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MDD Diary 2018 #5 (2018/06/30)

2018-06-30

【メディカルデバイスデザインコース2018】
今週は東京会場に参加させていただきました。
東京は梅雨が早々に明けたようで、きれいな夏空が広がっていました。
土曜日の早朝、日本橋三越前です。

 
『医療機器開発のマネージメント』第1日目は、サムエルプランニング株式会社 宮坂強先生、エバマーケティング合同会社 津嶋誠先生、医療機器センター附属医療機器産業研究所 石黒克典先生にご講義いただきました。

 
宮坂強先生には2コマにわたり「医療機器開発におけるマーケティングと出口戦略」「医療機器開発における組織マネージメント」と題してご講義いただきました。医療機器開発に成功した企業から学べるポイントとして、自社の研究開発力だけに頼らずオープンソーシング、オープンイノベーションを取り入れネットワーク構築をはかることや、客観的情報に基づいて市場性や需要を判断すること等をあげていただきました。また、大手機器メーカーの中にはX線透視設備を有するトレーニング施設や血管モデルなどが常備され、医療機器の安全使用のための研修が行なわれていることを教えていただきました。研修やトレーニングは大学や病院が中心となって行っていると思っていたので、医療機器開発企業も行っていることを知り少し驚きました。しかし、医療が高度化する中で、患者さんに安全な医療を提供するためにはとてもよい取組みだと思いました。トレーニング機器の例として、本メディカルデバイスデザインコースの運営をされている岡山先生が中心となって開発された、HEARTROID(心臓カテーテルに携わる医師向けのトレーニングシステム)もご紹介いただきました。
 
津嶋誠先生には、「医療機器開発におけるビジネス分析」と題して、前半はビジネス分析手法について幅広くご講義いただき、後半は実際に行われているさまざまなビジネスの例をあげて、それぞれの手法の具体的な活用事例をご紹介いただきました。SWOT分析はよく知られますが、顧客の購買までのメンタルなプロセスを分析するAIDMA分析や顧客の生涯価値を分析するLTV分析など、分析の視点が特徴的なものが多くあり、マーケティングのおもしろさや奥深さに触れることができました。
 
石黒克典先生には、「医療機器における承認・認証制度」と題して、医療機器を『法的に仕上げる』ためのプロセスについてご講義いただきました。医療機器開発企業の立場で考えると、多くの準備が必要とされ負担の大きなプロセスだと思われましたが、患者さんや医療者の立場で考えると、有効性や安全性をきちんと評価して医療機器が作られていることに大きな安心感を抱くことができるシステムだと思いました。メーカーで実務をされていたご経験から、部材調達時の調達元との情報のやりとりなど、実務的な質問についてもご説明いただきました。

 
東京会場ではランチョンネットワーキングが開催され、当日講師を務められた宮坂先生、津嶋先生、石黒先生、さらにモジュール最終講義をご担当いただく谷岡先生をはじめ、多くの受講生の方々、コース同窓生の方々にご参加いただきました。どうもありがとうございました。皆様方のネットワーク構築のきっかけになれば幸いです。

 
7月7日は、リスクマネジメントとISO 14971、医用電気機器とIEC 60601-1、EMC(電磁両立性)の実際、ユーザビリティエンジニアリングとIEC 62366-1について学びます。
 
来週もどうぞよろしくお願いいたします。
 
2018.6.30
MDDコース2期生 チコ(ChiCo)