月  三菱東京UFJ銀行と業務提携。

米国・欧州等の大学・政府研究機関を主たる顧客としてライフサイエンス、バイオ、情報、通信分野を中心に、Speed & Qualityをモットーに訴訟・ライセンシング・和解交渉・サーチ・特許庁手続などにおける実行可能な革新的解決策を提供して業績を伸ばす。世界から結集した多様で独創性に富んだ外国人スタッフ50余名を含む総勢約160名の知的集団を指揮。

大阪大学特任教授、奈良先端科学技術大学院大学客員教授、崇城大学客員教授、近畿大学非常勤講師、東北大学大学院非常勤講師を歴任。現在、大阪大学顧問弁理士、大阪大学招聘教授、大阪商工会議所議員、関西経済同友会幹事などを務める。

医療機器開発における倫理(霜田 求)

講義概要 はじめに、生殖技術、遺伝子医療、再生医療などの主な先端医療技術を概観し、そこで問題となる「倫理」について整理する。「倫理」という概念の基本的な意味を「倫理観」、「倫理学的に考えること」、「倫理をめぐる討議・意思決定」の三つの側面に分けた上で、「規範(権利・義務・責任)」、「価値(評価)」、「コミュニケーション」、「利益・コスト・リスク」、「社会政策」といった異なる位相における具体的な倫理的問いを挙げて検討する。
次に、工学(技術者)倫理の問題点を、「技術者の職業倫理」「製造物責任」「リスクの評価・管理・コミュニケーションと安全対策」「守秘義務/説明責任」「内部告発」「知的財産権、特許権」といったトピックに言及しつつ、検討を加える。
こうした論点を踏まえ、三つの具体的事例に即して、医療機器開発に関わる倫理的問題を考察する。第一に、慈恵医大付属青戸病院・腹腔鏡手術事件、第二に、脳機能の画像解析に伴う諸問題、そして第三に、脳への治療機器(DBS)装着と離脱に即して「未知のリスク」について検討する。
それぞれの事例から読み取ることのできる問題点をまとめながら、「倫理的に考えること」を受講者各自に実践してもらう。 
講師略歴 大阪大学文学部哲学科(倫理学専攻)卒業
大阪大学大学院文学研究科(哲学哲学史・倫理学専攻)博士後期課程進学単位取得退学
大阪大学文学部哲学科倫理学講座助手
熊本学園大学経済学部助教授
大阪大学大学院医学系研究科未来医療開発専攻(医の倫理学分野)助教授
大阪大学大学院医学系研究科予防環境医学専攻(医の倫理学分野)准教授
を経て、現在、
京都女子大学現代社会学部教授
大阪大学国際医工情報センター招聘教授

医療機器をとりまく行政施策と医機等法(柳沼 宏)

講義概要 医療機器は、疾病の診断、治療、予防に使用される又は身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等で政令で定めるものと定義されています。 保健衛生の観点から、医療機器がその使用目的に見合った有効性、安全性及び品質を有していることの審査や市販後の安全対策をはじめとした規制が行われています。
審査に当たっては、医療機器の基本要件(設計開発、リスクマネジメント等)への適合性や臨床上の性能評価などが確認・審査されます。この際、製品の技術的性能はもとより、実際の患者に対する有効性・ベネフィット、従来の治療法と比較した場合の優位性などの医療上の有用性についても説明できるようにすることが重要です。また、製造・品質管理上の是正措置、予防措置の実施、販売された機器の保守点検や修理などといった、承認後、販売後の措置もその重要性を増しています。
新しいタイプの医療機器が次々と開発されており、政府の成長戦略、健康医療戦略等においてもそれらの早期実用化に向け、様々な施策が示されています。本講義では、これらの医療機器の実用化の基本的な道筋を示す医療機器規制の内容及び行政の取組みについて概説します。
講師略歴 柳沼 宏、 厚生労働省 医薬・生活衛生局 医療機器・再生医療等製品担当参事官室  室長補佐
2000年に厚生労働省に入省し、医薬品・医療機器規制、血液行政、食中毒対策、国際案件などを担当。
在外公館での勤務、経済産業省への出向を経て、再び医療機器や再生医療等製品などの承認審査、市販前規制を担当。

認証・承認制度と保険償還(石黒 克典)

講義概要 医薬品医療機器法における医療機器の製品規制である承認・認証等についての概要とその考え方及びそれに続く保険償還の制度と最近の話題を含めて解説する。
講師略歴 医療機器メーカ(テルモ等)において、一貫して薬事業務全般を担当。
その間、業界活動として医機連法制委員会の委員長等を勤める。
その経験をもとに2013年より現在の公益財団法人医療機器センター付属
医療機器産業研究所にて活動。

医療機器規制の国際事情(村上 まどか)

講義概要 本講義では、米国、EU、アジアにおける医療機器規制の概略及び近年の動向を解説するとともに、国際医療機器規制当局者会議(IMDRF)における規制調和活動やPMDAの取り組む国際活動について紹介する。
講師略歴 2003年3月 慶應義塾大学理工学部機械工学科卒業
2005年3月 東京医科歯科大学医歯学総合研究科修士課程修了
2005年4月 独)医薬品医療機器総合機構 医療機器審査部配属(整形外科分野2年、循環器分野5年)
2011年3月 東京医科歯科大学医歯顎総合研究科博士課程修了
2012年4月 独)医薬品医療機器総合機構 国際部配属

リスクマネジメント(萩原 敏彦)

講義概要 今なぜこの規格が世界中で要求されているのか、及びどのような分野で要求されているかなどを説明します。また、この規格は、世の中の全ての医療機器を対象としているために、その要求事項は極めて抽象的で難解であります。
その難解な要求事項の世の中で発生した様々な事故事例を当てはめてみると、容易に理解することができます。今回は、JIS T 14971(ISO 14971)について、規格の要求事項の読み方、その背景と意図するところ、具体的に何をすればよいのかなどを解説します。
講師略歴 東京理科大学 電気工学科を卒業。卒業と同時に、オリンパス光学工業株式会社[現(株)オリンパス]に入社。開発部で、内視鏡用の電気機器の製品開発、及び安全規格に基づいた設計・開発・評価に携わる。後半は、品質保証部において、製品の国内外の安全規格への適合化の推進と評価を専門とする。
社内業務に並行して医用電気機器の国際規格作りに参画する。規格原案作成に携わった規格としては、IEC 60601-1(医用電気機器の安全通則)、IEC 60601-1-2(EMC)、IEC 60601-1-6及びIEC 62366(ユーザビリティ)、ISO 14971(リスクマネジメント)、及びその他電気メスや内視鏡などの個別規格の作成に携わる。
国際規格の発行に伴って、主査としてそれらのJIS原案作成を主導してきた。また、経産省の工業標準調査会の医療用具専門委員を10年程従事。2006年に工業標準化への貢献が評価され、経済産業大臣賞を受賞する。
現在は医療機器安全研究所の所長として、企業を対象に国際規格やJISに基ずく安全設計及び評価につて技術支援を行っている。また、各方面での講演、医療系大学での非常勤講師なども務めている。

IEC 60601-1(医用電気機器の安全通則)(萩原 敏彦)

講義概要 1977年に初版が発行されてから、この規格は世界中で用いられてきました。現在はその3版と追補を含めた3.1版が用いられています。この3.1版は、随所にリスクマネジメントが組み込まれているために、2版に比べて理解することが非常に難しくなってきました。我が国では、JIS T 0601-1として薬機法の基で必須の規格と位置付けられています。
全350頁ほどの膨大な規格でありますが、今回はその中で重要な部分について、事例も含めながら分かりやすく解説してゆきます。
講師略歴 東京理科大学 電気工学科を卒業。卒業と同時に、オリンパス光学工業株式会社[現(株)オリンパス]に入社。開発部で、内視鏡用の電気機器の製品開発、及び安全規格に基づいた設計・開発・評価に携わる。後半は、品質保証部において、製品の国内外の安全規格への適合化の推進と評価を専門とする。
社内業務に並行して医用電気機器の国際規格作りに参画する。規格原案作成に携わった規格としては、IEC 60601-1(医用電気機器の安全通則)、IEC 60601-1-2(EMC)、IEC 60601-1-6及びIEC 62366(ユーザビリティ)、ISO 14971(リスクマネジメント)、及びその他電気メスや内視鏡などの個別規格の作成に携わる。
国際規格の発行に伴って、主査としてそれらのJIS原案作成を主導してきた。また、経産省の工業標準調査会の医療用具専門委員を10年程従事。2006年に工業標準化への貢献が評価され、経済産業大臣賞を受賞する。
現在は医療機器安全研究所の所長として、企業を対象に国際規格やJISに基ずく安全設計及び評価につて技術支援を行っている。また、各方面での講演、医療系大学での非常勤講師なども務めている。

