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MDD Diary 2018 #10 (2018/08/18)

2018-08-18

【メディカルデバイスデザインコース2018】
みなさま、お盆休みはいかがお過ごしでしたか?
今朝見上げた空は、一気に秋になっていました。
講義前、福島天満宮の中でしばしパワーチャージ。
 
風もさわやかでした~
 
 

さて、本日はModule3『医療機器開発のための機器実習』の第2日目が大阪会場と東京会場にて開催されました。

 
午前中は、医薬品医療機器総合機構(PMDA) 岩元真先生、吉田・西枝法律事務所 吉田昌功先生、京セラ株式会社 谷岡寛子先生の3名の先生にお越しいただき、「医療機器開発のためのリスクマネージメント実習 医療機器編(市販前・市販後)」が行われました。
午後からは、特許業務法人 前田特許事務所 弁理士の長谷川雅典先生による「医療機器開発のための知財実習」が行われました。
 

 

午前の実習に先立ち、先生方から医療機器開発における市販前・市販後のリスクマネジメントに関するミニレクチャーがありました。
 
岩元先生からは『審査から見たリスクマネジメント』と題してご講義いただき、適切なリスクマネジメントを行うためには、対象となる『もの』について明確にすることが重要であると教えていただきました。また、医療機器は製品の評価方法がものによって千差万別であることや、医療現場でどのように使用されるかということも見越した評価が必要であるといった特性を有しているため、医療機器開発に当たっては個別のリスクアセスメントが必要であるということも学びました。
 
吉田先生には、『医療機器開発とPL法』と題して、損害賠償と製造物責任法について弁護士のお立場からご講義いただきました。医療機器における特殊性として、医療機器と患者さんという直接の関係ではなく、間に医療行為が介在しているケースが多いため、患者さん自身には製品選択権がない場合が多いこと、さらに損害が医療行為によるものなのか製品の欠陥によるものなのかが判然としない場合があることをご説明いただきました。今後は、在宅医療が拡がることにより、現在のB to Bの立ち位置からB to Cの立ち位置になる機器が増えると、こういった状況も変化してくるのかもしれません。
 
コーディネーター役の谷岡先生には、『金箔のようなコーティングが施された黒鉛筆』と身近な例をあげて解説していただき大変よくわかりました。
 
ミニレクチャーのあと、整形外科領域の医療機器を題材に「医療機器開発のためのリスクマネージメント実習 医療機器編(市販前・市販後)」が実施されました。
 

 
モジュール2で学んだ開発製品に起こりうるリスクの洗い出し、リスク分析表を用いた『ハザードーリスク推定ー低減方法』の明確化など、たくさんの復習事項がでてきましたね。60分のグループワークで市販前、市販後の2つのシナリオを考えるという超過密スケジュールでしたが、すばらしいチームワークでどんどん話し合いが進み、中には『5分経ちました〜』とメンバー同士が声をかけ合うといった具合に、タイムマネジメントも完璧なチームもありました。初対面だったメンバーも多く、年代・業種等もさまざまだったと思いますが、活発に意見交換され、最終プレゼンの内容も秀逸で、講師の先生方のご講評もどんどん専門的な内容になっていったのがとても印象的でした。
 
 

 
午後からは、特許・商標に関する講義と実習が行われました。事前に長谷川先生より課題がありました。特許や商標についてマニュアルをみながら考えてくるというものでしたが、皆様、いかがでしたでしょうか?講義の中では、それらの回答を示しつつ、実際にJ-PlatPatの画面を操作しながら解説いただきました。
実習は2種行われ、まずは各グループごとにステントの技術に関する特許を例に、『技術分野』『目的・課題・効果』『技術的特徴』の3つの視点から発明の把握とキーワード抽出を行いました。グループワークの発表を元に、キーワードをどこまで細かく単語に分けるべきか、どのような単語を組み合わせるか等について、長谷川先生からご指導いただきました。その後、抽出したキーワードを用いて、J-PlatPatによる検索を行いヒット件数を絞っていきました。検索を何度も繰り返すうちに、ステントだけでなく周辺領域の知識もかなり必要とされる作業だと感じました。各グループの作成した検索式をみながら、一つ一つよい点や改善点、検索のコツなどを教えていただき大変勉強になりました。各実習に対する模範回答も配布いただけたので、復習もはかどりそうです。
講義後の質疑応答では、特許調査を行うことで、医療機器開発における社会の動きや傾向を知ることができ、新たな開発の方向性を探っていくことができるのではないかといった話もありました。
 
皆様、今日は大変お疲れ様でした。夏休みの中の宿題提出日だと思っていましたが、昨年よりもさらに中身が詰まっていて2週分の内容だった気がいたしします。
でも、グループワークでの皆様の集中力と楽しそうな笑顔をみていると、みんなで一緒に新しい医療機器を作ってみたいな、と思ってしまいました。
 

 
来週はお休みになります。次回は9月1日(土)大阪会場と東京会場にて機器実習が行われます。
ペースメーカー、血糖値センサー、心電計、ポリソムノグラフィ、腹膜透析(PD)機器等について、メーカーの方から直接レクチャーを受け、実際に機器に触れていただきます。写真や動画ではわからない医療機器の質感や重量感、そして操作方法などをぜひ肌で感じてみてください!

 

 
2018.8.18
MDDコース2期生 チコ(ChiCo)