MDD Diary 2019 #9 (2019/08/03)『医療機器開発のための機器実習 1 』

2019-08-3

本日よりModule3『医療機器開発のための機器実習』がスタートしました。これまでたくさんのことを学びましたが、ここからは折り返しになります。お待ちかねの機器実習が始まります。
Today, we started the 3rd module of the MDD course. We have learned so much already and we are only half-way there. In this 3rd module, we will be learning about medical device training for medical device development.
 

 
午前は、PMDAから松井豊先生、吉田・西枝法律事務所から吉田昌功先生、京セラ株式会社から谷岡寛子先生にお越しいただき、Group Working Ⅲ リスクマネジメント(市販後編)が行われました。
In the morning sessions, we continued the group work that we started last week and we worked on post-market risk management. The participants had to consider the actions to take if an unexpected problem or adverse event occurs after the medical product is on the market and used by patients. The scenarios that we used were about two medical devices that were employed last week.
 
 まずグループワークに先立ち、吉田・西枝法律事務所の吉田先生から、医療機器の市販後の損害賠償について法的な観点からご説明いただきました。医療機器に欠陥があった場合、損害賠償のリスクが発生しますが、損害賠償の要件は民法と製造物責任法(PL法)で規定されることを教えていただき、実際にどのようなことが起こり得るのかについてもご紹介いただきました。続いて、PMDAの松井先生より市販後の安全管理について、不具合の定義・要因、各機関の責任範囲、安全対策のステップ(原因究明、対策の決定)などを中心に解説いただきました。(Written by KO)。
To guide and support the group work, Dr. Yutaka Matsui from PMDA, Mr. Masako Yoshida a lawyer from Yoshida & Nishieda Law Office, and Ms. Hiroko Tanioka from Kyocera Corporation were invited to attend the group work sessions.
 
 本日のグループワークは、先週の実習(市販前のリスクマネジメントと申請・照会対応)で検討した「シナリオA:人工関節」と「シナリオB:コンタクトレンズ」を題材に、『市販後のリスクマネジメント』について行いました。すでに市販され多くの患者さんに使用されている人工関節やコンタクトレンズに予期せぬ不具合や有害事象が生じたら…と、当該企業の担当者になって60分間で対応策を考えていただきました。
 
 グループワークを行ってみて、製造販売業者がどこまで主体的に原因究明にあたるか、また、利害関係者が製造業者・医療機関・患者さんなど複数存在するため、どのように調整すれば原因究明・責任の明確化が上手くいくか、という点に難しさを感じました。ただ、一つ確実なことは、製造販売業者の初動によって不具合発生後の損害の程度がいかようにも変わり得るということであり、今回のグループワークにて法制度の理解、不具合が発生した場合の行動のシミュレーション、そして難しさの確認ができたことは、非常に有意義だったと思います(Written by KO)。
 
 私のチームでは、人工関節のシナリオで、患者さんがスキーをしているときに人工関節のステムが破損したと想定して、人工関節の開発メーカーとしてどう対処するかについて考えました。破損した原因を究明するためには、PMDAや病院とやりとりするだけでなく、材料メーカーや運送業者とのやりとりも必要なのではないか言う結論になり、やるべきことがたくさん挙げられました。グループ発表では、講師の先生から『組織として動くことを考えると、誰が何をするのか明確化し、漏れのないようにすることが重要だ』とご講評いただき大変勉強になりました(Written by なつ)。
 
From the group presentations and the feedback that they got, I realized that reacting quickly to such events is needed to minimize their potential damage. Moreover, understanding the legal system and the roles of people inside the company is needed to correctly and efficiently conduct ourselves in these cases.
 