生物学的安全性試験(金澤 由基子)

講義概要 以下、5項目に分類して「生物学的安全性試験」について解説します。

  1. 生物学的安全性試験が必要となる理由
    医療機器承認申請の中での「生物学的安全性試験」の立ち位置を解説。
  2. 生物学的安全性試験とGLP
    GLPの必要性と医療機器開発者が押さえておくべき要点。
  3. 生物学的安全性試験の中身
    「生物学的安全性試験」の選択方法、各試験の原理と概要、
    サンプルプレパレーション。
  4. 生物学的安全性の評価
    生物学的安全性の評価方法および基本的な考え方。
  5. 生物学的安全性試験の実施例
    コンタクトレンズ、ダイアライザーおよびステントを装着したデリバリーシステム
    をモデルケースとして、「生物学的安全性試験」を行う際の留意点を解説。

講師略歴 こんにちは。一般財団法人 食品薬品安全センター 秦野研究所(FDSC)にて安全性事業部長を務めております金澤 由基子です。この度、医療機器開発のマネージメントIの講座にて「生物学的安全性試験」について講師をさせていただくことになりました。

私は「生物学的安全性試験」を介して、長年、医療機器開発をされる方々のお手伝いをしてまいりました。はじめは、FDSCにおいて、感作性試験の試験責任者として動物への投与や観察をしながら、試験方法の妥当性検証など学術的な面の研究もしておりました。実務の中で、医療機器開発をされている方々の「生物学的安全性試験」に対する様々なお悩みを一緒に考えるようになり、「生物学的安全性試験」に大きく影響する規制当局の考え方を理解する必要性を感じました。そこで、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)に移り、5年間、承認審査に携わりました。現在は、FDSCに戻り、生物学的安全性評価のコンサルタントに加え、ISO/TC194(医療機器の生物学的評価)国内委員として働いております。

私がお伝えできるのは医療機器開発の中のほんの一部ではありますが、これまでの経験や最新動向を少しでも皆様にお伝えできればと考えております。7月9日に皆様にお会いできるのを楽しみにしております。
 どうぞよろしくお願いいたします。

EMC(電磁両立性)の実際(芝田 侯生)

講義概要 医療機器の開発プロセスの中におけるEMCの位置付け、制度との関わりを、規格ベースで解説し理解する事を目的とします。
又、これからのものづくりにおいて必要とされる注意点について、EMCの観点から解説します。
講師略歴 大学卒業後、一般財団法人日本品質保証機構(JQA)で電磁環境試験業務に携る。
現在、彩都電磁環境試験所勤務
一般社団法人 日本医療機器産業連合会 技術委員会 EMC分科会 客員

チーム編成と組織マネージメント(宮坂 強)

講義概要 医療機器開発に必要な様々な機能や必要な環境について「チーム編成と組織マネージメント」の視点から考えます。
 1.世界の医療機器市場の凡そ50パーセントを米国系医療機器企業が占める現状と加速する企業再編の中で、日本の医療機器企業の位置づけを確認
 2.米国系企業の組織について紹介、その特徴を提示し「強いメーカの謎」について分析
   ◆米系グローバル企業の組織的な特徴を生かした「製品・市場構築」の例を提示
 3.日本の医療機器開発の特徴と問題点について考えます
 4.開発に必要な「チーム編成」を行う上で「考えておかねばならない」ポイントを議論
   ◆必要な機能・組織、
   ◆開発のプロセスに対する理解とポイント
   ◆所有する技術の位置付、特許、目指す事業形態
   ◆異業種からの参入事例の提示と成功のポイント
   ◆ネットワーク構築のための様々な体制
 5.組織マネージメント
   ◆米国における医療機器開発のマネージメント
   ◆組織マネージメントは誰が行うか?
   ◆開発のプロセスマネージメントと組織マネーにメントのポイント
講師略歴 ●長年、外資系メーカー(アボット・ラボラトリーズ、ベクトン・ディッキンソン、アルコンサージカル、ボストン・サイエンティフィック、アボットバスキュラー)に勤務し、
  ◆臨床検査自動化に関連して、
    (1)生化学検査、免疫検査、細菌検査の自動分析装置、
    (2)検査試薬。
  ◆治療用医療機器として、
    (1)眼科手術装置(白内障、硝子体手術装置、眼内レンズ等)
    (2)心臓血管外科デバイス(心臓弁、人工血管、ペースメーカ等)
    (3)血管内治療デバイス(ステント、バルーン、IVUS、脳コイル等)
   のマーケティング、製品開発等を行うとともに、
  ◆末梢インターベンション領域のビジネス構築を実施。
  ◆国産の植込型補助人工心臓の開発にも関与
●大塚メディカルデバイス株式会社にてエクゼクティブディレクターとして、投資先企業支援や血管内治療デバイスの開発等のマネージメントを実施。
●新技術を用いた市場の構築と、専門となる領域の臨床医、医療従事者の組織化等を行った経験を有する。
●資格等:薬剤師

開発資金と出口戦略(宮坂 強)

講義概要 医療機器開発に必要な資金の確保と将来の事業化に向けての出口戦略は、開発の早い段階で検討する必要があります。
 1.医療機器開発・事業化を待ち受ける難関や必要とされる資金など、開発のプロセスの重要なポイントを確認しながら、その課題について議論します。
 2.開発を行おうとする組織のタイプ等から、医療機器開発の「資金調達」の方法について考えます。
   ◆自己資金、や提携先、顧客企業とのタイアップ開発と資金
   ◆公的資金の活用、ベンチャーキャピタルの様な民間資金
 3.出口戦略は開発の早い段階から、また関門に直面した際にも検討が必要です。医療機器開発をする企業のタイプによっても「出口戦略」は異なります。
   ◆医療機器メーカの場合
   ◆異業種からの参入事例と出口戦略を検証します
 4.まとめ
   ◆出口戦略を考える上でのポイントを整理します
   ◆グローバルな視点、?出口戦略を考えるタイミング、?市場分析と自社内経営資源分析の重要性、?臨床ニーズと対象顧客の認識、?経験者、他社との交流
講師略歴 ●長年、外資系メーカー(アボット・ラボラトリーズ、ベクトン・ディッキンソン、アルコンサージカル、ボストン・サイエンティフィック、アボットバスキュラー)に勤務し、
  ◆臨床検査自動化に関連して、
    (1)生化学検査、免疫検査、細菌検査の自動分析装置、
    (2)検査試薬。
  ◆治療用医療機器として、
    (1)眼科手術装置(白内障、硝子体手術装置、眼内レンズ等)
    (2)心臓血管外科デバイス(心臓弁、人工血管、ペースメーカ等)
    (3)血管内治療デバイス(ステント、バルーン、IVUS、脳コイル等)
   のマーケティング、製品開発等を行うとともに、
  ◆末梢インターベンション領域のビジネス構築を実施。
  ◆国産の植込型補助人工心臓の開発にも関与
●大塚メディカルデバイス株式会社にてエクゼクティブディレクターとして、投資先企業支援や血管内治療デバイスの開発等のマネージメントを実施。
●新技術を用いた市場の構築と、専門となる領域の臨床医、医療従事者の組織化等を行った経験を有する。
●資格等:薬剤師

ビジネスとしての分析(SWOT分析・5FORCES)(津嶋 誠)

講義概要 ◆リアルビジネスでは、ベンチャーの起業や新規事業開発の際に、必ず事業計画/ビジネスプランを作成します
◆このスタータッププランニングの内容が、資金調達の成功率や新しいビジネスの生き残る確率に大きく影響します(Bloomberg)
◆プランニングには、ビジネス、マーケティング、セールスなどがあり、多くのファクターを色々な角度から分析をして、ビジネスに影響する要素を明確にしていきます
◆代表的な分析方法を説明しながら、幾つかのリアルビジネスをケーススタディーとして紹介します

