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2018-09-15 / MDD Diary 2018 #13 (2018/09/15)

Module 4がはじまりました!
本日から東京、福岡、大阪、それぞれの会場に戻って、『医療機器開発の実践』について学びます。
 

 

当センター 妙中義之先生、市立豊中病院 大久保和実先生、新久喜総合病院 澤海綾子先生、大阪大学大学院医学系研究科 神田寛行先生、大阪工業大学 本田幸夫先生にご講義いただきました。
 
 
 
妙中先生には、『我が国の医療機器開発環境の現況と近未来-医工・産学官連携による医療機器のイノベーション戦略-』と題して、AMEDのスーパーバイザーのお立場から国の政策や活用できるリソースについてご紹介いただきつつ、医療機器開発をいかにビジネスとして成り立たせるかについてご講義いただきました。
現場でのニーズ発掘、コンセプトやビジネスモデルの検討等のプロセスに重点を置くことや、開発早期から事業化を見据えてさまざまなアドバイザーを活用していくことの重要性を学びました。
講義の後半では、先生が実際に開発に携われた人工肺を例に、「製品として世に出し利益をあげる」仕組みをどのように作っていったのか、その緻密な戦略についてご紹介いただきとても勉強になりました。医療機器の分野では「よいものを作ったら高く売れる」という単純な原理だけでは説明できない部分も多く、それぞれのプロセスで専門家に相談しながら戦略を立てながら開発を進めていく必要があると再認識できました。
 
 

 
大久保先生には『看護の立場から見る医療現場と医療機器~高齢化時代の病院と認知症ケアの現場から~』と題して、認知症看護認定看護師、そして病棟看護師長というお立場から、高齢者を多く抱える実際の病棟の様子を患者さんのエピソードや写真を交えながら、とてもわかりやすくご紹介いただきました。
「プチ認知症体験」ということで、先生が朗読される物語の主人公となることで、認知症の患者さんがどのようにして混乱の渦に巻き込まれていくのか、その状況を追体験することがきました。混乱の中にある患者さんの安全を守り、最良の医療を提供するために、点滴時間の調整や排泄ケアの見直しなど日々のケアの中で看護師が行っている工夫や、転倒転落防止用のセンサー等の活用についてご紹介いただきました。診断・治療に関する医療機器が数多くみられる一方で、看護に関する機器は多くはありません。しかし知恵や工夫にあふれた看護の場面は、実はニーズの宝庫なのではないかと先生のお話を聞きながら思いました。
人のもつあたたかさや気遣いという看護の良さを残しながら、看護師の工夫を具現化するような機器を開発して導入すれば、深刻な看護師不足が少しは緩和されるのではないかと感じました。
 
 

 
澤海先生には、『橈骨動脈穿刺に適した手台開発をして辿り着いた場所〜商品化・販売までの道のり〜』と題して、看護師として課題解決型アプローチによって現場のニーズをもとに製品を作り事業化されたご経験をご紹介いただきました。
現場発信ということでtrial and errorを可能にするフィールドや医療者が十分であったこと、学会等への参加が容易であったことなど、医療者自身が開発するメリットが最大限に発揮されており大変勉強になりました。また一方で、特許や医療機器の申請はアドバイザーや共同開発者と議論を重ねて着実に実施してこられた経過は、1限目の妙中先生のご講義の中で出てきたポイントやこれまでのmoduleで学んできたことがすべて網羅されているように思いました。先生の行動力や熱意に加えて、開発のステップを一つ一つ着実に進めてこられたことが、ラディ丸(先生の開発された手台の商品名)の事業化につながっているのだと思いました。
 
 

 
神田先生には、『人工網膜の研究開発』と題してご講義いただきました。先生方が2001年から取り組んでおられる人工網膜の開発は、新規医療機器開発となるため、部品ひとつから作る必要があるなど、すべてにおいて試行錯誤の連続とのことでした。また人工網膜は植え込み型の医療機器であるため、高い信頼性と安全性が要求され、厳しい基準を満たすための人工網膜の材料の手配や、評価のための試験装置の製作などに多くのご苦労をなさったそうです。先生のお話をお聞きして、研究としての段階と製品を作り事業化を目指す段階の違いについて改めて理解することができました。
理学・工学・医学のバックグランドをお持ちの先生の研究のお話は、とてもハイレベルでありながら大変わかりやすく、研究開発の楽しさを感じることができました。「人工の眼を作りたい」というニデック社の創業者の夢からはじまったこのプロジェクトが結実して、多くの患者様のもとに「見える喜び」が届けられたら素晴らしいと思いました。
 
 

 
本田先生には、『福祉ロボットの安全設計と商品化の課題』と題してご講義いただきました。国の方針としてロボット介護機器の導入がすすめられてきた経緯やこれまでのロボット介護機器の開発について多くの実例をあげて教えていただきました。多くの研究により、人にとって安全なロボット介護機器を開発するための技術がほぼ確立され実証も行われている状況でありながら、現場での普及が進んでいないということも教えていただきました。新しい技術を前にすると、享受できる利益とともに不利益にも目がいってしまいその導入に不安を覚えることはあると思います。しかし、これから超高齢社会を生きていく私たち一人ひとりが、講義の中で先生が話された「ロボットに助けてもらうのではなく、ロボットを道具として活用し、自分で何でもできる幸せを手に入れる」という考え方を持ち、積極的に福祉ロボットを活用していくことが、労働人口の減少や社会保障費の増大という社会問題を克服する方法の一つなのだろうと思いました。先日の実習で登場したRTワークス社の自動制御機能付き歩行器やサイバーダイン社のHALなども紹介されました。サイバーダイン社の山海先生は講義最終日のファイアサイドセミナーで特別講義にご登壇されるとのことで、今から楽しみです。
 
 
本日の講義は、これまでのModule1~3で学んだことが随所に登場し、各論として学んできた知識が少しずつ統合されていきました。来週も多くの先生方のご講義を通して医療機器開発の実践について学びます。
 
 

 
 2018.9.15
 MDDコース2期生 チコ(ChiCo)