【MDD Diary 2025】#9 (2025/8/16)
2025-08-16
本日はModule3 〜医療機器開発のための機器実習〜1日目でした。
初日はMDD Group Working –Ⅳ-Ⅴ~医療機器開発のための知財実習①(製品開発編)・②(活用戦略編)~ということで、一日を通じて機器開発に欠かせない知的財産について学びました。

1,2限目 MDD Group Working –Ⅳ ~医療機器開発のための知財実習①(製品開発編)〜
山田 朋範 先生 弁理士 弁理士法人 前田特許事務所
今回の講義は、知的財産の法律上の定義から始まり、商標権や特許権といった基礎的な概念に加え、特許を意識した技術開発のあり方まで幅広く取り上げられました。強調されていたのは、「常に他社の特許にもアンテナを張り、事業戦略と結びつけて技術を開発すること」の重要性です。知財は研究成果を守るだけでなく、将来の事業展開や社会実装に直結するものであるため、研究者にとって欠かせない視点であることを改めて認識しました。また、普段から特許出願を意識して研究開発を進めることが、有効な知財戦略につながることも学びました。受講生に対して事前課題が与えられており、その回答例をもとに具体的な解説が行われました。新しい技術を開発した際には、すぐに出願するのではなく、まず先行文献を調査し、新規性や進歩性を十分に確認することが必要です。山田先生が述べられた「新しければ出願する。新しくなければ、出願できるように工夫する」という言葉は、知財実務における基本的かつ実践的な姿勢を端的に表したものであり、強い印象を残しました。
さらに、グループワーキングでは新たなメンバー構成で取り組みが進められました。知財という専門性の高いテーマに対し、各グループが積極的に議論を重ねる姿が見られ、初めて触れる内容に真剣に向き合う受講生の様子が印象的でした。巡回中には、検索式によってヒット件数が大きく変動するため、どのキーワードを組み合わせるべきか試行錯誤する場面がありました。特に「関連する特許情報を的確に探し出すには、適切なワード選択がいかに重要か」を体感する良い機会となりました。最終発表では、多くのグループが「今回の課題における医療機器は特許を取得できる可能性が高い」との判断に至っており、知識の整理だけでなく、実際に技術を評価する視点が芽生えていることが伺えました。講義と演習を通じ、知的財産の基本概念から応用までを一気通貫で学ぶことができました。

3,4限目 MDD Group Working –Ⅴ~医療機器開発のための知財実習②(活用戦略編)~
中道 佳博 先生 弁理士 創樹国際特許事務所
講義では、特許の外国出願や権利の活用、侵害への対応など、より実践的な知財戦略について学びました。まずは外国出願について、パリ条約ルートやPCT(特許協力条約)ルートといった国際的な出願制度の違いやメリットについて解説がありました。医療機器の開発はグローバル市場を視野に入れることが多く、どの国で・どのタイミングで権利を確保するかが、事業の成否に直結することを実感しました。続いて、権利活用の観点からは、取得した特許をいかに事業戦略へ結びつけるかが重要であるとのお話がありました。単なる権利の取得にとどまらず、競合他社の参入を防ぎつつ、自社の強みを明確化することで知財が持つ真の価値が発揮されることを学びました。また、特許侵害が疑われる場合の実務対応についても具体的な事例を交えながらご説明いただき、知財リスクマネジメントの重要性を考える機会となりました。
グループワーキングでは、これまでのシナリオを発展させ、知財戦略や競合対応をテーマに議論を行いました。難易度の高い課題でしたが、各チームが試行錯誤を重ねながら協働する姿が印象的で、知財を単なる法律知識ではなく「事業を動かす実践知」として捉える大きな一歩となりました。
次回からは、実際に医療の現場で活躍する機器について学んでいきます。心電計と心電図、除細動器・AED、パルスオキシメーター・esCCO(非侵襲連続推定心拍出量)、ポリソムノグラフィと持続的自動気道陽圧ユニット(CPAP)、ペースメーカー・ICD・CRTD・プログラマー、着用型自動除細動器(WCD)、腹膜透析(PD)機器:自動腹膜灌流装置と腹膜灌流用紫外線照射器が登場予定です。
暑い日が続きますが、受講生の皆様とともに後半も楽しく学んでいきたいと思います。
メディカルデバイスデザインコース2025運営チーム