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【MDD Diary 2022】#6 (2022/07/09)

2022-07-12

本日はModule2 〜医療機器開発のマネジメント〜2日目~でした。

1限目 QMSとISO13485
谷崎 みゆき 先生
シミック株式会社

医療機器の品質マネジメントの国際規格であるISO13485に関して、2003年から2016年で変更されたプロセスアプローチやリスクマネジメント活動、是正・予防処置であるCAPA(Corrective Action、 Preventive Action)の考え方などについて重点的にご説明頂きました。また、リスクに基づく分類で決められているQMS省令について、ISO13485との対応関係など踏まえ解説して頂き、どの立場でQMSを受けるのかが一つのポイントになることを学びました。加盟国と共同でQMS調査を行うMDSAP調査機関を評価・認定するという流れは、品質の高さで定評のある日本の医療機器の海外普及にさらに追い風になると感じました。

2限目 生物学的安全性
金澤 由基子 先生
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)

生物学的安全性試験の概要・評価・実施例について中心に講義して頂きました。この試験はGLP省令と呼ばれる基準に従って行われることが必要であり、今までは動物を用いて生物学的安全性の試験を行っていましたが、近年では情報を利用して評価することもあるとのことでした。医療機器は身体との接触の性質や接触時間によってカテゴリ化し、それによって生物学的安全性評価項目が変わるのは大変興味深く感じました。生物学的安全性評価は、動物を用いて試験を実施する前に、全体のリスクアセスメントを立案し、リスクアセスメントに必要な情報を収集、それでも完全にリスクアセスメントを出来ない時に化学的・物理学的試験,in vitro,in vivo試験を行うとのことでした。リスクとベネフィットのバランスを考えながらスピード感をもって患者さんに医療機器を届けることが大切であると改めて感じました。

3限目 リスクマネジメントとISO 14971
萩原 敏彦 先生
医療機器安全研究所

ソフトウェアを含む医療機器におけるリスクマネジメントについてご教授いただきました。講義の最初に、リスクマネジメントの重要な用語(危険状態、ハザードなど)の定義を明快に解説していただきました。家庭内でのやけど事故という具体的な事例を用いて、ハザード(危害の潜在的な源)がいかにして人に危害を与えるのかについて学びました。講義の最後には、自作のリスク管理表を用いて、リスクの分析・評価・コントロールの方法について具体的に教えていただきました。医療機器は人の命を助けることに大いに役立つ一方で、使い方を間違えれば極めて深刻な危害をもたらす可能性があることを改めて実感し、身の引き締まる思いがしました。「危害を引き起こす可能性のあるものを一つも残さないようにする」という、リスクマネジメントの本質が垣間見えるような講義でした。

4限目 医療機器における電気安全とEMC(電磁両立性)の実際
芝田 侯生 先生
一般財団法人 日本品質保証機構

医療機器開発における電気安全およびEMC(電磁両立性)の必要事項についてご講義いただきました。近年ではアプリを搭載した情報機器が医療機器として認められるようにもなり、医療機器の現場を取り巻く環境は極めて多様化しています。そのため機器設計者は医療機器のさまざまな形態を理解し、それらの安全性を保障する必要があります。本講義では電気・電磁波という観点から医療機器の安全性保障について概観しました。医用電気機器の基準は、人体や機器を保護するために存在しています。感電や火災などの事故を防ぐために、病院と製造者の双方が機器の安全な使い方を理解している必要があります。設計基準についての話題では、3時間目で学んだリスクマネジメントの方法を応用することができました。理論的であり実践的でもある実りの多い時間でした。

5限目 医療機器開発におけるサイバーセキュリティ
中里 俊章 先生
キヤノンメディカルシステムズ株式会社

医療機器開発のためのサイバーセキュリティに関する基礎知識についてご教授いただきました。病院のデータベースや一部の医療機器にとってインターネットは必要不可欠なものになってきていますが、そのような医療現場を狙ったサイバー攻撃も存在します。医療の有効性や安全性を担保するために、機器の脆弱性に対して断続的に対応せねばなりません。中里先生は、米国や欧州の専門家とともに制度設計をなされる立場から、日本のサイバーセキュリティ制度の現状や改善点について解説いただきました。医療機器のサイバーセキュリティに関しては、クラス分類(I〜IV)に基づいてではなく、その機器がサイバーリスクに晒されたときに起こりうる危険性を考慮して判断すべきであるとお聞きしました。判明した脆弱性の開示を医療機関や設計者が積極的に行い、システムを更新するための連携を続けることで、サイバー攻撃という危機に共に立ち向かうべきであるという言葉で講義を締めくくられました。

次回7月16日からはグループワークが始まります。「ユーザビリティエンジニアリングとIEC 62366-1」、「医療機器と臨床評価」、「MDD Group Working – I 〜リスクマネジメント実習(市販前編)〜」について学びます。

メディカルデバイスデザインコース2022運営チーム