【MDD Diary 2020】#6 (2020/07/11)「医療機器開発のマネジメント2」

2020-07-13

本日はModule2「医療機器開発のマネジメント」の2日目でした!


1限目は朝日インテック株式会社より西内誠先生をお招きして、「医療機器開発のプロジェクトマネージメント ~ニーズ探索・コンセプトデザイン・開発インプット~」と題してご講義いただきました。
”医療機器は医療現場で生まれる”といわれているそうで、医療機器開発では現場のニーズを的確に把握することがなにより重要とのことでした。しかし現場のニーズ、つまり医師の先生や看護師さんの声には幅や曖昧さが含まれた、感性とも言える表現が多いので、それを評価・検証可能な工学的な言葉に変換することが必要になるそうです。そのためには、マーケティングや営業担当者だけでなく、“エンジニア自身”が臨床に関する知識をつけ医療者と密接なコミュニケーションをとることが重要であると話されていたのが印象的でした。またご講義の冒頭で、適切な価格で市場に継続的かつ安定的に供給するために、「開発者はコストに対する意識をもつ必要がある」とも話されており、優れた医療機器を生み出すためには、工学という専門分野だけにとらわれずに、幅広い知識や高いコミュニケーション能力が必要であるということを学ぶことができました。(Written by ai)

 


2限目は医療機器安全研究所より萩原敏彦先生をお招きして、「リスクマネジメントとISO14971」と題してご講義いただきました。
リスクマネジメントを実施する必要性、ISO14971の医療機器への適用の考え方について、身近な実例を数多くあげていただき、とてもわかりやすく教えていただきました。先生のお話の中で特に印象深かったのは「完全に安全といえる機器は存在しないという考え方を持つべきだ」というお言葉です。勿論、リスクマネジメントは絶対に怠ってはならないものですが、どれだけやっても市販前にリスクを完全に排除することはできないということを、開発・製造に携わる者は忘れてはいけないのだと思います。そのため市販後においても、該当機器・類似機器についての情報を継続して収集し、必要に応じて迅速にフィードバックし、レビューする体系を確立する必要があると教えていただきました。医療機器のリスクマネジメントは、人の命に直結するものであることを忘れずに、一つ一つの情報に丁寧に、そして真摯に向き合っていくことが必要だと思いました。(Written by ai)

 


3限目は株式会社UL Japanより吉田賢先生をお招きして、「ユーザビリティエンジニアリングとIEC 62366-1」と題してご講義いただきました。
ユーザビリティエンジニアリング(UE)というのは適切なユーザビリティを達成するための、医療機器(ソフトウェアを含む)、医療機器のシステム及びタスクの設計における人の振る舞い、能力、限界及び他の特性に関わる知識の適用と定義されており、FDAガイダンスでの定義であるヒューマンファクタエンジニアリング(HFE)も同様と考えることができるそうです。ご講義の中では、コンビニのコーヒーマシンや公衆トイレ等の身近な例から医療機器の専門的な内容まで、大変わかりやすくご説明いただきました。ユーザビリティを考えるとき、機器の特性や機能だけにとどまらず、全体像をとらえることが重要であるとのことでした。たとえば、手術支援ロボットなどチームでの使用が前提となる場合は、チームの力関係やコミュニケーションなどがユーザビリティに影響を及ぼすことも考慮して、チームでのユーザビリティ試験を実施するそうです。どれだけ画期的で優れた医療機器であっても、ユーザによる誤使用が多発すれば、その機器の有用性は失われるどころか、事故のリスクが高まることにもなりかねません。したがって、医療機器のUEは非常に重要であると感じました。現状、日本ではUEについては必須事項ではないそうですが、本日のご講義でUEの考え方や世界におけるUEの動向について学ぶことができ大変勉強になりました。(Written by ur)

 


4限目は一般財団法人 日本品質保証機構(JQA)より芝田侯生先生をお招きして、「医療機器における電気安全とEMC(電磁両立性)の実際」と題してご講義いただきました。
火災や感電などを予防するため、生活の中における電気・電子製品でも電気的安全性は重要ですが、医療機器に対する安全性は、患者、操作者や周辺の環境などを考慮する必要があるため、一般的なものに対する要求事項とは異なるとのことでした。医療機器をとりまくハザードには、病院内の無線通信機器からの干渉に加え、停電や落雷、内部機器同士の干渉などいろいろな要素があることも教えていただきました。これらのハザードから機器を防御できなければ、誤作動して、患者さんの命が危険にさらされる可能性も出てきます。3限のUEに関するご講義でも感じましたが、医療機器の開発には幅広い知識が必要なのだと思いました。またご講義の中では電界測定、雑音電子測定、電源高調波測定、静電気試験などについてもご紹介いただき、大変多くのことを学ばせていただきました。ご講義を聞きながら、ふと自分の実験環境についても考えてみました。私の研究では、医療機器として扱われることもある質量分析計をよく使用します。これは高電圧下で対象化合物のイオンの質量電荷比に基づいて分離するもので精密な分析を求められます。もしかしたら電気的・磁気的作用を利用するこれらの装置も電磁環境による影響を受けている可能性を考慮する必要があるのではないかと考えました。(Written by ur)

 

 

 

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2020.7.11

MDD Diary 2020

 

Writers:

ai -分析化学、代謝物の解析に従事する背が高めの大学院生,

ur – バイオマーカーを探して毛髪分析に没頭する大学院生

 

Editors:

ChiCo & MDD brain KEI2