 
午後は、大阪大学医学部附属病院から楠本繁崇先生にお越しいただき、漏れ電流とEPR実習が行われました。また、日本光電工業株式会社様にご協力いただき、除細動器・AED・パルスオキシメーター・血圧計に関する機器実習が行われました。
In the afternoon sessions, we received a lecture by Mr. Shigetaka Enomoto from Osaka University Hospital about the risks of electrical current leakage and the safety advantages of the Equipotential Patient Reference (EPR). In addition, with the cooperation of Nippon Denko Kogyo Co., Ltd., we received training and experimented with a defibrillator, an AED, a pulse oximeter, and a sphygmomanometer.
 

 
今回は、漏れ電流、EPR:Equipotential Patient Reference(等電位接地システム)について、ご説明いただきました。医療機器によって感電が起きた場合、漏れ電流の大きさや持続時間によっては、全身の痙攣、心室細動を招く危険性があります。実習では、医療機器の漏れ電流の種類別(単一故障状態を含む、接地漏れ電流、接触電流、患者漏れ電流、患者測定電流)に、測定方法とおおよその値を紹介していただきました。
漏れ電流の概念は理解していても、実際の医療機器を前にどこを測定すればよいのか?というのは、意外と難しい問題です。実習では、いくつかの医療機器について、この場合はどこで漏れ電流を測定すればよいか、どこが大きな値が出やすいか、などの実践に基づいた情報を教えていただき、漏れ電流測定のイメージを十分につかむことができました(Written by KO)。
 

 
日本光電工業株式会社様よりパルスオキシメーターの歴史、原理、そして血圧計についてご講義いただいた後、実際にそれらを使用して酸素飽和度の測定、血圧の測定を体験しました。パルスオキシメーターは指先にすぐに取り付けることができ大変使いやすいものでした。また異常があると装置が警告を出してくれるようなシステムや、人体との接触部は感染症を考慮した使い捨てタイプもあるとのことでした。また、血圧計を用いて実際に測定を体験した受講生の皆さんは、その測定の早さと圧迫感の少なさに大変驚かれていました。患者さんのことを常に考えて開発がなされていることを実感しました(Written by ai)。
 

日本光電工業株式会社様より除細動器、AEDについてご講義いただきました。単独VF/VT解析や複数VF/VT解析、連続VF/VT解析、ノイズ低減パッドの開発を通して、AEDの解析制度の向上と解析時間の短縮を達成されたという具体的な開発話をお聞きして、より良いモノをつくりたいという、開発側としての熱意を強く感じました。
 授業後半では、医師の方が実際に使用されている除細動器で、擬似モデルに電気ショックを与える体験をさせていただきました。ドラマでのイメージがあり、電気ショックを与える際には大きな音と跳ね返りを期待していましたが、大きな音も跳ね返りもほとんどありませんでした。技術の進歩により、少ないエネルギーで心臓の正常なリズムを取り戻すことができるようになってきたそうです。
 AEDや除細動器の話だけでなく、災害やマラソン大会で実際に人を助けられた経験をもとに、胸骨圧迫の重要性を伝えていただきました。私も、もし胸骨圧迫が必要な場面に出会ったら、実施できるように勉強しておきたいと思いました(Written by なつ)。

 
来週8月10日はお休みになります。次回は8月17日 Module3 第2日目です。弁理士の先生による医療機器開発のための知財実習になります。
Next week, we will not have an MDD course. But do not worry, we are just half-way into our course and we will be back on the 17th of August to learn about Intellectual Property. See you all on the 17th!
 

 
始まったばかりのような気もいたしますが、MDDコース2019も早くも後半に入りました。
福岡会場の受講生の皆様、大変暑い中、大阪・東京会場までお越しいただきどうもありがとうございました。また17日お会いできるのを楽しみにしております。
 
2019.8.3
MDD Diary 2019
Writers : なつ-工学と医学の融合分野で日々研究、国語が苦手な理系女子, Samar-a researcher in Osaka, a student in Kyoto, and an alien in Japan, ai -分析化学、代謝物の解析に従事する背が高めの大学院生, KO -現在は医学を、以前は工学を専攻していました
編集長:ChiCo
MDD brain: KEI2