MDD Diary 2019 #11 (2019/08/24) 『医療機器開発のための機器実習 3 』
2019-08-24
本日はModule3『医療機器開発のための機器実習』の第3日目でした。
血糖値センサー、ペースメーカー・ICD・CRTD、ペースメーカー植え込み手術体験、リードレスペースメーカーとシミュレーター実習、ポリソムノグラフィと持続的自動気道陽圧ユニット(CPAP)、心電計と携帯型心電計、腹膜透析機器(自動腹膜灌流装置と腹膜灌流用紫外線照射器)について、企業の方々からご講義いただいたあと、実機を用いて実習を行いました。
バイオセンサの技術開発と事業化とについてのご講義のあと、血糖値センサを用いた血糖測定を体験しました。私は普段、研究において検出器として質量分析計を使用しており、生体サンプルを扱う際は目的物質以外の夾雑物(きょうざつぶつ:混じっている種々雑多な異物)を取り除くために除タンパクなど適切な前処理を行って分析を行います。しかしバイオセンサにおいては、ユーザビリティの観点から簡便な操作が求められるので、前処理無しで高感度に測定を行う必要があります。研究開発の経緯から感度、選択性について様々な工夫をお伺いすることができ、非常に興味深かったです。また、現在では測定に必要な血液が0.6 μLとごく少量で行えるようになったため、実習では穿刺時の痛みの少なさに驚かれる方もいらっしゃいました(Written by ai)。
ペースメーカーには、電気ショックを行えるものや両心室に電気刺激を送ることができるものなど多くの種類があることを知りました。実習では、ペースメーカーのジェネレーター(電池)を実際の手術器具や縫合糸を用いて、前胸部の模型に植え込みました。模型の皮膚はなんとも言えないウェット感をしており、とてもリアルな感触でした。メスで切る感覚や針を通すときの力の入れ方などを体験できてとても有意義でした。
リードレスペースメーカは小さなカプセル型をしており、それを直接、心臓の壁に固定します。実習では、リードレスペースメーカのデリバリーシステムとイントロデューサを用い、ペースメーカ本体を足の付け根から心臓内に挿入する体験をさせていただきました。体験してみると、足の付け根から心臓への距離は長く、デリバリーシステムの扱いがとても難しかったです。手技を行う医師にも高い技術が求められるのではないかと思いました(Written by なつ)。
ポリソムノグラフィ(PSG)は、睡眠中の生体情報を測定する検査のことで、最近よく聞く睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)の診断ができるそうです。後半の実習では、実際に睡眠時無呼吸症候群の患者さんが使用されているCPAP機器を体験しました。装着する前は送り込まれてくる空気の音に驚きましたが、装着すると空気が漏れずに正常に使用されていれば音はほとんどありませんでした。送り込まれてくる空気も慣れれば苦しくなく、使用を続けていると、逆にこの機械がないと眠れない患者さんもいるそうです(Written by なつ)。
心電計の実習では、心臓の刺激伝導系に関する説明や12誘導心電図の示す波形の意味についてご講義いただいた後、実際に装着して心電図を取得する実習を行いました。心電図は心筋梗塞などの重篤な疾病の診断に欠かせないものであり、電極の位置やリードを正しく装着することが非常に重要であると学びました。また、位置を間違えて付けた場合や、筋緊張によるノイズの混入、息こらえによる呼吸性変動も見せていただき、測定時の患者さんの状態を把握することも必要だと知ることができました。
CAPD (持続携帯式腹膜透析) とAPD (自動腹膜透析装置)についての実習でした。これら二つの製品をセットで使用するユーザーの誤使用を防ぐために、音声説明が男性音と女性音で分けられていることや、医師の指示した適切な透析液バッグがセットされているかを識別する機能が備わっていることが印象的でした。まさにグループワーキングで学んだリスクマネージメントの内容が実践されていることを実感しました。在宅治療、そしてそれをサポートする機器は患者さんのQOLを保つ上で非常に重要ですが、機器を開発する立場に立つと多くの工夫が求められるのだなと感じました(Written by ai)。
「みんなちがって、みんないい」
(撮影:MDDコースMs. Jim)
来週8月31日はお休みで、次回は9月7日です。Module3『医療機器開発のための機器実習』の第4日目は内視鏡機器、鏡視下手術機器、血液透析機器、義肢装具、超音波機器と血管内超音波カテーテル、3次元画像解析システムについて、実際に触れながら学んでいただきます。大型機器を用いた機器実習になりますので、大阪会場のみでの開催となります。
実習終了後には、大阪会場の中之島センター内にてMDDイブニングネットワーキングを予定しております。本年度の受講生のみなさまが一同に会する機会ですのでぜひご参加ください!
「真夏のアクアリウム」
(撮影:MDDコースきってのブレインエンジニアKEI)
2019.8.24
MDD Diary 2019
Writers : なつ-工学と医学の融合分野で日々研究、国語が苦手な理系女子,ai -分析化学、代謝物の解析に従事する背が高めの大学院生, Samar-a researcher in Osaka, a student in Kyoto, and an alien in Japan
編集長:ChiCo
MDD brain: KEI2