MDD Diary 2019 #1 (2019/06/01) MDD2019がはじまりました!

2019-06-1

本日よりMDD2019がはじまりました!

 
今年は5人の個性豊かなプチライターが各講義についての紹介と感想を書かせていただきます。5人の専門分野は工学、医学、看護とさまざまで、世代も異なります。いろんな側面から学ぶ楽しさを感じながら、お読みいただければ幸いです。
 


1限目は大阪大学大学院医学系研究科より田中稔久先生をお招きして、精神医学の臨床現場と医療機器というテーマでご講義いただきました。
精神疾患の診断について、主に問診が採用されており、現在は画像診断の検討、導入がなされているがまだ改善の余地があるというお話でした。その中でバイオマーカーのトレンドについてご紹介いただきました。バイオマーカーとは生体内の物質で病気の変化や治療に相関し、その指標となるものを言います。講演では、アルツハイマー型認知症診断のためのバイオマーカーとして、アミロイドが紹介されていました。検出には質量分析計を用いており、装置が大きく高価であることから現場で使用することは難しいが研究過程では非常に有用であるというお話でした。
私は現在まさにこの質量分析計を用いてDLアミノ酸の分析を行っていますが、Dセリンは本講義でも診断が難しいとされていた統合失調症のバイオマーカーとしての可能性が示唆されています。本分野のさらなる発展が期待されます。(written by ai)

 
2限目は大阪大学大学院医学系研究科より新谷康先生をお招きして、『呼吸器外科診療の実際』と題してご講義いただきました。
呼吸器外科で主に扱われる肺がんのお話でした。肺がんは、日本における部位別がん死亡率で1位であり、非常に重要ながんです。治療法として、①外科手術、②放射線治療、③化学療法(分子標的薬)、④がん免疫療法の4つが紹介されました。興味深かったのは、先進医療に関わる医師の立場で各治療法の課題を説明してくださった点です。例えば、外科手術では手術ロボットが利用されているとのことですが、ものをつかんでいる質感のフィードバックがないのがやりにくいとのことでした。また、内視鏡検査では、レントゲン(X線透視)を見ながら行うそうですが、レントゲンでは小さいがんを見逃してしまうのが課題であるということでした。臨床現場にいる医師から実際の課題を聞くことはより良い医療機器開発には不可欠であり、貴重な経験になりました。(written by KO)

 
3限目は大阪大学大学院医学系研究科より宮下和幸先生をお招きして、『糖尿病の治療〜治療の現状と根治に向けた取り組み〜』と題してご講義いただきました。
今回は全世界で増加している非常に重要な疾患、糖尿病について、症状、発症原理、合併症、治療方法を、分子細胞生物学の基礎から丁寧に説明して頂きました。また、医療機器に関わる領域として、特に血糖値のモニタリングとインスリン注射の量とタイミングについて詳しく説明して頂きました。
非常に興味深かったのは、血糖値変化に応じてインスリン量を調整できる医療機器であるインスリンポンプ(closed-loop pump)の課題です。血糖値のモニタリングは、細胞間質液を用いるので、血液の状態とは5分の時間的遅れがあり、インスリン注射は、皮下注射をするので、血流に乗るまでに30分の時間遅れがあるため、「5分前の状態を用いて30分後の状態を制御する」という問題が発生するそうです。現在これを解決するためのアルゴリズムが検討されているとのことですが、これは、医学上の問題を工学的アプローチ(制御工学・数理科学)によって解決できる好例であり、非常に興味深いなと思いました。(written by KO)

 
4限目は大阪大学大学院医学系研究科より水野 裕一先生をお招きして、『放射線治療で求められる医療機器』と題してご講義いただきました。がんの治療法として広く使われており、医療機器が主要な役割を果たす放射線治療について、基礎から詳しく内容を説明して頂きました。具体的には、放射線治療のメリット、治療の流れ、関わる職種、各装置・技術の原理を説明して頂きました。
講義でも強調されており、特に興味深かったのが、放射線治療に関わる医療機器(照射装置など)の品質管理の重要性です。放射線治療は様々な機器を使用するうえ、各機器に誤差が発生するため、ユーザーは機器の品質管理を行わなければなりません。放射線治療の世界では、精度を確認する各種計測機器の導入、シミュレーションや計測機器を運用する医学物理士の育成を通じて品質管理を行っているとのことでした。今後は放射線治療以外でも医療機器の導入がどんどん進むと考えられますが、放射線治療の領域が培ってきたこの品質管理と人材育成の知見は他の分野にも大いに参考になるのではないかと思います。(written by KO)

   

 

 
来週は産科婦人科、循環器科、麻酔集中治療領域、泌尿器科における医学的知識と医療機器について学びます。
それではこれからどうぞよろしくお願いいたします。
 
2019.06.01
MDD2019 Diary 編集担当 ChiCo
 

 
 
 
4年目を迎えたMDD2019は、新講師をお招きしたり、グループワークを増やしたりと、みなさまの学びが深まるように積極的に取り組んでまいります。
これから10月までの限られた期間ではありますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 
何かお気づきの点やご要望等ございましたら、お気軽に事務局までお声かけください。
 
2019.06.01
MDD2019 事務局スタッフ一同