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MDD Diary 2019 #14 (2019/09/21) 『医療機器開発の実践 2 』

2019-09-21

本日はModule 4〜医療機器開発の実践〜第2日目でした!
 

午前中は京都市保健福祉局から一戸和成先生と一般社団法人医療システムプランニングから田村誠先生にお越しいただき、『Group Working Ⅵ 医療機器開発のための保険戦略』が行われました。午後は山科精器株式会社から保坂誠先生、株式会社 ハート・オーガナイゼーションから菅原俊子先生、株式会社 ZAIKEN から岡庭貴志先生にお越しいただき、ご講義いただきました。
 
 


 グループワーキングに先立ち、京都市役所から一戸先生をお招きし、「医療機器開発のための保険戦略」と題してご講義いただきました。医療機器を開発する上で重要な、医療機器の保険適用区分や区分決定の流れ、原価計算方式と類似機能区分比較方式についてお話しいただきました。薬事では「その医療機器が安全かどうか」が重要であるのに対し、保険では「患者さんにとってその医療機器を使うメリットは何か」が重要だそうです。
医療機器の保険適用は、次のプロセスによって進みます。
①医療機器の保険適用を希望する企業が、企業を支援する厚生労働省医政局経済課と保険戦略について調整を行い、保険適用申請を行う。申請内容には、保険適用希望(区分、加算等)、類似機能区分、補正加算適用の根拠、医療経済上の有用性に関する説明などが含まれる。
②厚生労働省保険局医療課が審査・確認を行う。
③中央社会保険医療協議会(中医協)、保険医療材料等専門組織(保材専)が保険点数の審議・決定を行う。
 後半は、企業が新しい医療機器を開発するというシナリオで、保険戦略の検討プロセスを学ぶためのグループワーキングを行いました。仮想ではありますが、想定し得る医療機器に対し、グループごとに保険戦略を検討、プレゼンテーションを行い、講師の先生からフィードバックをいただきました。受講生の皆様の発表は完成度が高く、先生から賞賛の言葉をたくさんいただきました。
 フィードバックでは、検討した加算分が現実的か、足りない根拠は何か、申請書の書き方などについて、開発した医療機器がどうすれば保険として評価されるかという観点からアドバイスをいただき、実際に検討した結果について企業の目線に立った現実的なアドバイスをいただける大変貴重な機会となりました。(Written by KO & なつ
 
 
 診療報酬は、医療機関に支払われる技術・サービスへの対価と、薬局や企業に支払われる医薬品や医療機器への対価です。この価格は、基本的に厚生労働大臣が中央社会保険医療協議会(中医協)の議論を踏まえ決定(厚生労働大臣告示)します。医療保険の被保険者である患者は、通常この診療報酬の3割を負担し、残りの7割は保険者から支払われます。薬事承認が必要な医療機器のうち、保険診療で使用する医療機器には、ガーゼや血圧計など、手技料に包括され別に算定することができない技術料包括型の医療機器と、ペースメーカーや人工関節など、特定保険医療材料として別に算定することができる医療機器があります。医療機器の保険適用区分は、包括のA1~A3、新機能・新技術のC1~C2、既存機能区分B1~B3に割り当てられます。医療機器開発企業としては、なるべく高い保険償還価格を付けてもらうことを狙い、類似機能区分比較方式にて補正加算(画期性加算、有用性加算など)を得る戦略をとるか、原価計算方式で価格算定を得る戦略をとるかを決める必要があります。また、とにかくスピード重視で、一旦B区分での保険適用の希望を申請し、適用となった後に、追加エビデンスを収集し、チャレンジ申請によってよりよい区分で高い価格での保険適用を得ることができる可能性もあるようです。(Written by じゅり
 
 


 一つの金属メーカーが医療機器メーカーとしてどのような経営戦略を策定し、開発を推進してきたかということを詳細に説明していただけたので、これからベンチャーを育てていこうとしている自分にとって大変参考になりました。毎年何らかの競争的資金を獲得し、経営リスクを減らすことは欠かせませんが、実際に獲得するのは難しいです。コツとしては、申請先とのコミュニケーションを可能な限り多くとること、受かる申請書を書くことだそうです。また、医療機器開発を行う場合には、新規参入の企業は、医師や地方公共団体が主催するコンソーシアムに参画することで、自社製品の開発や、自社シーズと医師ニーズのマッチングや、動物実験・臨床研究などを推進することができるようです。(Written by じゅり
 
 

 知識やスキルの格差をなくすために、インターネットやクラウドを活用した教育サービスは色々な分野で始まっています。医療(診断・手技)の質を担保することは非常に重要で、世界中の医師とオンラインでラーニングを行うことがそのソリューションの一つだと確信しました。病院業務が忙しく学会などに参加して勉強する時間がない、医療の進化により専門性が細分化してきた、最先端技術について専門医から直接学ぶことができないなどの現状を受け、都市部とそれ以外の地域で受けられる医療に格差が生じてはいけないということで始められたサービスですが、現在は利用する医療従事者が1万人近くに広がっているようです。(Written by じゅり
 
 

 岡庭先生は、胸部に装着した10センチほどの装置で取得した心電図をiPhoneに送信することで、医師とデータを共有できる医療機器を開発されています。そのご経験から、医療機器を作る前にできれば考えたいこと、作った後にやることについてお話しいただきました。「ユーザーはどういう作りか?に興味はない。どうやったら何が得られるか?が想像できることが重要。」というお言葉が印象的でした。どういう作りにするのかを重要視しすぎると、何が得られるのかについて考えるのを忘れそうになります。エンジニアにとってとても重要な言葉であると感じました。(Written by なつ
 

 
来週、再来週はお休みです。次回は10月12日です。6人の先生をお招きして医療機器開発の実践について学びます。

 
2019.9.21
MDD Diary 2019
Writers : ai -分析化学、代謝物の解析に従事する背が高めの大学院生, なつ-工学と医学の融合分野で日々研究、国語が苦手な理系女子, じゅり-技術×芸術×起業が人生テーマの30代研究者兼起業家(の卵)Samar-a researcher in Osaka, a student in Kyoto, and an alien in Japan, KO -現在は医学を、以前は工学を専攻していました
編集:KEI2 & ChiCo
MDD brain: KEI2