【MDD Diary 2021】#2 (2021/06/05)
2021-06-5
本日はModule1 〜医療機器開発のための臨床医学〜第2日目~でした。
講義前半は、安全な分娩を目指し、広く実施されている胎児モニタリングについてご紹介いただきました。以前はトラウベという器具を妊婦の腹部に当てて胎児心拍を聴取していたということでしたが、現在では胎児心拍数と子宮収縮を同時にモニターできる分娩監視装置が広く使われており、胎児心電図のSTレベル変化で低酸素を予測する新しい胎児モニタリングシステムもあるそうです。また、阪大ではシート型ワイヤレス子宮筋電センサを開発中とのことでした。講義後半では、世界の周産期医療における現状と課題について、妊産婦死亡や子宮頸がんの罹患率の視点で解説していただきました。子宮頸がん検診における医療格差をなくす取り組みとして、汎用性の高いスマートフォンを用いた子宮頸がん・前がん病変の検出技術の開発もすすめられているという興味深いお話も聞かせていただきました。
循環器領域における医療機器について、「可視化」と「低侵襲」をキーワードにしてご説明いただきました。心エコーの2Dから3Dへの進歩、心臓CTによる冠動脈描出、血管内視鏡による血管内皮の観察など、具体例をご提示いただきながら、「可視化」技術が非常に進歩していることを教えていただきました。また、「低侵襲」という視点では、弁膜症に対するカテーテル治療、すなわちTAVI:Transcatheter Aortic Valve Implantation=経カテーテル的大動脈弁置換術、Mitra Clip(経皮的僧帽弁接合不全修復術)をご紹介いただきました。講義後半では、致死性不整脈の予防として有効とされる植え込み型除細動器(ICD)についてご紹介いただきました。ICD留置による合併症に対して、リード線と血管壁との癒着を剥離するレーザーシースの開発や、心臓にリードを留置する必要がない完全な皮下植え込み型のS-ICDシステムなどの開発がすすめられていることを教えていただきました。
心拍動下で行われる冠動脈パイパス手術、MICS(Minimally Invasive Cardiac Surgery)と呼ばれる小開胸で行われる低侵襲心臓手術、大動脈弁狭窄症に対するTAVIや大動脈瘤に対するステントグラフト治療など、心臓外科手術における低侵襲化の実際について、動画を見ながら手術場面で用いる器具についての説明も交えて、非常にわかりやすく教えていただきました。従来型の開心による弁置換術では、機械弁と生体弁があり、それぞれのメリットデメリットについても学びました。また講義後半には、重症心不全患者に対する補助人工心臓を用いた治療や、細胞シートを用いた心筋再生治療といった大学病院で行われている最先端の治療に関する貴重なお話を聞かせていただきました。
6月19日は消化器内科学、消化器外科学、精神医学、器官制御外科学(整形外科)について学びます。
2021.6.5
メディカルデバイスデザインコース2021運営チーム