MDD Diary 2019 #13 (2019/09/14) 『医療機器開発の実践 1 』

2019-09-14

日中はまだ暑さが残りますが、朝の涼しさは秋を感じるようになりましたね!

(中之島公会堂-中之島センターから堂島川沿いを20分ほど歩くとつきます)
 
本日からModule 4〜医療機器開発の実践〜がはじまりました!
 
われらが大阪大学国際医工情報センターから妙中義之先生、シスメックス株式会社から浅野薫先生、サムエルプランニング株式会社から宮坂強先生、上尾アーバンクリニックから澤海綾子先生、RT.ワークス株式会社から藤井仁先生にご講義いただきました。 
 

 医療機器を製造・販売し、ビジネスとして成功する確率を上げるためには、事業を始める前に医師、看護師、臨床工学技士、患者から普遍的なニーズを発掘すること、さらに市場調査、知財調査、薬事調査、保険関係調査、コンセプト立案、ビジネスモデルの検討なども重要とのことでした。失敗する多くのケースは、コンセプト検証、事業性の検証を行わずに試作品製作を始めてしまっているそうです。私自身これまで医療機器開発に携わってきた中で、ニーズが普遍的であるかどうか、どのように調査すれば良いか?と疑問に思うことがよくありましたが、先生のご講義の中で調査のためのtipsをいただくことができ、大変有意義な講義でした。(Written byじゅり

 

 研究開発において、臨床試験のデザインで工夫した点や製造販売承認・保険適用を受けるまでに苦労した点など幅広くご講義いただきました。なかでも個別化医療に向けたゲノム医療が臨床実装されるまでの経緯は特に興味深かったです。次世代シーケンサーは遺伝子工学の分野において大きな進歩をもたらしており、これまでは研究用というイメージがありました。しかし今回の講義を通して、医療機器としても使用されるようになってきたことや、医療機器として認められるには性能(品質)の担保が必要であること、また実装する上で、遺伝子やバイオマーカーにおける特許の考え方が各国間で異なることなど課題があることも知ることができました。先生のご講義をお聞きして、新たな技術を臨床実装するためには、様々な視点が必要なのだなと感じました。(Written by ai

 

 初めに先生から「マーケティング」と聞いてどのような印象をお持ちでしょうか?というご質問をいただき、自分の中でも曖昧なものでしたが、特に医療機器開発におけるその役割について項目立ててお話しいただき、非常に勉強になりました。対象疾患と対象患者の範囲や治療手段など、自社の製品を十分に分析した上で競合との違いを明確化する必要があるのだなと感じました。また、ビジネス性について製品のライフサイクルなどの点はあまり考えたことがなかったですが、採算をとる上では大変重要な点であると知ることができました。(Written by ai
 
 3限目の医療機器開発のマーケティングに引き続いて、4限目は米国における医療機器開発の実態についてご説明いただきました。米国は医療機器分野における売上高上位20社のうち14社を自国企業が占め、医療機器関連特許の約70%を保有するなど、医療機器大国です。米国における医療機器開発のキーワードはオープンイノベーションです。革新的な医療機器は、最先端の技術を持ったベンチャー企業が研究開発を行い、大手企業がそのベンチャー企業を買収、製造販売までを担います。また、ニーズベースの医療機器は、大手企業において綿密なマーケティングが行われ、定期的な開発可否判断を受けながら、慎重に開発されていきます。大学、ベンチャーキャピタル、政府はそれらのプレイヤーの活躍する土壌を提供します。講義中、先生から出された問いは、『日本が米国のように医療機器開発を成功させるシステムを構築するには、どうすればよいか?』、というものでした。日本の良さはいったい何で、日本にとって最適なシステムはなんなのでしょうか。現代日本のあらゆる分野に共通する難解な問いで、まだ答えは見つけられていませんが、成功事例としての米国を深く知れたことは答えに至る第一歩になったと思います。(Written by KO

 

 「看工連携による医療機器開発の取組み」と題して、心臓カテーテル用手台「ラディ丸」の開発の体験談をご講義いただきました。今回は、先生が開発された「ラディ丸」について、開発の経緯、関係者への協力の取り付け、特許、販売をどのように進めたかについて、具体的なシーンを交えて臨場感あふれる講義をしていただきました。先生が強いビジョンをもとに、全ての関係者に自ら交渉し、開発プロセスを進められた点が印象的でした。これまで受けてきた講義では、得意分野ごとに分業したり、大人数で開発する形態が紹介されることが多かったこともあり、今回のお話は大変新鮮で、少人数でも優れた医療機器が作れるのだと、刺激をいただくことができました。(Written by KO

 

 ロボットアシストウォーカーRT.1とRT.2の開発のご経験についてご講義いただきました。RT.ワークス社は、もともと家電製品を製造販売する企業からスピンアウトしており、高齢化という社会背景、それに対処する国の施策、他社の技術状況などを踏まえ、介護・医療分野への参入を決めたとのことでした。医療機器業界への新規参入で最も苦労された点は、これまであまりなかった「開発コンセプト」、「現場での検証」、「適応と禁忌の設定」を強く求められたことだったそうです。例えば、「適応の設定」については、「対象とする人」だけでなく「対象としない人」を想定するなど、専門家にアドバイスを受けながら、開発のコツを身に付けていったとのことでした。異業種からの参入におけるハードルについて、開発の流れとともに具体的に教えていただき、非常に興味深い講義でした。先生の語り口は大変優しく、試行錯誤の苦労の中にも開発の楽しさがあることが伝わってくるもので、異業種の方も、医療機器開発に取り組んでみようかなと思われたのではないかと思います。(Written by KO
 
 家電業界からロボット技術を歩行器に導入したというお話は非常に興味深かったです。持参していただいたRT-2はスタイリッシュな色と型で、センシング情報を元に押しながら歩く動作アシストしてくれる非常に優れた歩行器でした。実際に手で触れ操作させていただくと想像を超える驚きの動きでした。開発当初に介護保険対象外で苦労した結果、開発コンセプトをコミュニティでの日常活動という点に設定され、改良されたことは非常に良かったと思いました。医療の現場は高齢化、老々介護、独居老人など課題が山積しており、何らかの援助を受けなければ生活できない方々が日々問題を抱えながら生活されています。また高齢でなくても、病気で歩くことができず外出できないと、精神的にも落ち込みがちになります。今回紹介された歩行器は 坂道の下りも自動減速ブレーキがかかり、凸凹が多い地域の路面にも対応し、さらにカーブも可能な素晴らしいもので、色々な患者さんに紹介できる歩行器であると思いました。
(Written by Akky

 
 

「秋の訪れ」(撮影:MDDコースMs.Jim)

 
来週、9月21日の午前はグループワーキング『医療機器開発のための保険戦略』です。午後からは3人の先生からのご講義を通して、医療機器開発の実践について学びます。
 
MDD2019も残すところあと3回になりました。最後までどうぞよろしくお願いいたします。
 
2019.9.14
MDD Diary 2019
Writers : ai -分析化学、代謝物の解析に従事する背が高めの大学院生, じゅり-技術×芸術×起業が人生テーマの30代研究者兼起業家(の卵)Samar-a researcher in Osaka, a student in Kyoto, and an alien in Japan, KO -現在は医学を、以前は工学を専攻していました, Akky-今も某大学病院で働くベテラン看護師
編集長:ChiCo
MDD brain: KEI2