MDD Diary 2019 #12 (2019/09/07) 『医療機器開発のための機器実習 4』

2019-09-7

本日はModule3『医療機器開発のための機器実習』の第4日目ということで、すべての会場の皆様に大阪会場にお集りいただき、大型機器の実習を行いました。
Today we held the 4th and last part of Module 3 titled “Practical Training for Medical Device Development.” Participants came all the way from Tokyo and Fukuoka to join their fellows at the Osaka venue for learning and trying out large medical equipment.
 
内視鏡機器と鏡視下手術機器、(オリンパスメディカルサイエンス販売株式会社)、血液透析機器(ニプロ株式会社)、3次元画像解析システム(富士フィルムメディカル株式会社)、義肢装具(川村義肢株式会社)、超音波機器と血管内超音波カテーテル(株式会社フィリップス ジャパン・株式会社JMC)についてメーカーの方からのレクチャーを受けた後、実習を行いました。
The day’s menu included endoscopic equipment and endoscopic surgical equipment from Olympus Medical Science Sales Co., Ltd., hemodialysis equipment from Nipro Co., Ltd., 3D image analysis system from Fuji Film Medical Co., Ltd., prosthetic orthosis from Kawamura Prosthetic Co., Ltd., and ultrasonic devices and intravascular ultrasonic catheters from Philips Japan Co., Ltd., and JMC Co., Ltd.
 

癌患者は年々指数関数的に増加しています。癌の早期発見のために、現在の高機能な内視鏡は非常に効果的だと思います。上部消化管内視鏡は経口あるいは経鼻内視鏡により口腔、食道、胃、十二指腸まで、下部消化管内視鏡は肛門、大腸を観察でき、これらの内視鏡で観察するのが難しい小腸を、カプセル内視鏡で観察できるようになっています。カプセル内視鏡は、体内でのコントロールが難しいため、現状では小腸以外で第一選択とはなっていないとのことです。いずれの内視鏡にも、超小型で焦点深度の深いカメラモジュールを採用し、3mmから10cm位の距離をフォーカスフリーで撮像しているようです。癌で、表面に腫瘍があらわれている場合には、NBI(Narrow Band Imaging=狭帯域光観察)と呼ばれる新技術により、血液中のヘモグロビンを映し出す青~緑の波長の光を当てることで、腫瘍を成長させるため集まった毛細血管や微細構造をくっきりと映し出すことができるようにもなりました。(Written by じゅり
The early detection of cancer is required to reduce healthcare costs, provide patients with a better quality of life and reduce mortality. High-performance endoscopy provides us with an effective way to early detection of cancer inside the body. Upper gastrointestinal endoscopes and lower gastrointestinal endoscopes are good for observing the oral cavity, esophagus, stomach, duodenum, anus, and large intestine. However, with these types of endoscopes, we cannot easily observe the inside of the small intestine. For the small intestine, capsule endoscopes could be used, however, controlling theses capsules inside the body remains a challenge. As for visualizing small blood vessels and find structures, a new technology called NBI (Narrow Band Imaging) could be applied.

 
鏡視下手術は、開腹しないので傷が小さく、疼痛が少ない、回復が速い、傷が目立たないなど、患者へのメリットが非常に大きい手術です。一方で、専用器材やディスポーザブル製品のコストが多くかかってしまったり、複雑な手技であるため習熟した医師でも手術時間が長くなってしまうという課題もあります。現在は、3D内視鏡や、4K内視鏡などが開発されてきています。特に、腹腔鏡手術においては3D内視鏡が重宝され、偏光眼鏡を着用のもと、手術の精度、安全性の向上と時間短縮、ラーニングカーブの向上など大いに成果を上げているようです。さらに、奥行き方向への立体感を強調しすぎると飛び出しが強く目が疲れてしまうので、疲労軽減のため、快適観察範囲に像を生成するよう考えられているそうです。今後は、4Kや8Kなどの高解像度撮像を達成することで、より肉眼に近い感覚を得られるよう、メーカーはお互いの強みを生かしたコラボレーションにより、革新的な医療機器の開発に向けて努力しています。(Written by じゅり
実習では鏡視下手術用の鉗子を操作しましたが、針を通して糸を結ぶということがわかっていても思い通りに動かすのは非常に難しかったです。開腹しない低侵襲という点が一番のメリットと考えていますが、習熟が必要ということを実習を通して学ぶことができました。(Written by KO
Endoscopes could also be used to conduct minimally invasive surgeries. However, endoscopic surgery equipment is very costly and the operations are long and complicated. To facilitate these surgeries, 3D endoscopes have been developed and new endoscopes are capable of providing high-resolution images in the range of 4K and 8K.

