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MDD Diary 2018 #8 (2018/07/28)

2018-07-28

【メディカルデバイスデザインコース2018】
 
台風が近づいているため、強風と曇天の1日でした。
でも暑さは相変わらず。。。
 

 
 『医療機器開発のマネージメント』第4日目は、株式会社 吉田製作所より山口幸宏先生、GEへルスケア・ジャパン株式会社より大竹正規先生、医薬品医療機器総合機構(PMDA)より方眞美先生、京セラ株式会社より谷岡寛子先生にご講義いただきました。
 

 

 山口先生には「医療機器開発と販売(業態・業許可・遵守事項)」と題してご講義いただきました。講義のはじめに、Waterfall modelをもとにした開発企画会議から薬事申請にいたるまでのステップについて、必要書類と合わせて詳細に解説いただきました。ステップごとに開発継続の可否判断が行われ、初期の段階で打ち切りの判断が下されることもあるとのことでした。以前、薬事申請の書類について学んだときは、その細かさと項目の多さに大変驚きましたが、申請に至るまでにも社内でこのような厳しいレビューが行われていることを知り、医療機器開発の大変さや奥深さを感じました。
講義の後半では、高度管理医療機器販売業に関して学びました。業許可や営業所の施設条件、帳簿管理、従業者の教育訓練、苦情処理など多くの項目が法令により定められていることを知り、医療機器開発というのは、製品を作ることだけにとどまらないということを改めて認識できました。

 
 大竹先生には「プログラム医療機器における必須知識」と題して、薬事法改正により新たに規定されるようになったプログラム医療機器についてご講義いただきました。プログラム医療機器とはどのようなものかについて、『単体プログラムなのか?』『診断・治療・予防を目的としているか?』『不具合があった場合のリスクはどの程度か』という3つの視点から検討することを教えていただきました。医薬品医療機器等法の適用範囲、GHS(Good Health Software)ガイドラインの適用範囲、どちらも適用されない範囲の線引きの考え方を説明いただき、これまで曖昧だったプログラム医療機器に関する知識を整理することができました。また、医療機器として保険診療を目指すのか、あえて非医療機器としてビジネスを構築するのか、といったビジネスモデル構築の観点から戦略を考える必要性についても教えていただきました。AIを利用した医療機器についての言及もありましたが、IBM社 WatsonとMicrosoft社 Tayの話は記憶に新しいところで、人間の医師を越えた能力を発揮する可能性を秘める一方で、未検証の医療機器が現場で使用される状態になり得るリスクも同時に抱えているということなのもしれません。講義後は質問が止まらず、この分野への関心の高さが伺われました。今後多くの企業からどんどん出てくるであろう斬新なアイデアが今からとても楽しみです。

 
 方先生には「医療機器と臨床評価」と題してご講義いただきました。臨床上のリスクベネフィット、有効性(EfficacyとEffectiveness)、安全性の考え方について、TAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)などの例を用いて、詳しく解説していただきました。臨床試験の必要性の検討、臨床試験のプロトコールデザインについてはレベルの高いお話でしたが、大変勉強になりました。臨床試験成績の解釈についての事例もご紹介いただいたことで、『機器が臨床上有効であるか』をきちんと評価することの難しさと重要性を理解することができました。また、人間が使う以上、機器そのものの有効性安全性評価だけでは不十分で、医師等使用者の手技や使用方法によっても結果が左右されることを学びました。医療機器の評価は使用者の操作性向上というだけでなく、それにより治療成績が向上しているかまでが求められるということを知りました。昨今話題になっている、治験ガイダンスについても触れられ、医療機器の評価における市販前、市販後のバランス、リアルワールドデータの活用などについても解説いただき、これから医療機器を開発するにあたり知っておかなければならない方向性を学ぶことができました。

 
 谷岡先生には「医療機器開発と保険償還」と題してご講義いただきました。先生のご講義を聴くまでは、よい医療機器を作れば、多くの人を助けることができ、開発した企業も大きな利益を上げることができるものだ、とシンプルに考えていました。しかし『保険は闘い』と表現された先生のご経験をきいているうちに、現実はそうとも限らないということを理解しました。2年毎に価格が変更される、それも下がる方向になる場合がほとんどであるということにも驚きました。何年もかかって作り上げた医療機器に対する評価の一つが価格であると思います。それが短期間に右肩下がりになってしまう現実を受け入れることは大変辛いと思いました。逼迫した日本の医療財政を考えると、定期的な価格改定は必要なことかもしれませんが、その一方で、患者さんのために改良を重ねてきた企業の努力が認められることも、よりよい医療機器開発が継続されるために必要であると思います。この辺りのバランスをどうとっていくかが、今後の日本の医療を考える上で大切なことなのかもしれません。

 
 今日でModule2医療機器開発のマネージメントが終わり、前半のプログラムが終了しました。来週からはModule3医療機器開発のための機器実習がはじまります。初日の1~3限目(午前中)は「医療機器開発に必要なデザインとクリエィティビティ」「医療機器開発における臨床ニーズのクリエイティビティ」「漏れ電流・EPRの予備知識」についての講義、4~6限目(午後)は漏れ電流・EPR、除細動器とAED、パルスオキシメーター・血圧計に関する実習になります。
MDDコース後半戦も、みなさんと一緒に楽しく学んでいきたいと思っております。来週からもどうぞよろしくお願いいたします。


 

 

 2018.7.28
 MDDコース2期生 チコ(ChiCo)