講師略歴 ◆放射線科、循環器科を中心とした医療機器市場で、約30年間内資&外資系企業で営業、マーケティング、新規事業開発、人財育成を実践してきました
◆ベンチャーの起業では、2006年5社の投資企業から8億円の投資を受けて医療機器メーカーの創立、2014年6月現在のエバマーケティング合同会社を設立しました
◆エバマーケティングでは、マーケティング&コンサルティングの受託、資金調達サポート、ベンチャーの起業サポート、人財育成トレーニング、インターンシッププログラムのサポート、ビジネススクールでレクチャー、などのサービスを提供しています
◆詳細は下記のサイトで参照ください
URL: jp.linkedin.com/pub/合同会社-エバマーケティング/9a/82a/230/
https://www.facebook.com/evamarketingllc

QMSとISO13485(長澤 良樹)

講義概要 医療機器の開発〜製造・販売に必須である品質マネジメントシステムの要求事項について,設計開発およびリスクマネジメントに力点をおいて概説する。
講師略歴 現職:
  ◆医療機器および体外診断用医薬品の国内品質業務運営責任者として、
   QMS省令に基づく国内外製造所の管理監督
  ◆ISO管理責任者としてQMSの統括

業務経験:
  ◆ニプロ(株)入社後,設計開発部門での試験検査(特に生物学的安全性試験)を担当
  ◆その後,設計開発部門におけるISO13485の構築と管理業務等を経験
  ◆2007年よりニプロ(株)の品質保証責任者として今日に至る

業界活動等概略:
  ◆(一社)日本医療機器テクノロジー協会 QMS委員会委員長
  ◆(一社)日本医療機器産業連合会 QMS委員会副委員長

医療機器開発と材料調達(城風 淳一)

講義概要 旭化成株式会社は、素材企業であると同時に、グループ内に医薬と医療機器の事業会社を有しています。そこで、医療機器メーカーとして医療機器開発を進める際の材料調達のみならず、素材企業として社外の医療機器メーカーに材料を提供する際のリスクマネジメントについてお伝えします。また旭化成の例だけでは領域が限定される為、代表的な医療機器工業団体である日本医療機器テクノロジー協会(MTJAPAN)におけるアンケート結果を元にして、一般的な医療機器メーカーの材料調達に対する考え方をご紹介します。更に、医療機器と部材の製造物責任訴訟の例、部材供給ガイドブック、MTJAPANのマッチングサイト等についても紹介させていただく予定です。
講師略歴 S56年 3月           横浜国立大学 工学研究科 電気化学専攻修士課程修了 
S56年 4月 〜 S62年     旭化成 ベんベルグ・レーヨン技術開発部
S62年 〜 H 1年        旭化成 レーヨン工場長付
H 1年 〜 H 6年         旭化成 セルロース繊維技術開発部
H 6年 〜 H 7年         旭化成 繊維技術研究所
H 7年 〜 H 9年         旭化成 ハローファイバー工場 技術開発室
H 9年 〜 H13年        旭化成メディカル 学術部 課長
H13年 〜 H17年      旭化成メディカル 開発学術部 部長
H17年 〜 H18年      旭化成メディカル 機能商品事業部 事業部長
H18年 〜 H23年      旭化成メディカル 医療製品開発本部 本部長 
H23年 4月 〜 H26年 3月  旭化成 医療新事業プロジェクト プロジェクト長付 部長
H26年 3月 〜 現在に至る  旭化成 ヘルスケア研究開発センター センター長付 部長

日本医療機器産業連合会(医機連): 
  産業戦略委員会 委員、広報委員会 委員、国際政策戦略委員会 アジア分科会 主査
日本医療機器テクノロジー協会(MTJAPAN): 
  産業戦略委員会 副委員長

医療機器開発と販売(山口 幸宏)

講義概要  本講義では、基本的な医療機器の概要を説明し、医療機器を開発にするにあたりどのようなことを行って、市場に出していくのか概説する。
 また本講義の中心ともなる、医療機器販売業について、医療機器の開発を終え、承認・認証・届出で行い、認められた後市場に投入される。その医療機器は、医療機器販売業を経由し、使用者のもとに届く。その医療機器販売業の意味、業を得るために何をしなければならないのか、業を取得した後の遵守事項、販売に際し注意すべき点など、様々な点から、医療機器販売業を見ていきます。また業界活動で得た情報を盛込みながら説明をしていきます。
講師略歴 株式会社 吉田製作所 法務部 経営渉外室 室長

一般社団法人 日本医療機器産業連合会 販売・保守委員会副委員長
一般社団法人 日本歯科商工協会 医薬品医療機器等法に関する検討分科会 主査
一般社団法人 日本歯科商工協会 継続的研修テキスト作成委員会 委員長

1992年4月  アロカ株式会社入社、超音波画像診断装置の探触子設計・開発に従事。
2003年3月  株式会社 吉田製作所入社、一貫して薬事全般業務に携わる。
2004年6月~ 日本医療機器産業連合会 販売・保守委員会などの業界活動にも従事し、様々なセミナーで講演を行っている。

医療機器における臨床評価のポイント(谷岡 寛子)

講義概要 医療機器の開発における臨床評価について解説する。
医療機器の開発プロセス全体のフローを示し、臨床評価とは何か、いつ、どのように実施するのかを説明する。
また、臨床評価と日本での承認申請との関係を示すとともに、臨床評価結果の利用事例を一部紹介する。
講師略歴 所属:京セラメディカル株式会社 研究開発統括部 薬事開発部

略歴: 
神戸大学農学部卒業後、京セラ株式会社バイオセラム事業部に入社、治験、申請、市販後調査など、薬事関連業務全般に携わるとともに、1994年の同事業部へのISO9001の導入、品質システムの構築の際には、設計開発部分のシステム構築を担う一員として業務遂行にあたった。
2005年の薬事法改正に伴い、安全管理責任者として市販後安全管理業務を、2006年からは人工関節の治験実施責任者として治験推進に努め、現在は、新規製品の保険申請や、臨床研究の推進、フォロー等を統括するとともに、申請業務全体に対する、厚労省、PMDAとの対応を行っている。
業界活動としては、一社)医療機器産業連合会の臨床評価委員会委員長、一社)米国医療機器IVD工業会(AMDD) RAQAグループ リーダーシッチーム、一社)日本医療機器テクノロジー協会(MTJAPAN) 整形インプラント部会幹事、同部会法制小委員長として、審査迅速化のための新協働計画活動や、臨床研究法施行に向けての行政、業界の検討等に携わっている。

ME概論(講義,演習の意義)(石原 謙)

講義概要 「ME概論」では、日本の現在の医療現場が、医療機器ME機器にあふれている実態をご紹介し、それらの機器の活躍もあるために日本の医療費が世界中の医療経済学者が驚くほどの低廉でありながら、高品質の医療サービスを提供していることを認識していただく。さらに、ME機器のほとんどは電気を利用し、これからはネットでの接続が想定されることを認識共有し、開発には電気と力学そして生理学の基本的知識が必要となることを紹介する。ただし、徒に専門的な話をするのではなく、医療機器開発に関係するものとして必須の知識はごく限られるので、その一例としてマクロショックとミクロショックの解説とその記憶のコツなどを紹介したい。
 さらには、日本人の研究者や開発者の実力は極めて優れているにもかかわらず、世界をリードする画期的医療機器が生み出せていない現実を認識し、その改善のための臨床現場からの気づきをご説明する予定である。
講師略歴 現職等
  愛媛大学大学院 医学系研究科 医療情報学講座 教授
  日本生体医工学会評議員
  日本医療情報学会理事
  日本医師会総合政策研究機構 アカデミックアドバイザー
  愛媛県医療機器産業創成事業 アカデミックアドバイザー
  認定内科医、循環器専門医、超音波専門医・指導医

経歴
  1953年6月 愛媛県生まれ
  1978年3月 大阪大学医学部医学科卒業。大阪労災病院研修医を終え、
        大阪大学医学部 研修医 第一内科助手を経て、
  1995年 国立大阪病院臨床研究部部長。
        上記の間、超音波ME、医用動画像処理、病院情報システムの研究に従事。
  1998年 愛媛大学医療情報部教授。
  2001〜2007年 日本医師会総合政策研究機構研究部長を併任。 
          日医標準レセプトソフトORCAの初代責任者として開発と普及を推進。
  2009年 不可能とされていた異ベンダー間の電子カルテの移行に成功。
        以後、日本各地の病院での異ベンダー間システム更新が続いている。
  2011年 同機構アカデミックアドバイザー等併任、現在にいたる。

