【MDD Diary 2020】#1 (2020/05/30)「医療機器開発のための臨床医学1」

2020-06-2

MDD2020が本日はじまりました!

Module 1は『医療機器開発のための臨床医学』です。今日から90分×16回、24時間かけて大阪大学医学部附属病院の16の診療科の医師から、最新の医学知識、そして臨床現場で使用されている医療機器について学びます。

 

1限目は大阪大学大学院医学系研究科呼吸器外科学より新谷康先生をお招きして、『呼吸器外科診療の実際』と題してご講義いただきました。

 日本における部位別がん死亡率が第1位である肺がんから肺移植までにわたりご講義いただきました。

 肺がんは自覚症状が出るまでに時間を要するため、早期発見が困難な疾患であることから、胸部レントゲンやCT、気管支鏡検査による診断技術の進歩や、FDG-PETによる全身へのがん細胞転移の可視化が重要であるとご説明いただきました。中でもFDG-PETはがん細胞がブドウ糖を多く代謝することを利用している手法で、多くの診断で用いられているとのことでした。特に印象に残った内容の一つがda Vinci Surgical Systemを用いたロボット支援下肺がん手術についてです。この手術は傷の大きさが数cmで患者さんへの負担が小さいと同時に、体の中に入った感覚で術野を大きな画面で見ながら手術ができるため、外科医への負担も小さいとのことでした。実際に、この手術では心拍数の上昇が従来に比べて少なかったという報告もあるそうです。工学の技術により、医療機器が進化していくというのは工学系の学生としては大変興味深いお話でした。(Written by ur

複雑な術式でも「予習」ができるようになったということを聞き、とても興味深かったです。手術症例の術前画像を画像ソフトに入力するとイメージ画像が出来上がり、術前でも容易に状況を把握でき、手術本番を迎える前にシミュレーションができるようです。これまでは医療機器といえば治療するもの、というイメージが強かったのですが、治療機器以外の医療機器の発展もまた治療能力の向上に貢献しているとわかりました。第一線で活躍されている医師から現状と課題を聞くことができ、大変有意義な時間になりました(Written by ToShi)。

 

2限目は大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学より坂田泰史先生をお招きして,「循環器医療最前線 治療」というテーマでご講義をいただきました。

 2030年には日本の100人に1人が罹患するという予想がなされている「心不全」について、医療機器開発という観点を踏まえてお話しいただきました。坂田先生は医療機器開発のキーワードとして”可視化”と”低侵襲”を挙げておられました。その中で特に印象に残ったお話は、心筋梗塞治療法確立の歴史です。冠動脈の塞がりを”可視化”する冠動脈造影、”低侵襲”に治すカテーテル治療・ステントがどのように開発されてきたかについてお話しいただきました。近年登場した生体吸収性ステントは、血管を内側から支えるステントとしての役割を果たした後、体内で分解され消えるというまさに” 低侵襲”なデザインで、画期的であると感じました。現在はさらなる改良のため使用することができないとのことでしたが、医療の未来が見える気がしました。今回お話しいただいた「心不全」以外の疾患であっても、”可視化”と”低侵襲”は有用な医療機器を開発する上でこれからも大切なキーワードになるのではないかと感じました。(Written by ai

 

3限目は大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科学より戸田宏一先生をお招きして、「医療機器開発のための臨床医学:心臓血管外科の現場から」というテーマでご講義いただきました。

 心臓血管外科領域における治療として、冠動脈疾患、弁膜症、心筋症、大動脈疾患に対する手術とそこで使用する医療機器についてお話しいただきました。手術を行うにあたり視界ができるだけ邪魔されないよう先端だけが開くハサミや、心臓弁の腱索の修復に用いる人工腱索、3次元で見るための3Dカメラ、手術支援ロボット等について使用場面の動画を交えてご紹介いただきました。その中で、手術支援ロボットの使用について、手術している部分は非常に見やすいけれど、それ以外の箇所が見えないことや感触が伝わらないことを課題として挙げられていたことが印象に残りました。感触を伝えられる手術ロボットは米国で開発されたものが日本でも臨床応用され始めており、今後も多様な課題を克服したロボットが出てくるのではないかと考えています。(Written by ai

 

4限目は大阪大学医学部附属病院集中治療部より坂口了太先生をお招きして、「麻酔集中治療領域における医療機器の現状と今後の展望」というテーマでご講義いただきました。

 麻酔の深さをモニタリングする機器や呼吸循環を維持する医療機器について、そしてCOVID-19の最前線の治療状況についてもお話しいただきました。麻酔管理下の全身状態は多くの医療機器によって管理されているそうです。講義ではBIS(Bispectral Index)モニターや無侵襲混合血酸素飽和度監視システム、赤外線酸素モニター装置などについて解説していただきました。また、麻酔集中治療で用いられる医療機器としてパルスオキシメータがありますが、COVID-19の治療で世界的に大活躍しているそうです。こちらは先日お亡くなりになられた元日本光電株式会社の青柳卓雄氏が原理を開発し、世界の患者さんに届けた医療機器です。(Written by ur

 今回のCOVID-19に関する報道では、各国でICU病床数の不足に注目が集まっています。一方で、その解決には単に病床数や看護師の数を増やせばいいというわけではなく、今回ご説明頂いた多種多様な医療機器の確保に加え、医療従事者の負担を軽減できる新たな機器の開発が必要なのではないかと感じました。(Written by ai

 現在、日本で流行中のCOVID-19関連肺炎のリアルな現場をお伝えしていただき緊迫感が伝わってきました。印象的だったのが、パンデミックになった時に医療機器を扱える医療従事者は限られており、台数の確保だけでなく人員の確保、また医療機器開発の視点でいえば、専門医以外の先生でも容易に使用できる医療機器が必要であるということでした。(Written by ToShi

 

コース開催に先立ち、当センターの岡山慶太先生よりコースのガイダンスと、「社会インフラとしての医療機器開発」と題したミニ講義がありました。

【MDDリレーメッセージ】講師の先生からのメッセージはこちら

今年のModule 1は大阪大学吹田キャンパス内にある特設スタジオからの配信です。研究棟の隣の池では、早くも睡蓮が静かに咲いていました。

2020.5.30

MDD Diary 2020

 

Writers:

ai – 分析化学、代謝物の解析に従事する背が高めの大学院生,

ur – バイオマーカーを探して毛髪分析に没頭する大学院生,

ToShi – 歯学用の医療機器開発をしている大学院生

 

Editors:

ChiCo & MDD brain KEI2