【MDD Diary 2025】#8 (2025/8/2)
2025-08-5
こんにちは。メディカルデバイスデザイン(MDD)コース2025運営チームです。今回は、その一日を振り返ります。

1,2限目 MDD Group Working – Ⅱ 〜申請・照会対応実習〜
岩元 真 先生 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)
佐々川 馨 先生 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)
本日は、前回に引き続きScenario A・Bに分かれてのグループワーキングを行いました。午前中は「申請・照会対応編」と題し、各Scenarioに基づく申請書および添付資料の作成に取り組みました。特に、申請書の「製品の効果」と整合性を保ちつつ、有効性をどう示すかに焦点が置かれました。グループ内では試行錯誤を重ね、議論が白熱していたのが印象的でした。各グループにはPMDAの講師陣が巡回し、リアルタイムに助言を行うことで、実務に即した理解を深めることができました。
続いて、佐々川先生より「照会対応の基本とポイント」に関する講義が行われました。照会対応の3ステップとして、①審査員とのコミュニケーションを図る、②審査員の懸念点・説明すべき事項を明確化する、③回答書を作成するという実践的なフローが提示され、それぞれの段階での工夫のポイントや注意事項が丁寧に解説されました。特に「照会は承認への道筋を補うもの」であるという考え方は、受講者にとって非常に重要な視点でした。後半のグループワークでは、実際の照会事項に対応する形での回答作成と発表が行われました。単なる回答にとどまらず、QOL(生活の質)など患者視点を意識した提案も多くみられ、講師陣からも高い評価を受けました。
講評に続き、岩元先生からは「審査員の視点から見た医療機器開発・申請のポイント」についてご講義いただきました。審査員が大切にしている「ものを知る・理由を知る・違いを知る」という基本姿勢や、行政側と企業の双方向コミュニケーションの重要性など具体的な観点が紹介されました。また、開発初期からの相談の重要性や、対面助言を通じた信頼構築の必要性も強調され、学生にとって今後の開発プロセスを構想する上で非常に示唆に富んだ内容となりました。

3,4限目 MDD Group Working – Ⅲ 〜リスクマネジメント実習(市販後編) 〜
吉田 昌功 先生 弁護士 吉田・西枝法律事務所
石井 健介 先生 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)
午後の最初は、吉田先生より「医療機器開発と製造物責任法(PL法)」に関するご講義をいただきました。医療機器に関するPL法訴訟の件数や実際の判例について、弁護士としての豊富なご経験に基づいて具体的な事例を交えてご紹介いただきました。特に、実際には裁判に至らず和解で終結するケースが多いことや、医療行為が介在する特有の構造についてのご説明は、参加者にとって非常に現実的かつ示唆に富む内容でした。
続いて、石井先生からは「市販後の安全管理」についての講義が行われました。日本における社会文化的背景や、報告の遅延が引き起こす世間からの心証悪化など、医療機器開発におけるリスクマネジメントの盲点を鋭くご指摘いただきました。
講義を受けて、午後のグループワーキングでは「市販後のリスクマネジメント」をテーマに、午前中と同じScenario A・Bをベースに議論を展開しました。市販後に起こり得るトラブルやクレームに対し、販売継続・一時停止・自主回収など複数の対応策を比較検討するなど、現実的な判断が求められる、難易度の高い演習となりました。
MDD2025も前半8回を終え、いよいよ次回からはModule3:医療機器開発のための機器実習が始まります。「MDD Group Working – IV:製品開発編」、「MDD Group Working – V:活用戦略編」と、丸一日かけたグループワーキングが続きますので、引き続き体調に気をつけて臨んでください。
メディカルデバイスデザインコース2025運営チーム