研究成果として国内外にME関連の特許を約百件出願。超音波診断装置で使われる他、貧血の非採血検査装置はアストリムの名称でSysmex社から発売中。
大学勤務の傍ら、数病院の地域中核病院での外来および病棟診療を続け、地域医療の重要性と問題点を痛感している。
リーダーシップを発揮できる人材不足の原因は、理系文系に分ける今の日本の教育であり、日本人のプロジェクト管理能力やリスク管理能力の低さの原因と認識している。医療機器産業育成の観点から、医療政策・医療経済そして利益相反(COI)の過剰管理の弊害についても強い関心と懸念をもっている。

ビジネスとしてのMEに必須の基礎ME論1(石原 謙)

講義概要  「ビジネスとしてのMEに必須の基礎ME」では、日本の医療が公的医療保険制度である健康保険法によって国民皆保険制度が堅持されている現実の良さを認識し、その制度の下での現実の問題点を、諸外国との関係や民間保険と公的保険の関係などの深いが疎かにしてはならないこととして深く考察する。医療機器は、良い技術なら単純に認可されるというものではない。ビジネスとして成功し、日本の繁栄とともに持続可能な産業として成長するためには、日本の医療制度と医療に関わる経済の認識が重要となるためである。
 おそらく多くの受講者には初めて聴く、しかも常識とは異なる内容となろうが、すべて事実や数値に基づいた現実である。この現実からスタートせねばビジネスとはなり得ない。
講師略歴 現職等
  愛媛大学大学院 医学系研究科 医療情報学講座 教授
  日本生体医工学会評議員
  日本医療情報学会理事
  日本医師会総合政策研究機構 アカデミックアドバイザー
  愛媛県医療機器産業創成事業 アカデミックアドバイザー
  認定内科医、循環器専門医、超音波専門医・指導医

経歴
  1953年6月 愛媛県生まれ
  1978年3月 大阪大学医学部医学科卒業。大阪労災病院研修医を終え、
        大阪大学医学部 研修医 第一内科助手を経て、
  1995年 国立大阪病院臨床研究部部長。
        上記の間、超音波ME、医用動画像処理、病院情報システムの研究に従事。
  1998年 愛媛大学医療情報部教授。
  2001〜2007年 日本医師会総合政策研究機構研究部長を併任。 
          日医標準レセプトソフトORCAの初代責任者として開発と普及を推進。
  2009年 不可能とされていた異ベンダー間の電子カルテの移行に成功。
        以後、日本各地の病院での異ベンダー間システム更新が続いている。
  2011年 同機構アカデミックアドバイザー等併任、現在にいたる。

研究成果として国内外にME関連の特許を約百件出願。超音波診断装置で使われる他、貧血の非採血検査装置はアストリムの名称でSysmex社から発売中。
大学勤務の傍ら、数病院の地域中核病院での外来および病棟診療を続け、地域医療の重要性と問題点を痛感している。
リーダーシップを発揮できる人材不足の原因は、理系文系に分ける今の日本の教育であり、日本人のプロジェクト管理能力やリスク管理能力の低さの原因と認識している。医療機器産業育成の観点から、医療政策・医療経済そして利益相反(COI)の過剰管理の弊害についても強い関心と懸念をもっている。

ビジネスとしてのMEに必須の基礎ME論2(長倉 俊明)

講義概要  医療領域で最も利用されている「点滴」の原理は一定流量を流すことを前提として、薬液を一定速度で注入することが、簡単なシステムで日常的に行われている。しかし、その基本原理については学校で習うこともなく経験的知識で施行されている。しかし、近年病院では輸液ポンプが増えており、その根本的原理は同じで、かつ流量設定がデジタル設定になり、ますますブラックボックス化されており、その危険性に警鐘を鳴らすと供に簡単な原理を知ることで、災害時などにも安全に対応できるようになるはずである。
 さらに生体の流量計(主に血流計測)には様々な方法があるが、その中でも心拍出量を計測するフィックの原理を用いた方法については、原理の詳細を知らない医療従事者も多いので、その原理を分かりやすく論じる。そのことで、この計測の弱点や信頼性を容易に知ることができると考える。そこで摸擬回路を用いて実測することでデータ処理方法についても感覚的につかめるように講義を行う。本講義内容は大阪大学医学部、愛媛大学医学部、東京工業大学工学部、名古屋大学工学部などでも非常勤講師として医用工学教育活動を行ってきた中の一編である。
講師略歴  東京工業大学工学部電子物理学科卒業後に大阪大学医学部に学士入学、1990年3月大阪大学医学部医学科を卒業後に、大阪大学医学部付属病院 第一内科で研修、その後、循環器内科専攻、国立大阪病院で研修、八尾市立病院、国立大阪病院レジデント、1996年4月鈴鹿医療科学大学医用電子学科助教授を経て、2002年4月から大阪電気通信大学医療福祉学科教授。
 専門は「循環器内科」、「医用工学」: 主な研究テーマは超音波画像処理と内視鏡画像処理、糖尿病治療用マイクロマシン、医学統計解析の研究を行っている。病院のデザインや環境整備などの調査研究も行っている。糖尿病治療用マイクロマシンの研究では2007年グッドデザイン賞経済産業大臣賞受賞している。

所属学会
日本内科学会、日本循環器学会、日本エム・イー学会、医療情報学会、コンピュータ外科学会、看護理工学会、日本ロボット学会、電気学会、日本老年医学会、バイオメカニズム学会、IEEE会員など

各種委員
日本エム・イー学代議委員、日本エム・イー技術教育委員、医療情報学会代議委員、コンピュータ外科学会代議委員、電気学会能動化学センサ調査専門委員など

先端技術で創る未来医療(砂川 賢二)

講義概要 人類の高齢化により疾病構造が大きく変化し、生活習慣病が人類最大死因になってきてい る。その克服に、20世紀後半に飛躍的な進歩を遂げた分子生物学は大きな貢献をした。 とりわけ、1990 年代に推進された人ゲノムプロジェクトは文字通り医学のパラダイムを変 え、疾病の克服のみならず医療産業の発展に著しい貢献をした。しかしながら、21 世紀に 入り、遺伝子や分子に介入する医療の限界も見え始めた。とりわけ、人類最大死因である 循環器疾患において、その傾向は顕著である。すべての循環器疾患の最終病像は心不全で あるが、その心不全の5年生存率はこの半世紀近くで 10%程度の改善しかなく、現代でも50%に満たない。心不全の薬物治療が翳りをみせるなか、非薬物治療は劇的な進歩を示し ている。非薬物治療は非常に多岐にわたるが、大きくは機械的デバイス(人工心臓、LVAD、 ステント)、情報的デバイス(ペースメーカー、CRT、自律神経介入デバイス)、生体機能 融合デバイス(生態情報を負帰還し、自動的に生体を制御する、自動治療システム)など がある。これらは何れも劇的な進歩を遂げている先端技術を背景にしており、その可能性 は一層の広がりを見せている。本講演では、現代医療の医学的、経済的、社会的な限界を 踏まえ、先端技術が創る未来医療について情報を共有したい。
講師略歴 1974年  九州大学医学部  卒業
1974年  九州大学医学部循環器内科  入局
1978年  米国マリーランド州 Johns Hopkins大学(循環器内科、生物医学工学部)に留学
1983年  九州大学循環器内科 助手
1990年  九州大学循環器内科 講師
1992年  国立循環器病センター研究所 循環動態機能部部長
       国立循環器病センター研究所 心臓内科部長
2004年  九州大学大学院医学研究院循環器内科 教授(2015年3月まで)
       心臓血管研究施設長(2015年3月まで)
2005年  九州大学大学院医学研究院 副研究院長(2007年3月まで)
2005年  九州大学 デジタルメディシンイニシアティブ長(2010年6月まで)
2013年  九州大学病院 ハートセンター長(2015年3月まで)
2015年  九州大学循環器病未来医療研究センター 循環病態制御学部門 特任教授 現在に至る