 
日本には約30万人の慢性的に血液透析が必要な患者さんがいて、1日に4時間、週3回ほどの透析を続けています。透析治療は、腎臓の働きを助け、老廃物や余分な水を血液から除去し、電解質のバランスを調整するため行います。医療現場のニーズとしては、使いやすいインターフェースと、高齢の患者さん増加に対応し、一人当たりの患者ケア時間の短縮などが求められていました。そこで、ニプロ社での開発は、医療従事者が装置から離れても数値が見られるよう、サイズの大きな高解像度ディスプレイ上で大きな文字を表示するようにしたり、夜間でも患者を不快にしないようディスプレイ操作時に音を鳴らさず、振動と波紋で操作感を与えられる仕組みを取り入れたとのことでした。さらに、多くの患者さんに対応するために、デバイスのプライミング(初期化)をオートかつ短時間で行えるようにもされたそうです。また、夜間に針が外れてしまったり、認知症の患者さんが針を自分で抜いてしまう問題がありましたが、アラートや安全装置を実装することで対応する開発を行ったとのことでした。現状では、透析装置のインターフェースは製造元毎に異なり、災害時など、全く扱ったことのない装置を医療従事者が使用することができないという課題があるので、今後はインターフェースをメーカー間で統一するような試みがなされているそうです。(Written by じゅり
Hemodialysis is a treatment that helps the kidneys to function, remove waste and excess water from the blood, and adjust the electrolyte balance. The usability of the hemodialysis equipment, particularly the user interface, is of utmost importance for both the healthcare providers and the patients. Moreover, in times of disasters, the medical staff is required to use these machines effectively. Therefore, further work is required to improve and hopefully unify the user interface of hemodialysis equipment across the different manufacturers.

切断により四肢の一部を欠損した場合に、元の手足の形態、機能を復元するために装着する人口の手足を義肢(義手、義足)とJISで定義しています。義手には、装飾用、作業用、節電義手など、義足には、日常生活用、作業用、スポーツ用などがあります。現在の日本では、病気、事故、高齢化が切断の背景となっています。また、脳卒中や脊髄損傷などの運動麻痺に対するリハビリのために義肢装具が用いられています。義肢や装具を製作し、利用者への適合を行う義肢装具士は、国家資格で、国内には約5500人程います。義肢装具士の多くは、民間企業で病院に所属しないながらもチーム医療の一端を担っています。したがって、製品はメーカーごとに異なり、機能を追求したもの、デザイン性の高いもの、キャラクターなどを採用したファッション性の高いものなど様々であり、価格も大きく異なります。3Dプリンタの樹脂はまだ柔らかいものが多く、特に義足に用いるのは難しいようですが、安全性が担保できれば、よりオーダーメイドに近い形で製作でき、利用者のQOL向上に大いに役立つため、開発が待たれます。(Written by じゅり
Prosthetic limbs provide people with an opportunity to restore the form and the function of a lost limb. Prosthetic braces, on the other hand, are used for rehabilitation purposes. Prosthetic limbs are usually customized for each person to fit their particular preferences and needs. The usability and usefulness of these limbs remain a challenge to be addressed through future research and development.
 

患者のCTやMRI画像を重ね合わせ、皮膚、骨、血管、臓器、腫瘍などをそれぞれ抽出し、統合して、3Dシミュレーションによる一体のデジタルツインとして、画像を作成する技術について学びました。「デジタルツイン」とは実際の情報(今回の場合は患者さんのCTデータ)を集約して、サイバー空間上に同様の状況を作り出すことで、物理(フィジカル)空間と仮想(サイバー)空間をつなぐ手法で製品や製造プロセスでは既に多用されているとのことです。例えば、脳内に腫瘍が存在するとして、マーキングし、実際にデジタルツインにより仮想空間で開頭し、血管、脳、腫瘍の位置を確認することも可能でした。この技術と、3Dプリンタ(と材料開発)を組み合わせると、実際に手術の練習を行える人形を、将来的には好きなだけ作ることができ、手術の予習や教育に使用できるのではないかと思いました。(Written by じゅり
3D simulation techniques are used to create “digital twins” i.e., virtual models of real physical objects. These techniques are currently used to simulate body organs and allow the medical staff to prepare and practice for surgeries. In the future, these techniques will be used in medical education.
 
