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【MDD Diary 2023】#6 (2023/7/15)

2023-07-20

本日はModule2 〜医療機器開発のマネジメント〜2日目でした。

1限目 QMSとISO13485
谷﨑 みゆき 先生
シミック株式会社

医療機器規制のなかでも、主に医療機器の品質マネジメントの国際規格であるISO13485や、医療機器の品質保証システムであるQMSについて概要や対応関係を解説していただきました。

医療機器の設計・開発プロセスにおいて何が行われ、何が必要かを省令に照らして追っていくことで具体的な開発の流れをつかむことができました。

加盟国と共同でQMS調査機関認定スキームを用いて立会検査をするという流れは、品質の高さで定評のある日本の医療機器の海外普及にさらに追い風になると感じました。

2限目 医療機器における承認・認証制度
中野 壮陛 先生
公益財団法人医療機器センター

医療機器の製造販売における製品規制の本質を、承認・認証制度を軸に解説していただきました。

各種規制を単なる禁止事項と捉えるのではなく、”製品に対する品質、安全性、有効性の評価規範”と理解することで開発、上市のプロセスをより適切に、迅速に行うことが可能になるということを教えていただきました。また、具体例を交えて制度の要点や、評価のノウハウなどをわかりやすくご紹介いただきました。さらに、日本で上市されているAIを用いた診断支援製品についてもご紹介いただき、技術、機能と規制の適正なバランスが重要であるとわかりました。

3限目 生物学的安全性
金澤 由基子 先生
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)

本講義では、生物学的安全性をテーマに、生物学的安全性評価の考え方とGLP、生物学的安全性試験の概要、生物学的安全性の評価という3つのトピックスを元に解説していただきました。

医療機器はClass IからIVまでの4つのクラスに分類され、それぞれに異なる規制が適用されています。生物学的安全性を評価する試験では、医療機器が身体に接触したときに起こりうる炎症、アレルギー、毒性などの影響について評価します。医療機器の生物学的安全性評価は、医療機器の身体への接触の性質や接触時間によってカテゴリ化され、それによって評価項目が変わることを教えていただきました。

生物学的安全性評価は、医療機器の安全性を担保するために重要なプロセスであり、医療機器のリスクとベネフィットのバランスを考えながら、スピード感をもって患者さんに医療機器を届けることが大切であると感じました。

4限目 医療機器開発におけるサイバーセキュリティ
中里 俊章 先生
キヤノンメディカルシステムズ株式会社

医療機器サイバーセキュリティの国際的な規制・基準の動向、サイバーセキュリティ対応のフレームワーク、国内におけるサイバーセキュリティ対応の課題についてお話しいただきました。

病院のデータベースや一部の医療機器にとってインターネットは必要不可欠なものになってきていますが、そのような医療現場を狙ったサイバー攻撃も存在します。

医療機器のサイバーセキュリティに関しては、クラス分類(I〜IV)に基づいてではなく、その機器がサイバーリスクに晒されたときに起こりうる危険性を考慮して判断すべきであると教えていただきました。

5限目 AI医療機器の審査
岡﨑 譲 先生
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)

医療機器の規制、審査、およびAIを活用した医療機器についてご教授いただきました。

医療機器において、特にソフトウェアの場合、同一の機能でも標榜により医療機器に該当する場合と該当しない場合があるため、注意が必要で、薬機法上の医療機器への該当性を確認することが必要です。

AIは従来の医療機器よりも精度の高い診断や治療が可能であるため、患者のQOLを向上させる可能性があります。しかし、AI技術を用いた医療機器の審査はAIのデータ処理がブラックボックスであるためです。AIを用いた医療機器の審査は、AIの審査ではなく、機器自体が患者にとって安全で有効であるかどうかを判断されるということを教えていただきました。

次回は「医療機器と臨床評価」、「リスクマネジメントとISO14971」、「MDD Group Working – I 〜リスクマネジメント実習(市販前編)〜」ということで、座学とグループワーキングにて学んでいきます。

メディカルデバイスデザインコース2023運営チーム