専門:循環器内科学、循環制御学、生体医工学

所属学会:日本循環器学会、日本内科学会、日本心不全学会、日本生体医工学会 日本循環制御医学会、日本肺高血圧学会、IEEE EMBS、FAHA、FESC、FACC

我が国の医療機器開発環境の現況と近未来
−医工・産学官連携による医療機器のイノベーション戦略(妙中 義之)

講義概要 我が国の成長戦略の中で、医療イノベーションは極めて重要な位置づけにある。国が推進する医療イノベーションの推進の現状について、医療機器を中心に概説する。
医療機器開発と製品化には、臨床現場や患者が求める明確なニーズ、将来の医療に貢献する重要なアイデア、医工・産学連携、複数技術の融合、製品化への連続的プロセス、規制対応、技術を持つ企業が医療機器分野に入るための世論作り、などが重要である。これらの活動を支援する国の取り組みについての現況と近未来を紹介する。問題点としては、これまで試作品止まりで、収益を挙げられる製品に至らない産学官連携や、医工連携の事例が多かったのも事実である。最近の各種の検討から得られた、どのようにすれば製品に至るまでのプロセスを辿って行けるのかについての、各種の検討や支援の受け方などについても言及する。
時間的に可能であれば国立循環器病研究センターでの医療機器の研究開発と製品化がどのようになされてきたかも実例を挙げて概説したい。
講師略歴 現職:
国立循環器病研究センター 研究開発基盤センター長 
大阪大学医学部教授併任

学歴:
昭和51年3月 大阪大学医学部卒業
      職歴:
      大阪大学医学部附属病院第1外科
      国立循環器病センター研究所
      人工臓器部補助循環研究室
      国立循環器病センター研究所
      人工臓器部
      国立循環器病研究センター

      国立循環器病研究センター

      内閣官房医療イノベーション推進室

      大阪大学医学部(併任)
         (連携大学院大学)
      日本医療研究開発機構

  医員
  研究員

  部長

  研究所 副所長

  研究開発基盤センター長

  次長

  教授

  プログラムスーパーバイザー

  自 昭和51年7月
  自 昭和55年9月
  至 昭和62年3月
  自 平成7年4月
  至 平成19年3月
  自 平成22年4月1日
  至 平成27年3月31日
  自 平成22年4月1日
  至 現在
  自 平成23年1月
  至 平成25年1月
  自 平成11年1月
  至 現在
  自 平成27年4月
  至 現在

      栄誉、学会賞など:
      日本人工臓器学会技術賞 日本人工臓器学会 平成13年、14年、平成27年
      産学官連携功労者表彰(日本学術会議会長賞) 内閣府 平成16年
      科学技術分野の文部科学大臣表彰(研究部門) 文部科学省 平成18年

      学会役員など:
      President, International Federation for Artificial Organs  (2005年10月〜2007年10月)
      President, International Society for Rotary Blood Pump   (2009年)
      日本人工臓器学会 理事長  (2015年11月19日〜)

最近の内視鏡と技術開発について(高山 修一)

講義概要 医療の現場では、病気の早期発見や患者の負担が少ない低侵襲(ていしんしゅう)治療の実現が望まれています。
内視鏡は、これらの課題を解決する医療機器として開発され進化してきました。
本講演では、医師と企業が連携して内視鏡を開発してきたことや、医師の要望に応えるために多くの技術開発を行い試行錯誤を繰り返してきた経緯を紹介します。
講師略歴 1970. 3  長岡工業高等専門学校 電気工学科 卒業
1970. 4  オリンパス光学工業株式会社(現オリンパス株式会社)入社 
                          内視鏡事業部門配属
1996. 4  技術開発本部 技術開発企画部長
1999.12     人事部長
2003. 4  研究開発センター 研究開発統括室長
2003. 6  執行役員
2006. 6  取締役執行役員
2007. 6  取締役常務執行役員
2009. 4  取締役常務執行役員 
         研究開発センター
         研究開発統括室長 兼 医療技術開発本部長
2010. 1  取締役常務執行役員
         ライフ・産業システムカンパニー
         ライフ・産業システムカンパニー長 兼 統括本部長
2011. 4  取締役専務執行役員
         映像事業グループ
         映像事業グループプレジデント
2011.10     代表取締役社長執行役員 
         兼 映像事業グループプレジデント
2012. 4  退任

医師が経験を共有するためのクラウドサービス事業例(菅原 俊子)

講義概要 当社は、医師が自分の持つ技術や医師として経験を共有するためのクラウドサービスを自社開発し、提供している。
もともと、カテーテルインターベンションのライブ研究会事務局を受託する事業活動をしていたために、循環器カテーテル治療に携わる世界中のKey Opinion Leadersと、近くで仕事をさせていただく機会に恵まれた。その過程で察知した医療現場における課題を解決するために、ブラウザー上にダイコムデータを閲覧できるWebビューワを実装し、緻密に議論することができるコミュニケーション機能を持つクラウドサービスを2014年6月からスタートした。
実際に開発をスタートするにあたって、個人情報の扱いや、セキュリティの担保をどのようにするかなどの問題解決にはじまり、当社のような小さな会社が、どのように資金や高い技術を持った優秀人材を確保していくのか、ストックオプションはどのように設計していくのがよいか、など、現在進行中のビジネスの実際について紹介する。
講師略歴 関西学院大学総合政策部卒業、関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科修了。
外資系製薬会社マーケティング本部での職務経験を経て、2000年4月にハート・オーガナイゼーションを創業、2004年に法人化。学会・研究会事務局を受託する事業を経て、2012年から医師のためのクラウドサービス事業(e-casebook)を開始。現在、循環器内科、心臓外科の医師を中心に利用されている。
2016年4月に、地域経済活性化支援機構が運営する、ヘルスケアファンドからシリーズAの資金調達を実行し、業務拡大中。サービスラインの一部をプログラム医療機器として開発申請するロードマップを目下進行中。

医療機器の製品化事例紹介(メーカー、異業種、ベンチャーの立場から)(上村 英一)

講義概要  中小企業や、ベンチャー企業における医療機器の開発、医薬品・医療機器メーカーにおける医療機器の開発など、様々な規模の企業において多数の医療機器の開発を行い、さらに「日本の技術をいのちのために委員会」の会員として、東北地方や西日本のものづくり中小企業において様々な医療機器の開発支援などを行ってきました。
 これらの経験の中から、事業化を見据えた医療機器の研究、開発、薬事申請(製品化)において問題となった事項、その時、実施した対策等、失敗を含む経験談を中心に、話題を提供する予定である。
講師略歴  大阪大学大学院薬学研究科応用薬学専攻を修了後、1977年金沢医科大学老年病内科に臨床薬剤師、兼研究助手として入局し、約5年間、動脈硬化(高脂血症)や脳血管障害等の成人病疾患の研究、臨床に従事し、その間、病院薬剤師、金沢大学第二内科の研究生としても勤務。その後、日本商事(現、アルフレッサファーマ(株))に入社し、安全性研究室長、生物研究室長、臨床開発室長、医療機器開発技術センター長を歴任し、体外診断薬、医薬品、医療機器等の研究、開発、薬事申請業務等に携わる。
 定年退職後、滋賀県の山科精器(株)においてメディカル事業部の立ち上げから医療機器製造業、製造販売業、ISO13485の取得等、医療機器の製品化までの一連の業務や、滋賀医科大学、立命館大学、大阪大学等との産官学連携事業に関わり、さらに、眼科系ベンチャー企業(ユニバーサルビュー(株))や、関西の企業の製品開発や薬事申請等を行っている。

医療機器の開発や製作提案は、自社技術の蓄積と他社技術の情報収集(中川 博央)

講義概要 1.会社情報
  1)経営理念
  2)会社概要
  3)会社経歴
  4)事業内容
  5)医療機器参入のきっかけ
  6)医療機器製品の紹介
  7)医療機器製造における能力

2.自社技術の蓄積(基礎技術の蓄積)
  1)加工技術の習得
    NC自動旋盤、NCフライス盤等による生産実績
  2)生産技術の習得
    加工工程設計、生産治具設計、機械要素展示会への見学等
    通信教育(数値制御、油圧制御等)
  3)加工設備選定
    会社の生産状況に合わせた設備選定等
  4)設計要素の習得(旧:ミノルタカメラ内での研修)
    治具設計作図に関する必要事項等
  5)加工専用機製作
    二次加工専用機の設計、製作
  6)RWF法(Ready Work-Factor):日本能率協会
    「作業を動作に分解し、動作の難易度を加味して必要な時間値を定める」
    人の作業動作の全ての時間値が読み取れる簡便な手法
  7)タグチメソッド(実験方法、解析方法、統計との接点)
    品質工学(Quality engineering)とは、技術開発・新製品開発を効率的に
    行う開発技法。考案者の田口玄一の名を冠してタグチメソッドとも呼ばれる。
  8)その他

