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【MDD Diary 2020】#15 (2020/10/10)「医療機器開発の実践3」

2020-10-10

本日はModule 4「医療機器開発の実践」第3日目でした!

 

 
MDD Group Working- Ⅶ・Ⅷ「医療機器開発のための保険実習①②」を開催しました。
一般社団法人 医療システムプランニングから田村誠先生、北部上北広域事務組合 公立野辺地病院から一戸和成先生をお招きし、丸一日かけてグループワーキング形式で医療機器の保険システムについて学びました。当センターより岡山慶太先生、谷岡寛子先生(京セラ株式会社・大阪大学国際医工情報センター)がファシリテーターを務め、医療者側、メーカー側としてそれぞれの立場からご講評いただきました。
 
午前のミニレクチャーでは、はじめに一戸先生より「医療機器と診療報酬制度」と題して、診療報酬制度の概要、医療技術の保険適用までの道筋についてご説明いただきました。ロボット支援下内視鏡手術の保険算定事例を例に挙げ、診療報酬が必ずしも新規性という切り口のみではなく、「有効性」の観点から評価されていることを教えていただきました。続いて田村先生より「デジタルヘルスと保険」と題して、デジタルヘルスの定義や、診療報酬制度においてデジタル技術の追加評価・加算が難しいといわれる理由について、諸外国の事例や文献、研究結果をお示しいただきながらご説明いただきました。
グループワーキングでは、8つのグループに分かれて、AIによる予測機能を搭載したモニタリング機器の想定事例について、申請する保険の区分、希望する保険点数などを根拠に基づいて設定し、その実現に向けた戦略を考えていただきました。各チームからのプレゼンテーションでは、既存の機器と同等性を示すことで早期上市を実現させたのち、新機能であるAI予測の有効性を示すという2段構えの戦略をとるもの、承認時から臨床的エビデンスをしっかりと示して高い保険点数を獲得しにいくものなど、アイデアとバラエティーに富んだ戦略をご発表いただきました。発表後は、それぞれについて講師の先生、ファシリテーターの先生からレビューいただきました。これまで半年近くにわたり学んできたとはいえ、各チームのプレゼン内容のレベルの高さには恐れ入りました。
 

午後のミニレクチャーでは、一戸先生より「医療機器の保険償還」と題して、特定保険医療材料にまつわる保険制度を中心に、価格の算出方法、類似機能区分比較方式における補正加算などについてご説明いただきました。
グループワーキングでは、新素材を採用することにより既存の機器にはない性能を実現した集中治療領域における医療機器の想定事例について、保険区分、償還価格、補正加算の分類と加算率等を設定していただき、そこに至るロジック、そしてそれを実現するために必要なステップについて検討しました。販売時期を遅らせないことを優先し、まずは既存の機能区分で保険収載とした後、長期使用データを蓄積して有効性を示すという戦略のグループがいくつかみられましたが、その加算の分類や加算率にはグループごとに違いがあり、それぞれのチームが検討した内容に基づくロジックが反映されていました。ミニレクチャーの中でもご教示いただきましたが、有用性加算(5~30%)と改良加算(1~20%)は加算率が一部重複しており、加算の取りやすさも考慮して戦略を立てることが重要であると学ぶことができました。また、「新素材によりトータルとしての材料費が安く抑えられるのであれば、医療費全体への削減効果が大きい」という点に着目しているグループもあり、他のグループ、講師陣からも注目を集めました。
 
来週はMDD2020最終日になります。オンライン診療、ウェアラブル、手術支援ロボットシステムなど話題のテーマについて学びます。
 
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2020.10.10
MDD Diary 2020
Written by team MDD