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【MDD Diary 2021】#6 (2021/07/10)

2021-07-13

本日はModule2 〜医療機器開発のマネジメント〜第2日目~でした。

「リスクマネジメント(ISO 14971)と通則(IEC 60601-1)」
萩原敏彦先生 医療機器安全研究所

講義前半は、医療機器のリスクマネジメントに関する規定であるJIS T 14971:2020についてご説明いただきました。リスクマネジメントの重要用語である「ハザード」「危険状態」「危害」「リスク」について解説していただいた後、実際に発生した事故事例をもとにリスク分析、リスク推定、リスク評価の方法をご紹介いただきました。講義後半では、ME機器とMEシステムの基礎安全と基本性能に関する規定であるJIS T 0601-1:2018についてご説明いただきました。製品を作る前には、通則だけでなく適用される副通則や個別規格などの確認も重要であり、製品がそれらにも適合することが必要であると学びました。来週からのグループワーキング(リスクマネジメント)に向けてのヒントがたくさんありました。

「ユーザビリティエンジニアリングとIEC 62366-1」
吉田賢先生 株式会社UL Japan/Emergo by UL

医療機器におけるユーザビリティエンジニアリング(UE)に関する規定であるJIS T 62366-1:2019についてご説明いただきました。はじめに、日常生活での例、医療機器を扱う対象者の認知特性や特殊な使用環境などの例を用いて、UEについて解説していただきました。そして、UEプロセスについても、ユーザーリサーチ、ユーザーニーズ、使用に関するリスク分析、ユーザビリティ評価の項目ごとに、具体的な手法や実例をご紹介いただきました。特に、製品を実際に使用している対象者や環境、使用方法などを把握するために実施されるユーザーリサーチは、ユーザーインタフェース仕様の決定やリスクマネジメントにおいては必要不可欠であり、さらにバリデーション試験を成功させる上でも非常に重要であるとのことでした。使用者にとっての使いやすさを突き詰めていくと、機能的にも洗練されていく、これがホントのデザインなのだと感じました。

「生物学的安全性試験」
金澤由基子先生 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)

生物学的安全性試験は、医療機器の生体への影響を調べるものであり、医療機器GLPとよばれる基準に沿って実施されることが求められています。近年は、動物愛護やリスクマネジメントの考え方が強化されてきている現状についても興味深い話を聞かせていただきました。例えば、動物を用いた試験を実施する前に、リスクアセスメントを立案して既存の情報をできるだけ集め、それでも不完全な場合はまずは化学的・物理学的試験やin vitroの試験を行うなどの流れとなってきているとのことでした。また、想定できる使用上のリスクや、製品のライフサイクル、廃棄についても評価の対象に加えることが求められるようになってきているということでした。最終的には臨床での評価でないとわからないこともありますが、可能な限り臨床の手前の段階でリスクを排除しておくことが、結果的には医療機器の実用化において早道なのですね。

プログラム医療機器における必須知識」
大竹正規先生 GEへルスケア・ジャパン株式会社

プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン(2021年3月31日に発出)に基づき、基本的な該当性の判断について、通知の文言に沿って詳細に解説していただきました。続いて、心電図アプリケーションの例を用いてプログラムの医療機器への該当性を判断する手順について教えていただきました。こちらはさまざまな学会やメディアなどでも話題になりましたね。また、GHS(ヘルスケアウェア推進協議会)が主体となっている、医療機器でない単体プログラムに対する自主規制・自己認証についてもご紹介いただきました。開発製品を医療機器とするか否かの判断は、目まぐるしく変化する社会背景を的確にとらえた上で、自社のビジネススタイルにあった方法を模索していくことが重要であると理解できました。

7月17日は午前中は医療機器開発におけるサイバーセキュリティ、臨床評価について学び、午後からはリスクマネジメントに関するグループワーキングを行います。

2021.7.10
メディカルデバイスデザインコース2021運営チーム