3.他社技術の情報収集(企業連携)
  1)自社にない生産技術先との連携
  2)積極的な交流(講演会、展示会、紹介等)
  3)固有技術+α
  4)他社技術を自社製品への展開

4.医療機器開発に要求されるニーズ
講師略歴  奈良精工株式会社(旧:奈良ミノルタ精工株式会社)には、1977年2月に入社する。
湘南工科大学(旧:相模工業大学 工学部機械工学科)を1976年3月に卒業した。
しかし、卒業後は実家の生花栽培を継承することにしていたが、この年の12月に当時の奈良ミノルタ精工株式会社の役員より入社の誘いを受け入社することにした。
 入社後、製造部にて光学機器部品の加工を3年間経験後、生産技術部にて受注部品の工程設計・治工具設計・専用機製作等を10年間経験し、生産技術部の責任者を兼ねながら新規部品受注担当として、OA機器・医療機器・輸送関係等の受注業種拡大に専念する。現在、航空機においては、MRJ(三菱航空機)の部品も手掛けている。生産技術部では、通信教育にて油圧回路設計や電気制御等各種技術を取得する。また、電気管理担当者となってからは、電気工事士や高圧電気工事士(現:第一種電気工事士)等の資格も取得する。入社後、2年目に労働基準監督署の立入監査にて衛生管理者のいないことを会社が指摘され、急遽衛生管理者の資格取得を義務付けられたこともあった。
 生産技術部に所属当時は、本社であるミノルタカメラ株式会社の経営は順調であり、改善活動も活発であったときは会社を代表して本社のグローバル発表大会にも参加をしたことがある。また、ミノルタカメラ株式会社の本社工場では、定期的に月に1回生産技術の講習会があり、生産技術の基本を取得することができた。
 ミノルタカメラ株式会社では、協力工場向けの外部講習会も行っており、RWF法(作業動作に分解し、動作の難易度を加味して必要な時間値を定める)やタグチメソッド(品質工学とは、技術開発・新製品開発を効率的に行う開発技法)の講習も受けることができた。このような教育を定期的に受けることによって、物事に対する考え方や、開発技術の根幹を形成することができたと思っている。
 2003年10月に社名が奈良精工株式会社に代わってからは、工場次長、取締役、代表取締役と歴任し、2012年3月には60%の株を取得し、2016年3月には単独オーナーとなった。
 現在、リーマンショック以降4期連続赤字の会社を3期連続黒字に転換し、医療機器を中心とした顧客開拓を積極的に進め、新規製品開発を順次行っている。また、家業であった生花栽培も2012年に故父後、継承している。
 注)ミノルタカメラ株式会社は、後にミノルタ株式会社に社名変更をしている。ミノルタ株式会社はコニカ株式会社と合併し、現在コニカミノルタ株式会社になっている。

人工網膜の研究開発(神田 寛行)

講義概要 人工網膜とは体内埋込み型医療機器の一種である。網膜色素変性で失明した患者に対して電子機器を用いて人工の視覚を作り出すことを目指している。1990年代より主にアメリカやドイツを中心に開発が始まり、2001年からは日本でも大阪大学を中心に奈良先端科学技術大学院大学や株式会社ニデック等が参画して人工網膜の研究開発プロジェクトがスタートした。
我が国は、心臓ペースメーカーや人工内耳等の体内埋込み型医療機器のほとんどを海外からの輸入に依存しており、これらの開発経験が乏しい。そのため、デバイスの材料入手や部品開発など全てがゼロからのスタートだった。約15年にわたる研究開発期間を経て、ようやく純国産の人工網膜デバイスの開発に成功した。今後は本機器に対する医師主導治験が計画されている。本講義では、主に工学側の視点から我が国の人工網膜デバイス開発の経緯について紹介しようと考えている。
講師略歴 1998年 静岡大学理学部物理学科 卒業
2000年 名古屋大学大学院工学研究科博士前期課程 修了
2001年 名古屋大学大学院工学研究科博士後期課程 中退
2001年 株式会社ニデック 入社
2005年 大阪大学大学院医学系研究科にて学位取得(博士(医学))
2009年 大阪大学大学院医学系研究科 助教

現在に至る

近赤外光による生体計測装置の研・開発・製品化 −fNIRS国際規格発行まで−(江田 英雄)

講義概要 複数波長の近赤外光を用いて脳の酸素状態をモニタするシステムは、1977年にDuke大学のJobsisによってScience誌に発表された.その後,単一チャンネルの“近赤外光を使った酸素モニタ”が1990年前後に製品化された.国内の一号機は,島津製作所から製品化され,ほぼ同じ時期に浜松ホトニクスからも製品化された.複数チャンネルの計測を使って画像化を目指す装置は,光による断層画像の研究を経て,1990年代後半に日立製作所などから光トポグラフィとして製品化された.光トポグラフィは現在,脳研究を始め広く応用されている.
しかし医療機器への光技術応用はもっと古く,Woodによるイヤーピースオキシメータは1949年、青柳卓雄先生によるパルスオキシメータは1974年である。また1977年には金井寛先生が日本ME学会誌(当時)に生体の光学特性に関する総論を発表した。近赤外光を用いて生体を計測するシステムNIRS(Near Infrared Spectroscopy)はこれらの生体光学研究の延長にある。
1990年以降,NIRS製品化は日本が主導的な役割を果たしてきた。2011年に日本からIEC(International Electrotechnical Commission、国際電気標準会議)へ新規プロジェクトを提案し、数年間に渡る国際会議を経て、fNIRS ( functional Near Infrared Spectroscopy )国際規格IEC80601-2-71が2015年6月に発行された。これはヨーロッパ規格へもハーモナイズされ、EN番号も取得している。
本講演ではNIRS開発を例として,生体計測装置の研究・開発・製品化から,国際規格取得による標準化の流れを紹介し、今後の課題と方向性を議論する。
講師略歴 上智大学理工学部卒業.上智大学理工学研究科博士前期課程修了.島津製作所にて光を使った生体計測の研究・開発,計測装置の製品化・営業支援に従事.NEDO「光断層イメージングシステム」開発プロジェクト(1992-1999)に従事. 1999年から通信総合研究所(当時)にて柳田結集型特別プロジェクトに参加.北海道大学工学研究科博士後期課程単位修得満期退学.博士(工学)(大阪大学).情報通信研究機構にて脳の統合計測研究を推進.2005年光産業創成大学院大学の開学と同時に助教授に就任.現在,光産業創成大学院大学・光医療健康分野・教授,同リエゾンセンター長を兼任.2007年に株式会社フォトニクス・イノベーションズを大学発ベンチャーとして起業し代表取締役を兼業.2011年fNIRS申請にあたってIEC国際プロジェクトリーダー(IEC/TC62D/JWG5/fNIRS)に就任.2015年ISO国際コンビナー(IEC/TC121/WC3/JWG10 Oximeter)に就任.産業技術総合研究所客員研究員.大阪大学招聘教授.静岡大学客員教授.ニューロイメージング・プラットフォーム(NIMG-PF)幹事.日本脳電磁図トポグラフィ研究会評議員.生体医工学会「fNIRS(functional near-infrared spectroscopy)計測・解析技術研究会」会長.米国神経科学会Society for Neuroscience会員.

