MDD Diary 2019 #7 (2019/07/20)『医療機器開発のマネージメント3』

2019-07-20

今週は梅雨空の日が多かったり台風5号も発生したり、ジメジメした日が続きました。梅雨明けが待ち遠しいですね。

 
本日はModule 2 〜医療機器開発のマネージメント〜の3日目でした。朝日インテック株式会社から西内誠先生、一般財団法人 食品薬品安全センターから金澤由基子先生、医薬品医療機器総合機構(PMDA)から方眞美先生、京セラ株式会社から谷岡寛子先生にご講義いただきました。
 
Today we held the 3rd part of Module 2. We had lectures by Mr. Makoto Nishiuchi from Asahi Intec Co., Ltd., Ms. Yukiko Kanazawa from Hatano Research Institute, Food and Drug Safety Center, Dr. Mami Hou from PMDA, and Ms. Hiroko Tanioka from Kyocera Corporation.
The lectures covered various topics including the project management for medical device development, biological safety testing, clinical evaluations, and marketing and post-marketing of medical devices under the Japanese health insurance system.
 

1限目は朝日インテック株式会社の西内誠先生から『医療機器開発のプロジェクトマネージメント~ニーズ探索・コンセプトデザイン・開発インプット~』と題してご講義いただきました。

医療機器は医療現場から生まれる、医薬品は実験室から生まれると言われているそうです。ということは、医療機器のニーズ探索は、医師に直接聞くことが必須となります。もっと言えば、最終的に臨床現場でその医療機器を使う医師に聞かなければいけません。彼らが使いにくいものは、結局使われなくなってしまうからです。私たちエンジニアは、医師が持つ医療機器ニーズを曖昧な感性のままにせず工学的な言葉で定量的、定性的に置き換えて、とことん質問すること、医師と密にコミュニケーションをとることがどうしても必要です。(お忙しい医師の方々とアポを取ることが難しい場合が多いですが、私も頑張りたいと思います!)その機会が得られたら、開発につながるエッセンスを引き出すために的確な質問をして、真の要求を正しく引き出す、本音を引き出すことを目的とすべきだそうです。さらに、エンジニアが臨床現場に寄り添って医師の言葉を理解できるようになるための確実な方法としては、病院と契約を結び、臨床現場でライブデモンストレーションなどを見せていただくということもあるようです。医療機器開発のすべてはニーズ探索から始まることを心に刻んでおきたいと思います。(Written by じゅり)。
 
In the first lecture, Mr. Makoto Nishiuchi stressed the importance of understanding the medical needs for developing medical devices. If the designers of the medical devices do not completely understand the needs of the end-users, they will not be able to develop devices that answer their needs and preferences. To understand the medical needs, the designers can ask for the direct input of medical experts. Therefore, it is important for the designers to ask the right questions in order to identify the essential needs of the medical experts. However, experts usually have needs that they are not aware of or cannot articulate. The designers, in this case, have to take extra steps to identify these hidden needs and tackle them through design.
 

2限目は一般財団法人 食品薬品安全センターの金澤由基子先生から『生物学的安全性試験』と題してご講義いただきました。

生物学的安全性が必要となる理由から、具体的な生物学的安全性試験の中身や実施例まで詳しく教えていただきました。例えば、金属ステントを装着したデリバリーシステムは、デリバリーカテーテルとステント部位に分けられます。デリバリーシステムはステントを血管の中に留置した後は体外に引き抜いてしまいますが、金属ステントは基本的に体内に留置されたままになります。この異なる特性をもつものを同じ評価系で一緒に評価するのは難しいので、別々に評価するそうです。また、日、米、欧で求められる事項も異なるということを教えていただきました。開発した製品がどういうものか、そしてそれをどこに出すのかによって、試験の戦略を考えなければならないことがよくわかりました。「医療機器はリスク0にすることは不可能。そうした中で、どういったベネフィットがあるかを言えることが重要。そうでなければ本当に必要なものを患者さんに届けることはできない。」という最後のお言葉がとても印象的でした。(Written by なつ)。
 
In the second lecture, Ms. Yukiko Kanazawa explained to us how we can test the biological safety of medical devices. Since medical devices are made of multiple parts, we need to evaluate each part separately. Ms. Kanazawa noted that the risk cannot be completely eliminated but we should strive to minimize it while maximizing the value provided to the patients.
 

