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【MDD Diary 2023】#2 (2023/6/3)

2023-06-7

本日はModule1 〜医療機器開発のための臨床医学〜2日目でした。

1限目 消化器内視鏡機器の役割と今後の展開
林 義人 先生
大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)と称される技術は、日本生まれで世界中に普及している手術法です。実際の手術過程の映像を交えて解説いただきました。食道癌、胃癌、大腸癌に関連する疾患についても、内視鏡の役割という観点からを深く理解することができました。また、Red Dichromatic Imaging(RDI)など、異なる波長の光を活用し血管を明瞭に視認できる技術が実際の医療現場で使われていることがわかりました。超音波内視鏡によるがん進達度の確認や、AIを利用した内視鏡など、技術の進歩は年々目覚ましいです。

診断能力の更なる向上と、患者への負担を軽減しつつ効率的な検査・治療が実現可能になるような技術進化が期待されています。

2限目 人工関節の臨床現場と医療機器
濱田 英敏 先生
大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学

(運動器医工学治療学講座、整形外科)

関節の構造や病態、特に人工関節による治療法について詳しく説明いただきました。人工股関節の製造では、股関節の根本にあたるカップ、その支持体であるステム、骨頭という要素に対して、耐久性、靭性、耐腐食性、加工性などを考慮しながら作り出すことが求められます。技術の進歩に伴い、インプラントの生存率が各段に向上し、長期間の使用が可能となることが実証されています。また、3Dプリンタを活用した表面処理も、その高い耐久性から近年注目を集めています。

ロボットによる手術支援では、リスクを最小限に抑えるため、自動制御技術を利用して危険な部位への進入を防ぐ等、術者のサポートを行います。スマートフォンを用いた簡易マーカーやその他のテクノロジーを駆使して、より安全性を確保する手段が開発されつつあることも学ぶことができました。

3限目 消化器外科の臨床現場と医療機器
高橋 秀和 先生
大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学

ロボットや映像技術の発展が消化器外科治療の進歩に大きく貢献していることについて説明していただきました。開腹手術から低侵襲性・早期回復が特徴である腹腔鏡手術、そして、現在の潮流とも言えるロボット支援手術までの変遷を学ぶことができました。実際の手術時の血管処理に用いる超音波凝固切開装置の歴史と進化、消化管吻合の原理や器械吻合法等について、実際の手術動画を用いてわかりやすくご教示いただきました。講義後半ではICG(Indocyanine Green)やALA(5-アミノレブリン酸)といった試薬、赤外観察カメラシステムを用いた蛍光イメージングを手術に応用し、病変の同定を助けるナビゲーションサージェリーについて解説していただきました。内視鏡外科の歴史は医療機器開発の歴史そのものであるとのことで、医療機器開発の重要性がわかりました。

4限目 脳神経外科領域の臨床と医療機器
押野 悟 先生
大阪大学大学院医学系研究科脳神経外科学

脳神経外科における血管内治療と機能神経外科治療で用いられるデバイスについて、ユーザー視点から実例と共にご紹介いただきました。脳血管障害に対し、血管の中からアプローチする血管内治療は年々増加しています。動脈瘤の塞栓に用いるコイルや脳梗塞の血栓回収デバイス、巨大な脳動脈瘤を切らずに治すフローダイバーターシステムなど多くの医療機器が開発され日々活用されています。脳神経外科手術の術者として日常的に感じる手術室の環境についてさまざまな角度からお話いただき、解決しなければならない課題やニーズが溢れていると感じることができました。環境を改善することで、術者のパフォーマンスを向上させ、患者さんの治療成績を向上させることが医療機器開発の目的であることを再認識しました。

来週は「呼吸器外科診療の実際」、「循環器内科学の現状と課題~循環器医療と医療機器~」、「循環器疾患外科治療~心臓血管外科手術と医療機器~」、「糖尿病治療と医療機器~最新の栄養疫学エビデンスとその臨床応用」について学びます。

メディカルデバイスデザインコース2023運営チーム