日本発の新規止血材の開発事例(前田 広景)

講義概要 ◆医療機器ビジネス参入には様々な「ハードル」がある。特に異業種にとっては、
 その「ハードル」が判りにくいゆえに、参入がとても難しいものにみえる。
◆新たに医療機器ビジネスへの参入を目指す方々への参考事例として、新規参入を果たした
 化学会社が新医療機器の市販に至った経験をお伝えしたい。
◆実際には、”日本発の止血材(クラスIV)”の開発推進・治験実施・薬事承認取得までに
 遭遇した「ハードル」をどのようにして乗り越えたかをご紹介する。
講師略歴 ●現職
 ◆三洋化成工業株式会社 開発研究本部 バイオ・メディカル製品研究部長
 ◆医療機器、バイオ関連製品の研究開発に従事
●業務経験
 ◆同社入社後、界面活性剤、医薬香粧品材料の開発を担当
 ◆その後、2005年から医療機器開発を経験

ダーウィンの海にもまれて(森 和美)

講義概要 経営資源である人・モノ・金・情報をどのように活用して医療機器開発を行ってきたかを説明します。また、技術経営の分野でよく言われる3つの関門「魔の川」「死の谷」「ダーウィンの海」を当社の医療機器開発に沿ってご紹介致します。
講師略歴 2000年3月仙台白百合短期大学卒業。日本興業銀行を経て、2005年3月株式会社IFG入社。2007年父から代表取締役を引き継ぐ。設立時より東北大学と医療機器の研究開発を行ってきている。直近では平成24年10月に科学技術振興機構の研究成果展開事業研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)ハイリスク挑戦タイプに採択され、3年間プロジェクトリーダーを担当。

新医療機器の開発・製品化プロセスにおける現状と課題 −開発に携わる企業の役割(田中 秀典)

講義概要 医療の進歩はめざましく、一昔前なら治療が困難であった疾病も最新の医療機器を用いることにより治療し、救命できるようになってきた。
我が国は特に診断機器領域においては欧米を凌駕する技術開発力を示す一方、依然として治療用医療機器領域の開発は遅々として進まず、それらの大半は米国で開発され、我が国は輸入された米国製品の恩恵を大いに受けているのが現状である。それは製品リスクが高い、あるいはリスクに見合う収益が見込めないなどが理由で、積極的に開発に参画する企業が少ない要因となっている。
私は、医療機器メーカーではない繊維化学メーカーに籍を置き、入社以来一貫して新医療機器の開発・製品化に取り組んできた。医療機器の開発を行うには、医学のみならず化学、機械、電気、生物学等の幅広い知識や技術をベースにまずは非臨床データを集積することが肝要である。その後治験(臨床試験)を行い、臨床的な有効性、安全性について検討された後製品化される。したがって当然我々企業単独で製品化できるはずもなく、医療機関、アカデミアの専門家並びに厚労省/PMDAなどとの連携が必須である。
本講では、弊社が開発・製品化に取り組んだ補助人工心臓、抗血栓性材料を用いた補助循環システム及び神経再生誘導チューブ ナーブリッジ®について、非臨床試験(動物実験)、治験並びに承認申請時の審査経過等に関する実例を示し、現状と課題について述べる。
講師略歴 略 歴:
1994.03 兵庫県立姫路工業大学(現 兵庫県立大学)理学部 生命科学科 卒業
1994.04 北陸先端科学技術大学院大学 材料科学研究科 機能科学専攻 博士前期課程 入学
1996.03 北陸先端科学技術大学院大学 材料科学研究科 機能科学専攻 博士前期課程 修了
1996.04 東洋紡績株式会社 入社
1996.06 東洋紡績株式会社 総合研究所 医療用具製造センター 勤務
2006.09 東洋紡績株式会社 総合研究所 医療機器開発センター リーダー
2011.03 東洋紡株式会社 総合研究所 医療機器開発センター 部長
2016.04 東洋紡株式会社 メディカル事業推進部 勤務 (主席部員)
現在に至る

学会活動:
1996     日本人工臓器学会 会員
2011.11 ポリマー材料フォーラム シンポジウム「抗血栓性材料の開発と実用化」
2012.06 一般社団法人 大阪工研協会 第62回工業技術賞 「生体適合性材料SEC-1の開発」
2013.05 高分子学会 特別セッション「神経再生誘導チューブ」
2015.11 日本バイオマテリアル学会 理事

論 文:
1. Tanaka H, Mori H, Nitta KH, Terano M, Yui N, Improved blood compatibility of drawn
  polyamide sheets, J Biomaterial Sci Polym Ed. 1996; 8(3)214-24.
2. 佐藤正喜、柏原進、田中秀典、巽英介、妙中義之、高野久輝、新しく開発したヘパリン化材料の
  抗血栓性評価、人工臓器 28(2), 502-8, 1999
3. Nishinaka t, Tanaka H, et al, At Least thirty-four days of animal continuous perfusion by
  a newly developed extracoaporeal membrane oxygenation system without systemic
  anticoagurants, Artif Organs, 2002 June;26(6)548-51.
4. Nishinaka T, Tanaka H, et al., Up to 151 days of continuous animal perfusion with trivial
  hepain infusion by the application of a long-term durable antithrombogenic coating to
  a combination of a seal-less centrifugal pump and a diffusion membrane oxygenator,
  J Artif Organs, 2007; 10(4)240-4.
5. 水野敏秀、田中秀典ら、抗血栓性表面処理T-NCVCコーティングの抗凝血作用機序に関する
  研究、ライフサポート 、20(4)、132-5、2008
6. 田中秀典、柏原進、佐藤正喜ら、長期耐久性を有する血液適合性材料、Medical Science Direct
  34(2)、89-92、2008

血管内治療用医療機器開発現場における苦悩と挑戦(西内 誠)

講義概要  医療機器開発には医療現場におけるニーズ(顕在化したニーズand/or潜在的なニーズ)を正しく理解し、それを具現化する活動が必要となる。ニーズを発掘するには医療現場を実際に「観る」、そして医師を中心とした医療従事者から「聴く」という活動が必要になることは、本プロフェッショナルコースを通して多くを学ばれていることと思う。
 一方、ニーズを具現化する医療機器開発現場では新技術の開発も含め、医療機器としてのFeasibility Studyが実施され、技術的成立性を見極めたのち本格的製品開発に移行する。この開発活動では多くの解決すべき技術的課題に直面することは言うまでもない。しかし、開発に移る前に極めて重要なフェーズが存在する。そして、そのフェーズのアウトプットの精度がその後の開発の成否を左右すると言っても過言ではない。そのフェーズとは現場ニーズをもとにした「現場の要求事項」の明確化と、その要求事項を「工学的インプット」に落とし込む活動を行うフェーズであり、Feasibility Studyの一部がこの活動に位置付けられる場合もある。
 本講義では医療機器現場のニーズを工学インプットに落とし込む活動におけるエンジニアの苦悩を中心とした医療機器開発現場の一端を紹介する。

講師略歴 1984年4月  慶應義塾大学理工学部 入学
1988年3月  慶應義塾大学理工学部機械工学科 卒業
1990年3月  慶應義塾大学大学院理工学研究科機械工学専攻 修了
1990年4月  三菱重工業株式会社に入社
             研究部門にて航空機の空力性能評価システムの開発や
             航空機の風洞試験、高速列車の先頭車両形状設計に従事
             設計部門にて将来航空機の設計開発に従事
2005年10月 朝日インテック株式会社に入社
             メディカル事業部にて主力製品のガイドワイヤー開発などに従事
             メディカル事業部研究開発グループ副マネージャーを経て、
            現在は執行役員/メディカル事業部研究開発グループマネージャー
         

医療機器事業への参入から販売までの道のりと課題への対応事例(保坂 誠)

講義概要 前半は、中小機械メーカーが産学官連携プロジェクトを主軸に医療機器産業への参入をめざした、2004年から現在に至るまでの取り組みを紹介します。後半は、製品開発から上市までの各ステージにおいて、新規参入者が経験する課題への対応事例を紹介します。
・公的支援を活用した事業展開
・産学官連携を活用した製品開発
・メディアを活用したブランディング
・製品企画と市場調査の難しさ
・大学との共同開発で注意すべき事項
・事業推進に必要な要素
講師略歴 平成8年、山科精器株式会社に入社。工機事業部に所属し専用工作機械の設計・製造に従事。
平成16年から中央研究所にて産学官連携による医療機器開発に従事。マイクロ波を使った内視鏡用処置具や細胞分離装置などを開発。
平成21年にメディカル事業部を発足し、軟性内視鏡用処置具の開発に従事。
平成24年から大阪大学 臨床医工学融合研究教育センター 次世代内視鏡治療学共同研究部門 招へい研究員。
平成25年から副部長。同年、第5回 ものづくり日本大賞 特別賞 受賞。超ものづくり部品大賞医療・健康分野部品賞 受賞に貢献。
平成26年、中小企業優秀新技術・新製品賞 優秀賞/産学官連携特別賞 受賞に貢献。

