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MDD Diary 2018 #3(2018/06/16)

2018-06-16

【メディカルデバイスデザインコース2018】
 3週目になりました。今週は寒暖差の大きな1週間でしたが、みなさま体調はいかがでしょうか?
 
 『医療機器開発のための臨床医学』第3日目は、消化器内科学の林義人先生、産科学婦人科学の木村正先生、救急医学の竹川良介先生、消化器外科学の高橋剛先生にご講義いただきました。

 
 林先生には、胃癌、食道癌、大腸癌に対する内視鏡治療についての基礎から、先生ご自身の研究データをもとにした非常にアカデミックな内容まで幅広くご講義いただきました。講義の後半には、新しい機器についてご紹介いただきました。癌細胞が低酸素状態であることに着目して細胞の酸素飽和度を測定できるデバイスや、細胞の核まで観察できる超拡大内視鏡など大変興味深いものでした。
講義後の質疑応答では、内視鏡医には外科医の左手に相当するものがなく、切除の際に粘膜にテンションをかけることが難しいといった具体的な手技上の課題も交えてお答えいただきました。
 先生が日頃使用されているスメア(EMRで用いる、先端から輪が出るデバイス)、局注針(EMR・ESDで用いる、先端が針になっているデバイス)、フラッシュナイフ(ESDで用いる、先端がボールチップになっているデバイス)について現物を用いてご説明をいただきました。思っていたよりずっと軽くて驚きました。(東京、福岡会場には、来週ご用意させていただきます。)
※ EMR=内視鏡的粘膜切除術  ESD=内視鏡的粘膜下層剥離術

 
 木村正先生には「わかったようでわかっていない胎児の生理学的指標」と題して、胎児心拍モニタリングの変遷と近年の新しい方法についてご講義いただきました。また、講義の後半には、「超音波診断をたった一度受けることができれば救えたかもしれない命が、海外にはまだまだ存在する」という例をあげて、海外における医療資源の偏在についても教えていただきました。さまざま国の医療環境をみてこられた木村先生のお言葉は大変重く、「より便利に、より高度に」と医療の進歩を追求するだけではなく、幅広い視野を持って物事を考える重要性を再認識することができました。
 
 竹川先生には、救急医の立場から救命救急の現場について、まるでドラマのワンシーンのような動画を交えてご講義いただきました。多くのメディアで取り上げられ、現在では認知度が上がってきているトリアージやクラッシュ症候群が、阪神淡路大震災を契機に普及したことなど、災害医療の歴史についても事例をもとに大変わかりやすくご説明いただきました。また、ドクターヘリやドクターカーの内部は非常に高温(もしくは低温)多湿、かつ狭小であるため、救急現場の医療機器は、過酷な環境に耐えられ、かつ持ち運びしやすいものが求められているということでした。
 
 高橋先生には、消化器外科領域における内視鏡外科手術の現状と今後の方向性についてご講義いただきました。内視鏡を用いた外科的手術を行う際、術者には触覚があるが非常に弱く、臓器を把持するときには大変慎重な操作が求められているということをはじめて知りました。ダ・ヴィンチによるロボット手術は多関節であるため体の奥深い部分で非常に有用であるが、一方で触覚が感じられないとのことでした。いろいろな技術革新を経て、4K・8Kによる高精細な映像や3Dによる立体視が可能となった現在、次はどのようなアプローチで触覚に関する課題が解決されていくのかとても楽しみです。
 講義冒頭、『日本一卓球の上手な医師』と自己紹介された高橋先生。卓球をされているお姿、いつか見せてください!
 
 来週は泌尿器科学、循環器内科学、脳神経外科学の講義になります。
 また、大阪会場ではお昼のお時間をいただきましてMDDランチョンネットワーキングを予定しております。
 いろいろな方々とお会いできるのを楽しみにしております。(東京会場では6月30日に開催予定です)
 
梅雨時期のはずですが、今日も大阪は快晴。

 
今日の帰り道、

 
田蓑橋からの夜景。

 
強風でしたが、堂島川沿いにフェスティバルタワーの方へ続くブルーの光がとてもきれいでした。
 
来週もどうぞよろしくお願いいたします。
 
2018.6.16
MDDコース2期生 チコ(ChiCo)