MDD2025卒業生 K・I さん(大学院医学系研究科)
2026-02-26

K・I さん
(K・Iさんのコメント)
私は、医学系研究科医科学専攻に所属しています。日々研究に取り組む中で、医療機器がどのようなプロセスを経て社会に実装されるのか、その全体像を理解し、自身の研究をより広い視野で捉え直したいと考え、本コースを受講しました。
モジュール1の臨床医学編では、第一線で活躍される先生方から現場の課題や未充足のニーズを直接伺う機会を得ました。そこで強く印象に残ったのは、医療機器開発の出発点は技術的独創性ではなく、臨床現場の具体的な「困りごと」にあるという事実です。この時、研究者としてだけではなく、医療従事者や患者の視点から課題を捉え直す必要性を痛感しました。 続くマネジメント編および機器実習・実践編では、薬機法やQMS、リスクマネジメント、さらには保険収載戦略や価格設定の考え方まで学びました。特に保険戦略の議論を通じて、技術の優位性だけでは社会実装は実現せず、エビデンスと制度理解に基づく戦略が不可欠であることを実感しました。医療機器開発は、技術だけでなく制度や倫理を含む多面的な営みであるという認識は、大きな転換点となりました。
また、グループワークでは、医療関連企業に勤務されている方々や他研究科の学生の方々と議論を重ねる中で、普段の研究環境では得られない多様な視点に触れることができました。立場や経験の違いから生まれる考え方や優先順位の差に気づくことで、新たな論点が見えてきました。断片的だった知識が結びつき、議論を通して事業構想へと具体化していく過程は、本コースならではの大きな価値であったと感じています。
さらに、本プログラムを通じて医療機器開発の全体像を俯瞰できたことは、将来の進路を考える上でも極めて有意義でした。研究を深化させるのか、制度や社会実装に関わる立場を志向するのか。MDDでの学びは、「何を自らの生業とするのか」という問いに対し、より具体的に思考する視座を与えてくれました。 MDDコースは、知識の獲得にとどまらず、自身の専門性と将来像を再構築する契機を与えてくれる場でした。本コースで培った視点と人的ネットワークを礎に、医療の質向上に資する研究と社会実装を接続できる人材へと成長してまいりたいと存じます。 ご指導を賜りました先生方、運営に尽力くださった皆様、そして共に学び合った受講生の皆様に深く感謝申し上げます。