メカノ医工学:循環器・不妊治療を中心に(成瀬 恵治)

講義概要 我々の体は常にストレッチ・シェアーストレス・静水圧といったメカニカル刺激を受けている。ストレッチ刺激を与えるために伸展性のあるシリコン樹脂製チャンバーで細胞をストレッチするシステム、ズリ応力を与えるためにマイクロ流体力学に基づくマイクロチャネルシステムを開発しメカノリセプター・細胞内情報伝達機構などの研究を行ってきた。これらのシステムを用いて再生医療・不妊治療・止血など次世代医療技術への応用に関して講義する。
講師略歴 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科システム生理学・教授

平成4年3月        名古屋大学大学院医学研究科生理学系専攻博士課程修了
平成元年5-2年6月    ノースカロライナ大学チャペルヒル校・Research Fellow
平成4年4月-5年3月     長寿科学振興財団リサーチレジデント
平成5年4月        名古屋大学助手(医学部)採用
平成6年4月        名古屋大学講師(医学部)昇任
平成10年10月-11年9月 ハーバード大学医学部・文部省在外研究員
平成11年4月         名古屋大学助教授(医学部)採用
平成13年6月-16年12月 科学技術振興機構・国際共同研究研究員兼任
平成15年10月-17年9月 名古屋大学高等研究院(野依研究所)流動研究員
平成16年1月-25年5月    大学発ベンチャー・ストレックス(株)取締役兼任
平成17年10月      岡山大学大学院医歯薬学総合研究科教授採用
平成18年4月         名古屋大学 非常勤講師
平成18年8月-23年3月    名古屋大学高等研究院(野依研究所)院友兼務
平成19年10月-20年3月 国立大学法人九州大学先導物質化学研究所 非常勤講師 客員教授
平成24年9月         グローバルヘルスケア財団 理事
平成27年6月         京都府立医科大学客員教授(-平成29年3月31日)

家電技術者の経験から考える福祉ロボットの開発(本田 幸夫)

講義概要 福祉ロボットの開発プロトコルの実際を日本医療研究開発機構での活動を中心に紹介するとともに、ICF(国際生活機能分類)の活用とnormalizationに視点をおいたイノベーティブな新規事業創出のデザイン思考的な方法論を紹介する
講師略歴 1956年生まれ、デンソーにて自動車用電装品の設計開発に従事した後、パナソニックにて高効率モータの開発、商品化、海外製造会社の経営責任者、新規事業として生活支援ロボットを担当。2013年より大阪工業大学工学部ロボット工学科教授、産業技術総合研究所技術移転ベンチャーアルボット社代表、大阪大学医学部医学研究科招聘教授。2015年より日本医療研究開発機構 産学連携部門プロジェクトスーパーバイザーを兼任。

ヘルスソフトウェア分野への参入事例紹介〜いびきチェックZooZii(ズージー)の開発〜(田中 慎一)

講義概要 当社は、コミニュケーションの基本である音・音声を活用したソフトを自社開発しています。
本セションでは「いびき」の音をスマホで可視化し、関単にチェックするアプリを中心に、
ヘルスソフト分野への参入について紹介します。
講師略歴 1992年  株式会社富士通愛媛情報システムズ 入社。
      金融並びにCTI/CRMシステム開発に従事。
1995年  日本初のテレホンバンキングにおける声紋認証システムを
      アニモ社の技術を活用し構築。
2000年  株式会社アニモ 入社。
      コールセンタやヘルスケアシステムにおける音声技術活用の企画・開発を推進。
2014年より、同社 取締役第三事業部長

体外診断用機器、試薬の開発(浅野 薫)

講義概要 体外診断用医薬品とは、血液や専ら疾病の診断に使用されることが目的とされている医薬品を言います。体外診断薬は単独では使用されず、医療機器である体外診断用機器とセットで使用されます。体外診断薬の性能を最大化するためには、体外診断用機器との擦り合わせが必要です。従って、その開発には分子生物学、分析化学、機械工学、電子工学、応用物理学、情報工学など多分野の研究者・技術者がプロジェクトを組んで進めます。
本講義では、大阪大学と共同開発しました”がんリンパ節転移迅速診断技術の開発”を実例として開発の過程についてお話ししたいと思います。
講師略歴 役  職
シスメックス株式会社 取締役 常務執行役員 研究開発担当
兼 株式会社メディカロイド 代表取締役副社長
兼 株式会社理研ジェネシス 取締役

職  歴
1981(昭和56)年3月  大阪大学工学部 電子工学科卒業
1983(昭和58)年3月  大阪大学大学院工学研究科 電子工学専攻卒業
1987(昭和62)年8月  東亞医用電子株式会社(現シスメックス株式会社)入社
2005(平成17)年4月  中央研究所長(本部長)
2009(平成21)年4月  執行役員 中央研究所長
2011(平成23)年4月  執行役員 研究開発企画本部長
2013(平成25)年4月  上席執行役員 中央研究所長
2014(平成26)年6月  取締役 上席執行役員
2015(平成27)年4月  取締役 常務執行役員(現任)

受 賞 歴
平成11年度  神戸市産業功労者表彰
平成13年度  近畿地方発明表彰「文部科学大臣奨励賞」
平成14年度  兵庫県発明等表彰「兵庫県発明賞」
平成14年度  全国発明等表彰「兵庫県発明賞」
平成18年度  近畿地方発明表彰「支部長賞」
平成25年度  文部科学大臣表彰「科学技術賞(開発部門)」

ME概論(講義,演習の意義)(石原 謙)

講義概要  ME機器開発の実践では、私自身の経験とともに、本コースでの講師もお務めになられたベンチャ起業や、すでに紹介した成功したベンチャ、そして今話題の有名ベンチャなどの事例を紹介して、機器開発の後のビジネスとしての成功のために留意すべきことなどをお伝えしたい。

 言うまでもなく、機器開発の技術的成功と、ビジネスの成功は全く別である。さらに言うと、ビジネスの成功と自分自身への妥当かつ合理的な経済的利益の配分もしばしば乖離する。今、開発チームに求められるのは、経営陣あるいは出資者にどう説明責任を果たし、かつ自身の適正な経済的権利やビジネス上の執行権を確保してゆくかである。

 出資者が過半の利益を持って行くならベンチャの意味がないし、逆に出資に見合う利益が無いなら投資家は現れない。適切かつそのステークホルダーにも魅力的なビジネスシナリオを描くという難問も待ち構えている。それらを乗り越えなければ医療機器開発のゴールではない。

講師略歴 現職等
  愛媛大学大学院 医学系研究科 医療情報学講座 教授
  日本生体医工学会評議員
  日本医療情報学会理事
  日本医師会総合政策研究機構 アカデミックアドバイザー
  愛媛県医療機器産業創成事業 アカデミックアドバイザー
  認定内科医、循環器専門医、超音波専門医・指導医

経歴
  1953年6月 愛媛県生まれ
  1978年3月 大阪大学医学部医学科卒業。大阪労災病院研修医を終え、
        大阪大学医学部 研修医 第一内科助手を経て、
  1995年 国立大阪病院臨床研究部部長。
        上記の間、超音波ME、医用動画像処理、病院情報システムの研究に従事。
  1998年 愛媛大学医療情報部教授。
  2001〜2007年 日本医師会総合政策研究機構研究部長を併任。 
          日医標準レセプトソフトORCAの初代責任者として開発と普及を推進。
  2009年 不可能とされていた異ベンダー間の電子カルテの移行に成功。
        以後、日本各地の病院での異ベンダー間システム更新が続いている。
  2011年 同機構アカデミックアドバイザー等併任、現在にいたる。

研究成果として国内外にME関連の特許を約百件出願。超音波診断装置で使われる他、貧血の非採血検査装置はアストリムの名称でSysmex社から発売中。
大学勤務の傍ら、数病院の地域中核病院での外来および病棟診療を続け、地域医療の重要性と問題点を痛感している。
リーダーシップを発揮できる人材不足の原因は、理系文系に分ける今の日本の教育であり、日本人のプロジェクト管理能力やリスク管理能力の低さの原因と認識している。医療機器産業育成の観点から、医療政策・医療経済そして利益相反(COI)の過剰管理の弊害についても強い関心と懸念をもっている。