 

手術や穿刺の手技を行う際に、ガイドモニタリングのため超音波が使われます。血管内超音波カテーテル(IVUS)は、超音波パルスの反射の強弱コントラストを画像化することにより血管の内側を観察し、より精度の高い手術を行ったり、ステントを埋め込む前後の状態を確かめたりするために用いられています。日本では海外に比べてIVUSの使用頻度が高く、緻密なカテーテル手技が行われていることの証左であると言えます。超音波検査の主な利点としては、送信パワーが低く、人体に影響がないこと、リアルタイムで心機能の評価が可能なことが挙げられますが、一方で、超音波の減衰のため、骨や肺など画像化できない領域が存在すること、また、その減衰や屈折によって虚像が出現することなど注意すべき点もあります。現在は、患者に接触するプローブ(接触子)の構造をマトリックスアレイ型にすることで、3D超音波が検査に使われるようになってきました。特に心臓の容量計測をする際、従来の2D超音波検査ではどの断面を撮像するかによって容量の最大値が異なるという課題がありましたが、3D超音波検査はその優れたソリューションにもなっています。(Written by じゅり
超音波機器の実習では様々な角度から見られるという点や画像の鮮明さ、また3Dで定量できるという点に驚きました。私は実際にモデルとして参加しましたが、痛みは当然ながら無く、皮膚に塗布するゲルについても不快感はありませんでした。最近では胎児の表情、状態なども超音波検査で確認できるようになっているということで、更なる普及が期待されます。(Written by KO
The intravascular ultrasound catheter (IVUS) is a tool that allows us to see the inside of blood vessels, perform more accurate surgery, and confirm the state before and after implanting stents. Speaking of superficial echocardiography, the images can be currently be seen in 3D and therefore we can more accurately estimate volumes.
 

実習終了後は、東京会場、福岡会場、大阪会場の皆様、そしてMDD2016、MDD2017、MDD2018の受講生、講師の先生にもご出席いただき「MDD2019 イブニングネットワーキング」が開催されました。当センター特任教授でコースアドバイザーでもある妙中義之先生の乾杯の音頭に始まり、ほどなくして先日行ったリスクマネージメント実習(市販前編・市販後編)と知財実習の表彰が行われました。リスクマネージメント実習にて講師を務められた弁護士の吉田先生からは、今年も「弁護士要らずでコストカットで賞」が、そして、PMDAの松井先生、岩元先生選考による「審査員になれるで賞」が谷岡先生から贈られました。リスクマネージメント大賞は僭越ながら私岡山からお渡しさせていただきました。知財実習では、弁理士の長谷川先生選考による知財マネージメント賞、そして同じく弁理士の中道先生選考による知財マネージメント賞が贈られました。なんと5つの賞をすべて東京チームが総どりという展開になりました。大阪チーム、福岡チームの皆様、残り2回のグループワーキングでは、ぜひ力を合わせて賞をゲットしてください。
After learning and trying the large medical equipment, we attended the “MDD2019 Evening Networking” where MDD2019, MDD2018, MDD2017, and MDD2016 participants from Tokyo, Fukuoka, and Osaka got the chance to meet and discuss. During the networking event, five awards were granted for the best team proposals that came out from the teamwork that took place in the previous lectures. Surprisingly the five awards went for teams from Tokyo. The reasons for this coincidence remain to be understood. We are looking forward the victory of Osaka and Fukuoka teams in the next module.

 
 
お忙しい中、ご参加いただきました皆様、どうもありがとうございました。

本日で、Module 3 『医療機器開発のための機器実習』が終了になります。
大阪会場までお越しいただきました東京会場、福岡会場の受講生の皆様、本当にお疲れ様でした。一緒に学ぶことができとても楽しかったです。
来週からはそれぞれの会場に戻り、医療機器開発での実体験、課題、それをいかに克服するかについて、実際に医療機器開発をManageされてきた講師の先生から教えていただきます。
With this, Module 3 fo the MDD course is finished. Thank you all for the great experience and for joining us at the Osaka venue!
Next week, we start our last module where we will learn about the management of medical device development through the real-life experience of experts who engaged in such activities.
Looking forward to seeing you next week!

この前始まったばかりのような気もいたしますが、今年も残すところModule4のみとなりました。
皆様、季節の変わり目ですので、体調を崩さないようご自愛ください。

 
2019.9.7
MDD Diary 2019
Writers : じゅり-技術×芸術×起業が人生テーマの30代研究者兼起業家(の卵),ai -分析化学、代謝物の解析に従事する背が高めの大学院生, Samar-a researcher in Osaka, a student in Kyoto, and an alien in Japan
ChiCo編集長外遊中につき、MDDチームにて編集
MDD brain: KEI2