3限目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の方眞美先生から『医療機器と臨床評価』と題してご講義いただきました。

開発した医療機器においてなぜ臨床評価(臨床評価=治験ではない)を行う必要があるのかという点から、臨床上のリスクベネフィット評価の考え方について具体例を踏まえお話しいただきました。また、審査を行っておられる立場として、審査側が承認審査時に考えること、さらに医療機器の有効性を判断する際の臨床試験成績の解釈における考え方についてもご紹介いただきました。講義を通して、何を評価するために何をみる必要があるのかという点を深く理解し、明確にすることが非常に重要だという印象を受けました。既存品が既に存在する場合、その差異について具体的に評価する必要があるといったように、開発した製品の臨床的位置づけを正しく理解することや、非臨床試験で評価できること、臨床試験でしかできないことを明確にして評価することが大切だと学ぶことができました。(Written by ai)。
 
In the third lecture, Dr. Hou stressed the importance of clinically evaluating medical devices. These evaluations aim to judge the effectiveness of the medical device. To conduct a successful clinical evaluation, we need to clearly set the evaluation criteria and clarify the purpose and reason for choosing these criteria.
 

4限目は京セラ株式会社の谷岡寛子先生から『医療機器の開発から販売、市販後まで~保険制度の下で~』と題してご講義いただきました。

企業の立場から、開発から販売までのプロセスで企業に求められること、そしてどの段階に課題があるのかという所から保険償還制度の概要についてお話しいただきました。日本では保険償還対象の医療機器に公定価格が設定されるため、家電製品のように市場原理による価格調整がなされず、そのため定期的に価格改定が行われます。医療機器を開発し、より良い製品にしていくために、企業にとって価格は非常に重要な点であると考えています。保険償還戦略を立てるにおいて、償還価格区分、価格決定のプロセス、さらに、決定後もその価値を維持するには努力を要することなど、貴重なお話を伺うことができました。それら努力が必ずしも報われるわけではないが、粘り強くがんばっていかないといけないというメッセージに感銘を受けました。国内の医療機器産業をより発展させていくために、保険償還制度についても色々と考えていかないといけないと感じました。(Written by ai)。
 
In the last lecture, Ms. Hiroko Tanioka provided us with insights about medical device development and marketing from the viewpoint of the companies that develop these devices. Ms. Tanioka discussed the challenges that these companies face in regard to the reimbursement of the health insurance system. One of the biggest challenges for companies developing medical devices is determining the price of their product and being able to maintain a profit in the long run. Even though these companies face big challenges where their innovative efforts are not always highly rewarded, they continuously strive to innovate and advance the medical device industry in Japan.

 
来週は、PMDAから岩元真先生をお招きして、グループワーキング『リスクマネジメント実習(市販前編)、申請・照会対応実習』を行います。
実習で使用いたしますので、PCをご持参いただきますようお願いいたします。
 
 
来週もどうぞよろしくお願いいたします。
 
Next week, each team will give a presentation about the risk management of a medical device of their choice.
We are looking forward to hearing from the participants and to discuss the ideas that they will share. See you next week!
 
2019.7.20
MDD Diary 2019
Writers : なつ-工学と医学の融合分野で日々研究、国語が苦手な理系女子, じゅり-技術×芸術×起業が人生テーマの30代研究者兼起業家(の卵)Samar-a researcher in Osaka, a student in Kyoto, and an alien in Japan, ai -分析化学、代謝物の解析に従事する背が高めの大学院生, KO -現在は医学を、以前は工学を専攻していました
Chico編集長:外遊中
MDD brain: KEI2